鯨鯢供養塔と鯨鯢千本供養塔￤石上山龍昌院

鯨鯢供養塔と鯨鯢千本供養塔　　石上山龍昌院：佐賀県呼子町

慰霊の対象：鯨／創設業種：漁業

呼子は全国三大朝市で知られる小さな漁港である。朝市でイカの一夜干しがたくさん並ぶが、港はイカ釣り船でいっぱいである。昭和の初期まで捕鯨が盛んだったというが、今では鯨をモチーフにした遊覧船がわずかにその面影を残すだけである。その呼子町にある石上山龍昌院は宝暦5年（1755年）、鯨組の頭首、二代目中尾甚六が鯨１頭分の代価で建立したという。境内には２基の鯨供養塔がある。写真左が「鯨鯢供養塔」、右が「鯨鯢千本供養塔」と記されている。（鯨鯢は「げいげい」と読み、雄鯨と雌鯨のこと）「鯨鯢千本供養塔」は七代甚六の頃、創業以来の鯨の捕獲数が一千頭に達したことを機に、供養のために建てた。

本体の碑文
正面：鯨鯢千本供養塔
左側面：中尾七代雄之助組
右側面：天保二年卯七月
中段正面：好之丞／鉄太夫／彌七／○浦／施主／網方／五平治／勘太夫／金太夫／藤四郎／五太夫
中段右：名古屋浦／施主　五治兵○／惣太夫／五治太夫／三太夫／儀三太夫／吉大夫／長右エ門／五○衛門
中段左：呼子浦／施主　長太夫／牛太夫／清太夫／虎太夫／治平／龍大夫／○上羽差中
中段裏：八大夫／甚大夫／万太夫／銀太夫／漁五郎／増(藏)／金太夫／□□□／□□□

本体の大きさ(cm)：36W×84H×36D
台石の大きさ(cm)：51.6W×28H×51D
基礎の大きさ(cm)：83.7W×16H×80.7D

本体の碑文
正面：鯨鯢供養塔
右側面：之三代世□同(苗)嘉六／當□及八十八歳自福／之□再建之者也／維持文化十癸酉年
左側面：鉾組元祖松尾好太夫／正徳四甲午年為鯨鯢／供?建塔今年正當／百年塔様頗(損)壊□依
背面：當山七世大五代

全体の大きさ(cm)：45.5W×194H×44.5D

（解説板）
鯨鯢供養塔・鯨鯢千本供養塔
　捕鯨に携わった人々は鯨への感謝の念を忘れることなく、鯨の供養も欠かさず行ってきた。
　現存する鯨鯢供養塔は、正徳四年（１７１４）に創建した松尾好太夫の百年忌にあたり、損壊がはなはだしかった塔を曾孫の松尾甚六が自らの八十八才の祝いの意味も含め、文化十年（１８１３）に再建したものである。
　総高：192cm
　
鯨鯢千本供養塔は、天保二年（１８３１）中尾七代甚六（中尾雄之助）の時、創業以来の捕獲頭数が千頭に達したので供養のために建立したものである。
総高：128cm

中尾三代甚六の墓
　中尾家は、江戸中期から明治初期にかけ、八代に亘り呼子の地で捕鯨業を営み、代々甚六の名を襲名していた。
　中尾三代甚六（中尾茂啓）が創業した時代は、中尾組が隆盛をきわめた時代といわれ、宝暦五年（１７５５）に鯨の冥福を祈るため鯨一頭の代価を以て龍昌院を再興したと言われている。（ただし、現在の建物は昭和５２年に改築されたものである。）

龍昌院の幼稚園の屋上には鯨の形をした滑り台があった。

海中展望遊覧船「ピンクジーラ」

呼子町加部島にある観光物産館。鯨情報が充実しているとのことだったが、残念、月曜は閉館。

ここにも鯨のモチーフが見られた。

撮影日：2004/6/14

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