汐首岬灯台と戸井線の痕跡



汐首岬は北海道と本州が最も近い場所で下北半島の大間岬まで直線でわずか18km程しかありません。国道278号線のドライブでは下北半島がすぐ南にずっと見えるのです。しかしながら岬としては特に見所があるわけでもなく、灯台も高台の上にあるためバス停や小さな北海道〜本州最短地点の看板を見逃してしまうと通り過ぎてしまうでしょう。そもそも駐車スペースもほとんどなく車で行く場合は路肩のわずかな空間を見つけ停めなければいけません。そして国道脇の急勾配の通路を登りきった所に灯台があるのです。また最短地点の看板の脇に本州北海道連絡橋の看板があったりします。



汐首岬灯台は高台の上にあるため国道沿いからは切り離されたような場所で人気はほとんどありません。ただ海が正面に広がるばかりなのです。灯台は開拓使によって明治21年〜26年に全道で最初に20ヶ所の灯台を整備する計画の中で20番目に建設されたもの。



灯台のすぐ下には未成線の戸井線の痕跡を確認することができます。戸井線は太平洋戦争前の昭和12年に津軽海峡の防衛及び青函航路の代替ルートの連絡線として昭和12年に着工したが戦中の昭和18年に資材難から工事が中断されました。この段階でかなりの区間の橋梁、路盤の整備が終わっていて、急峻な崖が海まで迫る汐首岬一帯を中心にその遺構が散見されます。写真は灯台への通路からのもので橋脚、橋台を見ることができますが圧巻なのはそのすぐ西側にあるアーチ橋で国道から見上げることができます。また反対の東側にものり面工事でその後手は加わっていますが25連のアーチ橋があります。これらの橋梁は戦中ということもあり強制労働により建設が行われ資材難から橋梁の中には鉄筋が入っていないものとのこと。また戦時中の津軽海峡の防衛のための要塞の遺構もあるらしい。



(地域別情報4-1-1.函館から恵山へに地図と周辺案内があります。)


北海道旅情報巻頭  3-9.ぐるり海岸線紀行

汐首岬灯台と戸井線の痕跡