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 ガーネット

ジック様

ここちよい風に見を任せるとすっと私の髪を撫でていく……。

お母様はもう戻らないのよね、私1人で頑張らないといけないんだ。

でも……でもみんなともう少しいちゃだめかな?この国を治めなくちゃいけないのは
分かってるわ!でも……

「ダガー」

声に私は振りかえる、そういつも私を支えてくれていたあの人がいた。

私を探してくれてたの、かな?

嬉しくて思わず駆け寄る。

「ジタン!!」

はっとお互い息を呑む。

だって、だって……私、今喋った、よね?

「ダガー?もしかして……しゃべれるようになったのか!!??」

ジタンは自分のことにように笑ってくれた。

まるで子供みたいに……

ジタンはいきなり私の体を軽々と持ち上げる。

私は恥かしくてジタバタと動いた。顔もいつの間にか赤くなってる。

「やだっ、ジタン下ろしてって!」

でも私は次の言葉を聞いてその動きを止めた。

「やったな♪これでダガーとちゃんと話ができる!」

ジタンは私ににっこり微笑んで言った。

そのとき私、ああ私はいつもこの笑顔で支えられてるんだって思ったの。

ジタンはゆっくり私を下ろした。

「ところで、ダガーここで何してたんだ?」

「考え事。お母様が死んじゃって私がアレクサンドリアの女王を勤めなくちゃいけな
いでしょ?でも……ね、私もう少しジタン達と一緒にいたいの。だめ……かな?」

私は素直に言ったわ、だってなによりも、もう少し彼といたいから。

でもジタンは何も答えない、少し怖くてさらに付け足す。

「あ、でもね!みんなには迷惑かけないわ、確かにアレクサンドリアの復興作業とか
残ってるけど、侍女とか家臣の人達がなんとかしてくれるって……」

少しの間沈黙が訪れた。

「なぁ、なんでオレ達とまだ旅をしたいんだい?ダガーは立派な王女じゃないか、そ
れにこの国を治める人間がいなくなるんじゃないのか?」

ジタンはそう言った。うん、確かにそうなんだ……私がいないとどうしようもない。

私がいることでみんなに迷惑をかけてしまうのは、一目瞭然だけど……。この国を、
国民を守っていけるか不安でしかたないの。

「そう、ね……。ずっと考えてたの……どうやったら女王らしくなれるのか。ジタン
と一緒にいたら答えが見つかりそうだったから。このままの私じゃ民から認めてもら
えないし、理解されることもできない。まして国を治め守る資格なんてっっ!」

どうしてか涙が流れずにはいられなかった。

声を荒げジタンに縋り付く。

自分が情けなくてどうしようもなく惨めで……哀れで。

「私には……なにもできない……。ジタンみたいに強くはなれないのっ!」

ジタンはそっと私の髪を撫でてくれた。

「あ、そうだ。ダガーこれ見てごらん」

そう言って、懐から赤い透き通った宝石を取り出す。

「ガー、ネット……?」

ジタンはにこっと笑い頷く。

「そう!ガーネットさ。きれいだろ?」

私の手を開かせて、その宝石を手のひらに置く。

ジタンは私から離れ少し高台となった芝生の上に座る。

私も彼の横へと行き隣に座る。

「その石はね……」

彼はこう言った。

 

 

最初はどこにでもある石ころだったんだ。

だけどね、その石は願い続けたんだ……。

なんだと思う……?

それはね……「わたしは輝きたい!」って願ったんだ。

その願いを手掛かりに、石は人から人へと渡り……

今、ダガーの手の中で輝いてるんだぜ!

ダガーが輝く勇気を持ちさえすれば……きっと、いや絶対いつか輝ける!

アレクサンドリアが君を必要とする時は必ず来る。

君がアレクサンドリアを必要とした時に必ず!!

あせらなくてもいいさ、必要なのは「輝きたい!」と願うことなんだよ!

 

 

 

ジタンは言い終わると、私を見て照れ臭そうな顔をする。

「えへへ、ちょっとかっこつけすぎたかな?」

私は首を横に振る。今度は嬉しくて涙が出そうだった。

「ありがとう……」

そんな私を見てたじろくジタンを少しだけおかしく思った。

「私、中途半端な気持ちだったの。貴方と一緒にいること、ここの残って国を治める
こと……。どちらも大切で、どちらも私では何も出来ないから」

貴方といたいけど、私は何も役に立てない。かと言って、この国に残っていても国民
からは認めてはもらえないかもしれない……。そんな中途半端な気持ちで、彼と一緒
にいたいと思う願いは高まった。

そんな私に彼は勇気をくれた。「輝きたい!」と言う思いと意味、言葉を私にくれ
た。

「たとえ言葉は中途半端だとしても、一緒にいたいという気持ちが本当ならいい
さ……」

同じ年の男の子がこんな考えを持ってるなんて、と時々思う。外見や性格も少し幼い
けど、時々みせる暗い表情や大人びたセリフにはドキっとする。私にはない何かを彼
は持っていたんだ。

ジタンにぎゅっと抱きしめられ少し慌てた。

いくら人気のないところとは言え、屋外。さすがに恥かしい……。

「ねぇジタン。あの時のあれ……貸してほしいんだけど」

そう言って私はジタンの腕から抜け出す。

くるりとジタンの方を振り向き「あの時私に大きな決意をさせてくれた……」とひと
り言のように呟く。

ジタンの短剣を取り笑う。

「ちょっと貸してね」

彼は困ったを顔していたが、頷く。

「今までの私……覚えていてね……」

その言葉が終るか終らないかのうちに向かい風の方を見る。

丁度そこはアレクサンドリアの街並みが見渡せる高台。

白いハトが空を舞う。

風が小波のように芝生を撫で、空の雲をゆっくりと動かす。

太陽は温かく、日差しが街を覆う。

私は髪を掴み、ゆっくりと刃を滑らせ髪を切る。

腰まであった長い髪は短剣で切られ、肩口までの長さになる。

なんだか気分がスッキリしたわ、今まで考えてたことがウソだったみたいに。

ジタンが近寄る気配がして私はジタンの方を向く。

私は彼に微笑み、彼も最初は驚いていたけど頷いて笑ってくれた。

「上出来だぜ♪ダガー!」

そう言ってまた抱きしめられる。

ドキドキするけど、嬉しくてしかたない。

ジタンは顔を近付ける。ビックリしたけど自然と目は閉じた。

ちょっとだけ……ちょっとだけ唇が触れる程度のキスだった。

 

 

〜fin〜

***********************************
あとがき
こんなのでよろしいでしょうか?(どきどき)
ラヴ物ばかり最近書いているんで・・・Σ( ̄□ ̄:
でもジタガネ好きなんで楽しみながら書きました♪こんな駄文ですが・・・(笑)

それでは!!
――ジック【zikku】―――



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