in the dream・・・
ひがね様
ふと、目が覚めた。
周りを見渡すが、周りの全てが漆黒の暗闇の迷宮・・・。
何回か、仲間の名前を呼んでみたが、どこにも返事の声は返ってこなかった。
「ここは・・・?」
クラウドは少しばかり不安になった。
クラウドはどこまでも続く闇の中を、走ってみた。
しかし、闇は永遠と続いている。
「一体ここはどこなんだ・・・?」
走るのを止め、もう一度、仲間の名前を呼んだ。
「ティファ!バレット!ナナキ!ユフィ!!」
闇は、クラウドの仲間を呼ぶ声を飲みこんでいく・・
「ケット・シー!ヴィンセント!シド・・・・!」
「・・・・エアリス・・・」
クラウドはいるはずのないエアリスの名を呼んでいた。
自分の知らぬまま・・、無意識の内に・・・
「どうしたらいいんだ・・?エアリス、君ならわかるのか?」
あれから、セフィロスを倒してからもう、一年を迎えている。
世界は緑も多くなり、相も変わらず化学は発達しているものの、ミッドガルは動物達の住みかとなっている。
クラウドは、ティファ・バレットと共に平和に暮している。近々、ティファとの婚約もかねていた・・・
「クラウド・・・」
「・・・・?」
誰もいるはずのない暗闇の中から、クラウドの名を呼ぶ声が響いた。
その声は、どことなくエアリスの声に似ている。しかし、闇の中にはクラウドしかいない。ましてやクラウドのほかに誰かがいたとしても、エアリスはこの世に存在していない・・
それとも、この闇は、死の世界なのだろうか・・・。
「エアリス・・?なのか・・!?」
闇が仲間を呼んだ声を飲み込んだように、また闇はクラウドの声を飲み込んでいった。
どこまでも果てしなく続くこの暗闇に響いたエアリスの声は、空耳だったのだろうか。クラウドは心の底でそう思った。
「空耳なんかじゃないよ」
「えっ・・・・?」
「フフッ・・・おどろいてるでしょ?」
エアリスのその声が響いた時、突然クラウドの目の前に沢山の光が集まり始めた。
緑白く輝く光ー・・・ライフストリームが集まり、エアリスの姿を型どった。
「クラウド、お久しぶり」
「エアリス?どうして・・・。」
「セフィロスを止めること、できたんだね。良かった。ホーリーも、ギリギリセーフだったね」
ライフストリームのエアリスはセフィロスとの戦いについて語り出した。
「『超究武神覇斬』使ってる時のクラウド、かっこよかったなぁ・・。それに・・・
「エアリス!」
「何?」
クラウドはこの闇の中にライフストリームがあることを不思議に思い、エアリスに問いかけた。
「エアリス!ここはどこだ?!それにどうして君がここに・・・?」
エアリスはゆっくりクラウドに微笑んだ。ライフストリームに包まれているエアリスの笑顔は、周りの暗い闇の為、光輝いているように見えた。
クラウドは久しぶりのエアリスの顔をまともに見ることができなかった。
何がなんだかわからない気持ちに包まれた。
どこからともなく、この闇の空間を秋風が吹き抜けていく・・・
エアリスの笑顔から、淋しげな表情がこぼれた。
「もう、私がいなくても・・・・平気かな」
エアリスは後ろに向きながらそう言った。
秋風が、彼女の髪をなびかせていく。
何も無いはずのこの空間に、紅葉や枯れ葉達が、音を立てながら秋風と共に流れていく・・・
クラウドにとっては、ただの不協和音でしかなかった。
「心配してたんだ、私。クラウド、私がいなくて平気かな、って・・・」
クラウドはいたたまれない気持ちになった。どうすればいいのかわからない。どうしたらいいのかもわからない。どちらにしてもわからない・・・・
ただ、顔が、成熟しきった真っ赤なりんごのように、赤く染まっていくだけだった。
「エ・・・・エアリス・・・俺・・・・。」
クラウドがそう言うと、エアリスはクラウドの方に向きなおった。彼女は、こらえてもこらえきるこののできない涙を流していた・・・
「ティファと・・・、お幸せに・・」
彼女は、涙を流しながらも、精一杯の笑顔をクラウドに見せた。
秋風が、彼女の涙を奪い去っていく・・・
「エアリス!俺は・・・・!」
クラウドが言った瞬間、彼女のライフストリームが光り出した。
「だめ。言っちゃだめだよクラウド。私・・・・もう行かないといけない」
エアリスの体からだんだんとライフストリームが流れ出ていく。
少しずつ・・・・、エアリスの姿が見えなくなっていく。
まだ残っているライフストリームは、必死にエアリスの体を輝かせている。
それでも、彼女の体は見えなくなっていく・・・
エアリスは、また笑顔をクラウドに見せた。
「クラウドは幸せになるよ」
彼女から、大量の涙が溢れ出た。
「みんなが・・・・、仲間のみんながいるもの・・・。ティファが、側にいるもの・・・」
エアリスがそう言うと、彼女の体は闇に見え隠れしている状態になっていた。
「それでも・・・・それでも俺は・・・っ君の事がー・・・・・・!」
クラウドの心にエアリスの笑顔がよぎった・・・
「クラウド!」
はっ・・・とばかりに目が覚めた。
周りにはクラウドを心配そうに見つめる仲間の姿があった。
漆黒ではなく、迷宮でもない。ここは、ティファとバレットと暮している家だ。
「どうしたんだクラウド?大丈夫か・・?」
「まじ、大丈夫〜?」
仲間が、クラウドに話しかける。クラウドは「大丈夫だ」とばかりに、ゆっくりうなずく。
「じゃあ、ここはティファに任せるか。」
「そうだな・・。」
バレットがそう言うと、ティファを除く仲間のみんなは、クラウドの階屋から出ていった。
長い間暗闇の中にいたせいか、階屋の窓から差し込む光が妙に眩しい。
ティファは心配そうにクラウドを見つめるが、何も聞こうとはしなかった。
「・・・なぁ、ティファ・・・。俺、エアリスに会ったんだ・・・。」
「クラウド・・・」
ティファは、より一層心配そうにクラウドを見つめたが、クラウドに微笑んだ。
クラウドはしばらく瞳を閉じるとこう言った。
「大丈夫だよティファ。俺は・・・俺の気持ちは変わらないから・・・。」
あの暗闇は、自分の迷いのある心の中。それを、エアリスが、自分の迷いを消してくれた。夢の中でエアリスは迷いを打ち消してくれた。クラウドはそう思った。
エアリスに勇気づけられた気がした。
しかし、あれは本当に in the dream・・・・?それとも・・・
こにゃにゃちわー!
今回は珍しく、真剣(いつもは真剣じゃないのか!?)に小説を書いてみました。
一部理解不明な所が会ったと思うけど、気にしないでくださいませ。
(笑 最後まで読んでくれた方、どうもありがとう!!)