back
to menu

in the liberty・・・

ひがね様

「くっそ〜〜・・・マテリアさえ盗めりゃ、こんな冒険なんておサラバなのに!」
ユフィは心底そう思っていた。
「セフィロス!?誰よそいつ!あたしにはカンケーないよ!」
それも、心底思っていた。

だが、実際はどうだろう?
マテリアはいつだって盗めたはずだし、ましてや冒険だって、いつでも抜け出れたはずだ。
なのにどうしてだろう?
ユフィは今も、シドの飛空挺に乗っていた。
「うぇ〜〜〜・・・・きも〜〜〜。」
―――なんであたし、まだココにいるんだろ・・・
さっさとマテリア盗んで、ズラかろっかなぁー・・・―――
ユフィはとりあえず甲板のほうへ移動した。
すごい、青く澄みきっている。でも、彼方のほうにメテオがみえる。
赤い・・・、真っ赤なメテオが・・・。
いつ、メテオが来るかもしれないというのにも関わらず、済んでいる空に2羽の鳥が飛んでいった。
どうやら雄と雌の鳩のようだ。
2羽で仲良く、飛んでいった。
「はぁ・・・。」
ユフィは大きなため息をついた。
「鳥はいいよねぇ。自由な翼を持ってるんだもん。」
ユフィはもう一度、空を見上げた。
さっきの2羽の鳩が、まだ仲良くじゃれ合っている。その2羽を見ていると、すごく気分が落ち着く・・・。
そんな気がしていた。
「それに比べてあたしは・・・。」
そう言うとユフィは自分の武器を取り出し、それについているマテリアを見つめた。
「自由になれそうなのに・・・自分でそれを実行しないんだなー・・・。」
マテリアはユフィに向かって不思議な光を帯びている。
空で光る太陽の光に反射して、マテリアはキラキラと輝いた。
「欲しいな、このマテリア・・・。」
ユフィは、武器についている沢山のマテリアの中から、たった一つを見つめていった。
蒼く・・・、済みきった色をしている。
その、あまりの輝かさに吸い込まれそうになっていた。

「―――あっ・・・!?」
「よかったぁ。ユフィ起きたのね?」
ユフィは気がつくと周りには仲間たちが心配そうに立っていた。
立っている仲間たちの間をのぞくと、ユフィが今いる場所は宿屋だということがわかった。
「あっ・・・あれ〜〜?皆、何?どうしたのさ。」

「ユフィ・・・あなた飛空挺の甲板で、気を失っていたのよ・・・!」
ティファはそう言うと、ユフィの手をそっとにぎった。
一瞬、ユフィには手の感覚がわからなかったが、感覚を取り戻すと、ユフィはティファの手をにぎりかえした。
ユフィはティファに向かって、にっと笑ってみせた。
その表情を見るとティファはほっ・・・と安心した。
他の仲間達も、ユフィの表情を見ると安心した顔つきに変わった。
「あはっ、失神か・・・平気平気!もう大丈夫だよ!」
『カシャ・・・』
ユフィがベッドから起きあがろうとすると、何かが床に落ちた音がした。
それはユフィの武器だった。
ユフィがその武器を取ろうとすると、クラウドがすぐに拾い上げた。
「ほら。何落としてるんだよ。」
「あ・・・ありがと。」
「その武器・・・ね、ユフィ・・・全然はなさなかったのよ。私たちが放そうとしても・・・。」
ティファがそう言うと、ティファとクラウドを除く仲間の皆は、部屋を出ていき始めた。
ユフィはクラウドから武器を受け取ろうとすると、ふとマテリアが目に入った。
「・・・えっ・・・。」
武器についていた、一番のお気に入りになったあのマテリア・・・
蒼く澄みきったマテリアが無かった・・・。
「えっ・・・!?無い・・・どうして・・・」
ユフィがそうつぶやくとポケットに何か丸いものが入っていることに気がついた。
妙にズボンのポケットが足に当たっているのだった。
ユフィはズボンのポケットに手を入れてみた。
「どうしたの?ゆふぃ・・・、顔が真っ青よ?」
「えっ・・・!?」
ティファの言葉に驚いたユフィは思わず手を引っ込めてしまった。
だがユフィは感づいていた。
ズボンのポケットに何が入っているのか、また、丸いものは一体なんなのか・・・。
「なっ・・・なんでもないよ!」
ユフィはそう言うとベッドから飛び起きた。
「くすくす・・・暴れちゃだめよ、ユフィ。」
「そうだぞユフィ・・・。」
ティファとクラウドの言葉にユフィは少しカチンときた。
だが・・・、何も言い返すことが出来なかった。
「はいはいあ。わーったよ。」
「最近・・・お前を使いすぎたからな・・・。ストレスも溜まったんだろう・・・。今日はこの町にいるつもりだから、ゆっくり、安静にしてろよ、ユフィ。」
―――確かに
ストレスも溜まってたかも・・・―――
クラウドの優しい言葉にユフィは少し嬉しみを感じていた。
ユフィは『わかったよ』とばかりに、舌を出してにかっと笑って見せた。
ティファとクラウドは、ユフィのその表情を見ると、ゆっくり立ちあがった。
そして・・・ユフィに向かって優しい笑みを見せ、部屋から出て行った。

クラウドとティファが出て行くのを見送ると、ユフィはズボンのポケットに手を入れた。
―――・・・
やっぱり・・・―――
ユフィのズボンに入っていた丸いもの・・・
それはマテリアだった。

ユフィは恐る恐る、そのマテリアを取り出した。
ユフィの一番気に入っていた、蒼く澄んだ、マテリアに違いなかった。
―――嘘っ・・・私、知らない内に
このマテリアを盗もうとしてた・・・!?―――
ユフィの目に、沢山の泪があふれだした。
「あたし・・あんなにも優しくしてくれた人たちのマテリアを・・・?」
ユフィは蒼のマテリアを強く握り締めた。
ユフィの体に、震えが始まった。
「や・・・だっ・・・。やだ・・・嫌だ・・・。嫌だぁぁ!!」
泣きながらユフィは叫んでいた。
それは自分自身に向けていった言葉でもあったのだ。
ユフィは頭を抱え込んでしまった。
はっときがつくと、目の前にはティファがいた。
「あ・・・・。ティファ・・・?」
「どうしたのユフィ・・。急に叫び出したりして・・・。」
ティファは、マテリアを握りしめているユフィの手をそっと包み込んだ。
そしてもう片方の手で、ユフィの頭を撫でた。
だがユフィの目には、まだ泪があふれでていた。
「あ・・・・。あ・・・っ・・、ティファぁ・・・。ごめ・・・ごめん・・・っごめん・・!!」
「・・・・・・。」
ティファは何も言わなかったが、ゆっくりユフィに向かって笑顔を見せ、ユフィを抱きしめた。
「許して・・・っく・・・ごめんっ・・!!許してぇ・・・。」
ティファはユフィの髪を撫でながら言った。
「・・・あなたは何も悪くないわ・・・ 大丈夫・・・。」
ティファはユフィをきつく抱きしめた。

「あなたを・・・ 許すわ・・・。」
「うわぁぁぁ!!」
ユフィはティファに抱かれ、泣きながら思った。
―――これからも・・・一緒にいたい。冒険したい。役に立ちたい。仲間でありたい・・・―――
ティファの腕が居心地良くて、ユフィはそのまま顔をうずめた。
手と腕で返す、ティファの返事を待ちながら・・・

決めた。
全てが終わったら・・・、決着がついた時こそ、私、
in the libertyへ・・!


back
to menu