小幌駅モノクロスケッチ


室蘭本線の長万部から礼文、そして洞爺に抜ける区間は急峻な山地が海岸まで迫る場所です。長万部側から眺めると静狩を過ぎたその先は壁が立ちはだかっている様な威圧感さえあります。平行する国道はその山中に分け入り標高を上げ峠越えをしていきますが室蘭本線はその山地を幾つもの長大トンネルにより抜けていきます。

そしてそのトンネルに挟まれた場所に小幌駅はあるのです。地形図を見るとトンネルとトンネルの間に駅だけがぽつんと記載されていることがわかりますが本当に駅の部分だけしか明かりの部分がないのです。 そして不思議なことに周囲に人家は全くありません。そして駅からの道は海に降りていく細い踏み跡以外は道がありません。 ゆえに外の世界には全く通じていないのです。この奇妙さに惹かれかつて私は一度だけ小幌駅に降り立ちました。

その後小幌駅は鉄道ジャーナル誌に謎の駅として紹介されたり、堀淳一氏の本では国道からこの駅まで降りてきたことが記されたり活字において目にする機会が多くなりました。そして今では秘境駅として脚光を浴びる存在になっています。訪問に際しては一日3〜4往復の列車が停まるため結構便利。 旭浜駅とセットで訪れるのもいいかもしれません。

たまたまこの一時期はモノクロのフィルムを持ち歩いていた時期で今回の紹介ではモノクロ写真を基にしています。

(交通:長万部-[JR21分]-小幌-[JR7分]-礼文)





駅全景と駅名表。駅は海に程近い山間にぽっかりあります。降り立った時期は2月でまだ雪が多く残る季節でした。



駅のホームとトンネル。



列車の来る時は警報が鳴るためわかるのですがそれでも突然姿を現す列車には驚かされます。私が降り立った時はこの駅の周囲には誰もいなかったのですが、私が乗った列車からは保守の作業をする人が入れ替わりで何人か下車していきました。



北海道旅情報巻頭  3-5.北の鉄路
小幌駅モノクロスケッチ