気象庁観測課への報告とお願い 2009年9月9日
近藤純正(東北大学名誉教授)

気候観測所の環境改善について
予算と人員の削減により、測候所は無人化され、観測の管理が不十分になって きている。気候監視では高い精度が必要なため、このまま放置すれば地球 温暖化など気候変動が正しく把握できなくなる。私は、この現状を国民に 知らせ、観測環境は住民の協力によって守ろうと呼びかけている。

観測環境の改善が必要な観測所の例: 岡山県内陸の旧津山測候所 (現・津山特別地域気象観測所)は丘の上にあり、周辺には住宅などはなく、 昔から変化が少なく、内陸では日本一の環境に恵まれている。しかし、 40年余前に住民によって植樹された桜並木が成長し気象観測に影響する ようになってきた。年平均風速は33%減少、風速10m/s 以上の強風 日数は年間約51日から最近では2日前後に激減、日だまり効果によって 年平均気温は0.4℃も上昇した。

こうした事実を岡山地方気象台に知らせても、「桜並木の成長が気象観測 に影響していない」と言い張る。その理由は(a)気象台職員の学問的基盤 の弱さ、(b)影響を認めると、これまで見逃して放置してきたことに 対する批判を受けるからであろう。岡山地方気象台の場合は、おおむね (a) によると判断される。

一般的には (b) によって、観測への影響を認めないことがある。しかし、 観測は地域住民・国民のために行われるものであり、他から真実を指摘されて 気づいた場合には、一時的な批判は恐れずにそれを認め、改善への努力を 行うのが望ましいのではなかろうか。

私は津山において市民講座を開催するとともに、市長にも気候監視の重要性 を訴えた。その結果、市長は私の話を理解されて、今後は市役所主導で 津山観測所の環境整備に向けて努力していただけることとなった。

気象庁観測課へのお願い:
(1)岡山地方気象台に学問的理解を深めるように伝えてほしいこと。
2009年9月16日(水)に開催される津山市と岡山地方気象台の共催による住民への 説明会では、市役所でまとめた環境改善案が示されると考えられる。 その席で住民から気象台に対して質問があった場合、「桜並木の成長が 気象観測に影響していない」という従来からの主張を繰り返さないよう お願いしたい。その理由は、私の2回の市民講座、住民役員会での説明会、 個々の役員宅を訪問しての説明によって、住民は桜並木が観測の邪魔に なっていることを知っているからである。

(2)気象庁の観測体制のありかたについて参考にしていただくために、 私が見てきた観測上の諸問題に関する講演会を開催させてほしい。

以上のこと、よろしくお願い申し上げます。


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