■松前のさくら
松前は江戸時代に唯一、蝦夷地において藩が置かれた場所です。そんな時代には松前城のまわりの密集して配置された寺町の境内などにわずかに桜が植えられていたに過ぎませんでした。江戸時代の終焉とともに松前は本州との交流の拠点としての地位を函館に奪われ、町は残念なことに凋落の一途をたどります。そんな松前を盛り立てようとさくらの接木、移植を進めた花守がいました。その存在があって今の松前のさくらはあるのです。
バスで訪れる場合は松城下車、車の場合は松前城付近駐車場か松前藩屋敷の横の駐車場にとめることになります。シーズンの週末にはかなり混雑し駐車場に入るのも時間がかかるだけでなく函館-松前を結ぶ道路も渋滞が起こります。最盛期の5月1〜20日にはさくら祭も開催され露天が立ち並びます。
松前のさくらを楽しむメインコースは松前城−桜見本林−桜資料館の区間です。最もさくらが密集し華やかで人も多いのです。さらに時間を割いてどうしても歩いてほしいのは桜資料館からぐるっとまわり光善寺、龍雲院をめぐるコースで落ち着いてさくらを楽しむことができ、かつ松前の歴史も垣間見ることができます。さらに時間に余裕がある場合は法華寺、正行寺を訪問したり、新桜見本林からさらにその奥まで丘陵地を登っていくのもいいのではないでしょうか。私個人としてはあまり好きではないのですが松前藩屋敷という小さなテーマパークもあります。
(松前城:270円9時-17時、4月10日〜12月10日、桜資料館:150円、藩屋敷350円9時-17時、4月10日〜11月上旬)
■松前城
松前城の周辺は芝生で開放的な空間が広がります。
■桜見本園
様々なさくらが植えられた桜の見本園があります。さくらにこれだけの種類があるのかと素直に驚かされます。新桜見本園もちょっと奥にあり。
■雨宿
桜資料館の裏手の芝生広場の奥にあった雨宿。私はなんとなくこの雨宿の白さがまぶしく好きでした。
■光善寺
松前の桜の祖とも言われる血脈桜がある寺です。その枝ぶりは人を威嚇するかのようでいて優しさも感じさせる不思議なものでした。門とさくらのコントラストも美しかったです。
■龍雲院
光善院のとなりにあります。さくらはこれといったものはありませんが寺は清楚で落ち着いた雰囲気。光善寺、龍雲院の前の道路を含めて寺町一帯の道路は石畳でゆっくり散歩するのにはいい。
(交通:木古内-[バス90分]-松城-[バス5分]-松前BT)
北海道旅情報巻頭 3-6.花と紅葉とガーデンの旅