士幌高原道路建設中止に

士幌高原道路建設中止に


士幌高原道路の建設中止が正式に決まった。 本当に当然のことが決まったと個人的には想うのだがそれにしても遅すぎる決定とも言えなくもないだろう。

高度成長期時代に決まったこの計画は当初計画では全線地上をはしる道路だった。 その時代としてはごく普通の計画の一つであったのだろう。 少しづつ建設は進められた。 そして士幌から然別湖につながる2kちょっと手前で一時建設は中止となってしまう。 その原因は簡単に言うと自然保護運動の高まりでこの地にナキウサギが生息していることから建設はそのナキウサギの生息地を狭めてしまうとの意見がでたためだ。

その後代替案としてトンネル案などもでたがここまで来るともう机上論に過ぎなくなってくる。 トンネルにすれば工事費はうなぎのぼりに上がってしまうわけだしその分の経済効果などとても見込めない。 そもそも鹿追から然別湖に向かう道路は現在存在するから新たな道路がどれだけ重要だかも疑わしい。 道路一つできたことで町が大きく潤うなんて時代は高度成長期のまだ道路網が整備されていなかった時にこそ言えたことでその幻影を見続けるのは頭がかたすぎるのではないだろうか。

正月に士幌の役場の前を通った時大きな建設推進の垂れ幕が掲げられていた。 地元としてはやはり少しでも多くのお金がその地に投入されればいいのは当然である。 大きな経済効果はなくてもなんらかのものが少しはあることが見込めるのなら期待を込めて建設を支持したくなるだろう。 しかしながら北海道全体として考えれば少ない経済効果しか見込めないものに大量の資金を投入するのは歪みである。 今回の建設中止もその辺のことを考えた結果の結論だろう。

でもちょっと思うのは今ある鹿追〜然別湖の道も無論ナキウサギ生息地を通っている。 そしてその道を通って私たちは然別湖に行って旅を楽しんでいる。 まあそこまで考えてしまうと何も出来なくなってしまうのだが事実はそうなのである。 今あるものはなかなか戻すわけにもいかないし、そんなことばかり言ってると原始回帰主義みたいなことになってしまうのでいけないのだがちょっと考えてしまうことがある。

私としての意見はこれ以上の意味のない自然破壊はすることはやめて欲しいということである。 今あるものは最大限活用していくことが必要だろう。 そして人間と自然の均整のとれた環境が理想ではないだろうか。 まあそれでも何らかの形で人間が自然を侵食するのは避けられないことではあるのも本当のことではあるのだが。


北海道旅情報巻頭  8.アラカルトレポート