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 夜空を見上げて.....

深蒼サツキ様



夜、その日は盛大なパーティが行われていた。
皆が集まって、それはすごく賑やかだった。

私はふと、このパーティの主役がいないことに気付いた。
皆はお酒を飲んだりして騒いでいて気付かなかったようだけど・・・・
このパーティはジタン、彼が無事に帰ってきたことを祝うパーティだった。

私はそっとバルコニーに出た。
案の定、そこに彼はいた。
「ジタン、こんなとこで何してるの?あなたがこのパーティの主役じゃない。」
ジタンが振り返ってへへっと笑う。
「いやー、どーも外の空気が吸いたくなってね。」
私はジタンの隣にいき、夜空を眺めた。
「ねぇ、ジタン?」
「ん?」
「私がどれだけこの夜空を見上げてたかわかる?」
「・・・・。」
そう、この夜空をみて何度泣いたのだろう・・・・
いつも王女として頑張っていこうとするのだけど夜になると自然に涙が溢れて止まらなくなる。
そんな毎日を過ごしていたから・・・・
「私がっ・・・・」
言いかけたのに声に出ず、涙が出そうになる。
やだな・・・ジタンに会ったら絶対泣かないって決めてたのに・・・・
「ごめんな・・・・。」
ふいにジタンがそう言い、私を優しく抱きしめた。
そしてそのまま私を抱きかかえ走り出した。
「え?ジ、ジタン?!」
明らかに動揺している私におかまいなくジタンは走りつづける。
「わりっ。あっこじゃ、うるさい奴らが多いからなー。」
振り返ると確かに、エーコがちっとばかり舌打ちしているのが見える。
さらにはスタイナーまでもが顔を真っ赤にして怒っている。
ううん、それだけじゃなく、タンタラスの皆やシドのおじさままで・・・・

気が付くと私たちは城の屋根へと登っていた。
そこでジタンは私をそっと降ろす。
「ま、長話になりそうだし、座りなよ。」
ジタンが座りごこちが良さそうなところへ私を座らせた。
ジタンが背伸びをして言った。
「ん〜、ダガーと話すのも久しぶりでなんか新鮮でいいねぇ〜」
のん気に言うジタンに私は少しムッとする。
「もう、ジタンったら私がどんな思いで今まで待ってたと思うのよっ!」
「でも、ちゃんと帰るって約束守っただろ?」
「・・・でも遅すぎよっ!!」
つい私は彼の頬をつねって怒鳴ってしまう。
「ってててて、痛いって。なんかダガー恐いぞ?」
「誰のせいよっ!」
ごもっともといった感じでジタンが苦笑する。
「・・・・あれから何があったの?」
私は少し真剣になり彼に聞いてみた。
「う〜ん、そーだなぁ、何から話せばいいんだっけ・・・・・あー、ダガー達と別れたときからか?」
私は一度座りなおしてこくんと頷いた。
それからジタンはゆっくり話し出した。
「俺はあれから暴走するイーファの樹の根元に飛び込んだんだ。そこでクジャを見つけた。
 クジャは俺たちを転送して体力が残ってなかったらしいんだ。
 そんなときに俺たちを暴走したイーファの樹が襲ってきた・・・・
 もう助からないかもって思ったぜ。それでも皆や・・・ダガーのことを思い出して
 まだ死ねないって思った。」
「それでどーなったの?」
ジタンは私をみてへへっと笑い、頭をかく。
「それからはあんまり覚えてない。ただすっごくでっかい光が見えた気がする。・・・と同時に
 すっごい痛みが襲ってきてさ・・・・・」
「・・・・・。」
「気付いたら俺は黒魔導師の村にいたんだ。」
ジタンはゴロンと寝転がる。
「ミコトがそこにはいてさ、「やっと目が覚めたのね」っつったんだ。なんか俺はそれからずーっと
 眠ってたらしいんだ。」
「クジャはどうなったの?」
「そーそー、クジャの奴は俺より早く目が覚めて、それからすぐに・・・・・・・
 んでビビももうすでにいなかった。俺だけが生きてたんだぜ?」
ジタンは悲しそうに笑った。
「それから俺は体が動くようになるまでそこで世話んなってたんだ。あ、今ならもう全然大丈夫だぜ?」
ジタンはそういってブンブンと肩を回してみせる。
ジタンの素振りが可笑しくてついふっと笑ってしまう。
「それでタンタラスに戻ったの?」
「ん?あぁ。いろいろうろつきながら、モンスター倒しがてらリンドブルムに戻ったよ。」
ジタンは転んだまま夜空を見上げながら言った。
「タンタラスに戻ったら皆に怒鳴られた。そう、さっきのダガーみたいに。」
そう言ってジタンはからかうように私に向かって笑いかける。
「そんでバクーはあの時と同じように俺をぶん殴ってめちゃくちゃの笑顔で言ったんだ。
 おかえり・・・・ってさ。」
私は前に黒魔導師の村でジタンが言ってたときのことだな・・・と思った。
きっとジタンは嬉しかったんだ。今までにいろんな事があって辛くても悲しくてもずっと前を向いて
歩いてきた。そんなジタンがいつか帰る場所に帰れて・・・・・
「それからは、これからアレクサンドリアで芝居があるってのに無理やり主役引き受けさせられちゃってさぁ、
・・・・あとはダガーにも分かるだろ?」
私はこくりと頷く。
ジタンもきっとこの夜空を眺めてたんだね。私も泣いてばかりいられないじゃない・・・・
「ねぇ?ジタン・・・・」
「ん?俺のことまた惚れ直した?」
「もうっ!すぐそうやって・・・・・」
ジタンはむくりと起き上がって私を抱きしめた。
「ジタン?」
私はジタンの温もりに触れながら目を瞑った。
「私も頑張れるかな?」
「もちろん。ダガーならね。それに,俺もいるし。」
私たちは笑いあった。



いつの間にか二人とも眠っていたらしく朝になってスタイナーが大騒ぎしていた。
私たちは真夜中ずっと外に出ていたせいもあって二人そろって風邪をこじらせた。
ジタンなんか皆に怒鳴られっぱなしだった。
「俺だって病人なのに・・・・」
そうやって呟くジタンが強制的にベッドに寝かされている。もちろん私もだけど・・・



でも、きっともう夜空を見上げて泣く事はないと思う。
これからは笑いあって夜空を眺めていたい。
愛しい人と一緒に・・・・・・・


ね?ジタン・・・・・




あとがき。++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
何か書いてて恥ずかしかったです///初めてラブ(?)モノ書いた気がします。
私としてはこの二人好きなんですがどうでしょう?
もう、妄想モード入ってるので完全にオリジナル化してきてますし・・・ι
キャラ変わってたら本当にスミマセン。小説は難しいです、はい。



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