ヒシミラクルと大塚牧場


日高を旅して驚くことは北海道でも温暖なこの地にたくさんの牧場が点在するということです。日本ではほとんどの場合、稲作が可能な地での平地の農地利用は田園風景が広がります。これは他の農業と比較すると少なかれ保護されている稲作の方が収益が上がるからであり、それ以外の風景が広がる場所はそれなりの柱となる農業が確立しているのです。

日高の観農台からの風景は見下ろす広い谷に牧草地が広がります。一部に稲作を行っている部分はありますがそのほとんどは馬の牧場地帯になっているのです。これはやはり馬の牧場が普通の稲作よりは儲かるものだということを示す指針といえるのではないでしょうか。

静岡では茶畑が丘陵地に広がります。そんな中、平地には田園が広がる場所がほとんどなのですが静岡でも定評のある茶産地では平地にも茶畑が広がります。これは高級な茶は米よりも収益が上がるからでしょう。また石垣島では過去にパイナップル畑が広がっていた丘陵地に肉牛の牧草地が広がります。これはパイナップルが農業自由化の影響で海外の農作物と競合し収益が上がらなくなり、新たな農業を模索した結果といえます。



そんな日高の牧場ですが実際には厳しい現実があります。牧場も常に競争の波にさらされ、社台ファームなどの大規模牧場が圧倒的な優勢を誇ります。G1のレースでひとつの牧場の馬だけが上位を独占することもしばしばです。そんな時は馬の名前に同じ冠名が付いていて素人でもすぐに気が付いてしまうことも。

そんな中、平成14年の菊花賞、平成15年は春の天皇賞宝塚記念ヒシミラクルが戦いを制しました。この馬は三石、大塚牧場の産駒です。大塚牧場は平成元年に地方のリーディングブリーダーになるもその後低迷を続けていました。そんな中、血統も必ずしも一流でないヒシミラクルが快走を続けているのです。



写真は平成14年9月の風景。セイコーマートが前にあり、そこで買い物をしながらそっと大塚牧場を覗いたときのもの。



北海道旅情報巻頭  3-8.農林山村スケッチ
ヒシミラクルと大塚牧場