君がいたということ
諒月なぐさ様
エアリス…。
君の笑顔が消えたとき、俺の中のな何かがはじけた。
どうしようもない気持ち。
ずっとひきずっている。いまでも、まだ…。
いろいろなことを思い出した。
君と出逢ったコト。
君と話したコト。
君と旅したコト。
そして、君と…別れたコト。
最後に君は笑った。この俺に。
どうして君は笑ったんだ?そして君は何を言おうとした?
君がいない今、それは、永遠に分からない。
ボディーガード失格、だな。俺。
君を守るどころか、あの時君を殺したのは、もしかするとこの俺だったかもしれない。
それにその後俺は君の身体が銀色の鋭くも美しい刃に貫かれるその時まで、何もしようとしなかった。
君を失って、思うことはただひたすらの後悔ばかり。
エアリスはもう笑わない…泣かない…怒らない…しゃべらない。
指先がチリチリする。口の中はカラカラだ。瞳の奥が、熱いんだ…。
どうしたらいい。
どうしたら…
俺たちの未来には幸せが約束されていなかったんじゃないのか?
ずっとずっと、一緒にいられる。そう信じていたのに。
君は…最後に、俺がセフィロスを倒したその時に、俺の前に姿を現してくれた。
その手を触れようと俺は手を伸ばした。
…エアリス、やっと君に会えた。
君は世界を救った。
君の命の輝きが、世界を包んでメテオから救ってくれたんだ。
そして、俺が君に伝えたい言葉も変わったんだ。
『すまない』から『ありがとう』に。
そして…―。
久々に大きな剣を背中に携え、どこかに行こうとするクラウドにティファは声をかけた。
「クラウド?一体どこにいくの?」
クラウドは用意ができたらしく、しゃがんだ体勢からスクッと立ち上がった。
「アイツに…エアリスに、会いに。」
クラウドはティファを見ないで言った。背中にティファの視線を感じる。
「…私も行っていい?」
少し遠慮がちにティファが言う。
「もちろん。」
クラウドは振り返り、ふっと微笑んだ。
エアリス。
これからは時々こうして君に会いに行く。
君の眠る場所、忘れらるる都へ。
もちろん、君の命は大きな流れ、ライフストリームに返っていってしまったけれど、そこは俺と君の最後の思い出の場所だから。
決して忘れたりなんかしない。
いつまでも、いつまでも、いつまでも、
俺にとって君は…
君がいたということは…
一番愛しいヒトが、そばにいてくれる。
そんな、幸せなこと…
<END>
【作者コメント】
短っ!でも私の魂はむちゃくちゃこめたつもりです…。あぁぁ何てちゃちい魂なんだ(>_<)
でもクラウド、すごくスキです〜v