北海道産業遺跡の旅

北海道産業遺跡の旅

人間が生活を営んできた施設は更新されれば一瞬にしてその風景は過去のものになってしまいます。 しかしながら実際はそんな施設のすべてが更新されることはなく遺棄されるものも数多くあります。 そんなものが時代を経るにつれ過去を知る手がかりとして注目されていきます。

遺跡として最も一般的に言われるものは100年、200年もしくはそれ以上前のものです。 北海道で有名なそんな遺跡は美々遺跡、常呂遺跡などあげればきりがありません。

しかしながらそんな年代を溯らなくても遺跡と呼ばれるものはあります。 例えば昭和初めに栄えた鉱山の遺跡、森林鉄道の遺跡、いろいろな産業が隆盛、衰退を繰り返す中で遺跡はたくさん現出するのです。 そんな産業遺跡がこの本には21ヶ所紹介されています。

写真とエッセイで表現される遺跡は人の心を打ちます。 人間が過去にやってきたことを自然に再侵食されながらもただ自己主張する風景は不可思議でかつこっけいでさえあります。

産業遺跡は最近は変化の兆しもありますが軽んじられる傾向にあります。 しかしながらほとんど資料も残されず消えてしまう産業の遺跡をはじめとして保存されなければならないものも多くあります。 すべてを残すわけにはいきませんがその昔の産業の語りべとして遺跡が残っていくことを期待してやみません。

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