日本と世界の気温経年変化の比較
気象庁ホームページに掲載されている日本と世界の年平均地上気温の平年差
の図を引用し、両者の気温差の経年変化を図示してみよう。それらのデータは
主に中都市で観測されたものなので、両者とも都市化の影響が含まれている。
日本の平均気温は気象庁が選んだ17地点のデータから、世界の平均気温は
気象庁に入電した月気候気象通報の約1200地点のデータから算定されたもの
である。
図(上)は日本の17地点の年平均気温(白丸印)と世界の約1200地点の
年平均気温(黒丸印)の経年変化である。両者は年々の値と10~50年程度
の短い期間では変化のトレンドに多少の違い(地域的なトレンド)
が見られるが、それ以上の約100年間では両者はほぼ同じ変化傾向を示して
いる。
図(上) 日本(白丸印)と世界(黒丸印)の地上平均気温の経年変化、
(下)日本の平均気温と世界の平均気温の差の経年変化、赤の実線は長期変化
の傾向。
図(下)は日本の平均値と世界の平均値の差について経年変化を示した
ものである。まず、全体の傾向を見れば、1945年の終戦を考慮すると、
1900~1950年の50年間の差の平均値は-0.2℃であるが、それ以後の最近の
50年間についての差の平均値は0℃となっている。後半で日本が高温と
なったのは戦後の復興に伴ない、諸外国におけるよりも、日本に
おける都市化の変化速度が大きいことによると思われる。
次に、短い期間の変化について細かくみてみよう。1940年代と1980年代の
低温と、1960年前後と1990年前後の高温は日本付近で起きた特有の地域
トレンドであろう。1910年前後の大規模噴火の多発時代には、日本も世界も
低温傾向となったが、図(下)でやや高めの傾向を示すのは、日本の低温は
世界平均の低温よりも小さかったことを意味している。