北方の民族と文化

この本は直接的に北海道の旅に関わる本ではないのですが北海道のアイヌ文化を含む北方民族を知るための概説として重宝される本です。 文章的にはやはり難しいと感じるかもしれないのですが内容は濃く、北方民族学博物館へ併せて行くなどすれば関心が高まることうけあいです。

内容は大きな章に4つに分かれます。 総論、シャマニズム、熊祭、アイヌ文化の北方的要素から構成され、その概要は以下の通りとなります。

総論では北極海を取り巻く民族がどのようにして形成されどのような生活を営んでいたのかが語られます。 衣食住をはじめとした様々な事象は北方独特のものがあります。 暖房器具がない時代にそれらがどのようなものであったかを理解することができます。

シャマニズムではその民族がどのような宗教観を持っていたのかを主題に話が進みます。 それこそ、その時代に生きていた人でないと宗教的価値というものは理解がなかなか難しいものです。 現在まで続いている宗教観は何らかの調べる手だてがありますが考古学的遺物しかない場合研究は困難を極めます。 そんな不可思議な世界が研究された範囲で解説されます。

熊祭ではアイヌの場合はイオマンテと呼ばれる儀式についての話です。 北方の民族では熊は最も尊ばれた動物でした。 そして熊祭は最も重要な儀式として位置づけられるものだったのです。 本来の儀式は数日かかる場合もありますが白老や登別へ行くとそのほんのさわりの部分だけ演じられるのを見ることができます。

最終章ではそんな北方民族の中におけるアイヌ文化はどのようなものであったかが語られます。

全般の内容はどの章も概説の域を出ていません。 ゆえに興味を持った分野をさらに他の本を探し出して読むのがいいのではないかと思います。

北海道旅情報巻頭 10.ブックレビュー
北方の民族と文化