●第241話 投稿者:YS  投稿日: 3月14日(水)01時19分05秒  悪魔大量発生事件が一通り終わった後も、ロイは迷っていた。 「・・やはり助ける必要は無かったようですね・・」  ロイは通信球から入ってきた情報で街の無事を確認した。ロイにとって、名目だけでも助けにいけば、それで十分だったのだ。  確認できた範囲ではロイの知り合いは全員無事のようだ。それさえわかれば急いで戻る必要もない。  どちらにしてもすぐに帰る方法はないのだが・・。  そうして迷っていると、ロイは一軒の家を見つけた。使われていないようだったが、少なくともここ数日の間に出入りした形跡はあった。 「・・」  無言で家の中に入ってすぐにロイは隠し通路を見つけた。あまりにも何もなかったので怪しんで、少し調べたのである。  その通路の奥には男が一人だけいた。何かの作業をしているようだ。 「・・あなたは誰ですか?」 「ただの”技師”だよ」  ロイの質問に男はそう答えると再び作業に戻った。だが、すぐに手を止め・・。 「君はロイかな?」  そう聞いてきた。 「・・そうですけど・・」 「そうか、これを書いた子供というのは君だね」  そういって見せたのは以前ロイがランディに渡したものだった。 「・・何が目的です?」 「協力してもらいたい」  男はロイに向かってそういった。 「これほどの知識を埋もれさせるのは悲しいことだよ。我々の知識はもっと世間の人間・・いや、すべての生物にわからせねばならない」 「・・・・」  ロイはただ無言でそれを聞いている。 「そう、悪魔や神にすらわからせるべきだとは思わないか?」 「・・それで向こうに悪魔を捕らえていると・・」  ロイは暗闇の中で、それをはっきりと確認していた。 「なかなか目が良い様だね。天使もサンプルとして欲しかったが・・」 「・・実力差がありすぎて捕獲は断念したと・・」 「ということは気づいていたのか」 「・・過剰すぎるとは思っていましたが、あなたが必要以上に悪魔を召還していたということですか・・」 「実験には犠牲はつきものだ。街一つなど無くなっても関係はない」 「・・本気でそう思っているなら交渉は・・」 「しかし、あの街が無くなることは計算にはない。面白い素材もいるようなのでね。ほかの天使が来るまではもたせてほしかったが・・」 「・・アルファズール・・」 「ほう、歴史書にはあまり載ってないはずだが・・」 「・・神の滅びた後に生まれた、最初にして最後の神・・」 「おそらく、実際には神の去った後に人によって作られたであろう、最強の兵器だと思っているがね。それを越える物を作りたいとも思っているのだよ」 「・・それから、ヴァンパイア・・」 「それに異能者も大勢いるのだ。滅ぶはずがなかったというものだ」 「・・それで、何をすればいいのです?」 「協力してくれるのか。では、まず二人でこいつを完成させよう」  男の指さした方向には悪魔を取り込んだ合成魔獣の姿があった。 (・・孤児院にはしばらく帰れそうにありませんね・・)  ロイは胸中で、そう呟いた。ロイの行動の真意は、ロイ自身にもわからなかった。 ●第242話 投稿者:タムタム  投稿日: 3月14日(水)17時26分47秒 「…ようやく終わった…」 「そうだね、敵も残っていないし、遣り残した事も無いだろうし」  街の外をぐるっと見回り、負傷してフラフラしていたシュウと合流、途中でぶっ倒れていたケイン回収し、二人ともクラウド医院に放りこんだ所で一段落した。  由羅の安否を確認しに行った所、メロディ共々元気だった。十数体のガーディアンとゼファーが居たので大事には至っていない。  ゼファーが居たのはメロディーと将棋を指しに来た所、この事件が発生したためらしいが、ルシード達の話によるとゼファーは足の怪我が原因で一戦を退いたはずだ。だが、由羅達の前では元気に戦っていたらしい。  魔法を使うのに怪我は関係なかったのか、それとも、怪我は既に完治していたのかは不明だが、由羅を助けてくれていた事に変わりは無いので、アーシィにはその事について深く追求する気にはなれなかった。  ただ一言、『俺の役目は後輩の育成だ』と言うような事をほのめかしていた事があるので、どちらとも言えないだろう。 「これからどうする?」 「そうだね…。いったん教会に行ってから、皆を連れてさくら亭。そして宴会。これでどうだい?」 「いいねぇ。けど、そんなに金あるのか?」  いったん同意してから、ディムルはアーシィへそう訊ねた。雷鳴山事件の後に行われた会話とほとんど同じ。よって、尋ねておきながらディムルには答えが予測出来てしまった。 「お金の心配は要らないよ。幾らでも稼げるからね。君達も一緒に行くだろ?」  怪しい台詞を吐きながら、アーシィはブルーフェザーのメンバーにも声を掛けてみた。由羅とメロディ、アルベルトはまず来る事が確定しているので聞くまでもない。 「良いんですか?」 「もちろんだよ」  遠慮がちに聞いてきたフローネへそう答える。えんかいはおおぜいでやったほうがたのしいのっだー!(メロディ口調) 「じゃあ、アル達は先にさくら亭に行っててくれ。私とディムルは教会に拠ってから行くよ」 「ああ、わかった。じゃあ、先に行ってるぞ」  そう言って、二手に分かれた。  余談だが、アーシィが幾らでも金を稼げると言ったのはジョートショップの仕事以外の事でである。  ジョートショップの運営資金はあくまでもジョートショップの仕事で稼がなくてはならない。そうでないと、アリサさんが受け取らないのだ。人数が増えればいいんだが…。  天使の少女はこっそりと教会を抜け出して、空を見ていた。結界は消え、悪魔の気配も既にない。それに加えて、自分がここに留まる理由はない。  “規則”として、人間界には余り干渉してはいけない事になっている。彼女はその規則を大幅に逸脱する様な行為を行ってしまったのだ。何らかの罰を受ける事は明白だが、それでも戻らなくてはならない。 「さようなら、ローラちゃん…」  そう呟きを残し歩き出す。天界へと帰るために…。 ●第243話 投稿者:ブレードキング  投稿日: 3月14日(水)20時02分43秒 「・・・ったく、もういなくなってるしよぉ・・・」 クロウの声。 既に魔族はいなくなり、今は、帽子を買い終えた後だった。 帽子の色も黒、黒一色である。 アグレッサーは既に反応無し。 寝ているのだろう。 「・・・仕事もねぇ、寝床もねぇ。」 その後、ぼそっと、 寝床はあっても全然必要ないけど。 と吐いた。 クロウは落ち着きがなく、安定した暮らし。という物があまり好きじゃない。 しかし、仕事がないのは困る。 しょうがないので、ふらふらと歩いてみる。 「腹が減った・・・」 空腹を満たす物は何も無い。 仕方無いので、丁度いい木を見つけて、そこによじ登って寝ることにした・・・ そこは、ジョートショップのすぐ側だった・・・ ●第244話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日: 3月16日(金)17時52分04秒 「………」  街からやや離れた場所で、アーウィルは空を見上げた。 『右腕部特殊兵装<戮皇>・第四起動→第一起動 出力減圧  装甲組替・高速白兵戦闘用→通常起動用  現在の反射速度 通常の約一倍を計測』  巨獣の吐息のような音とともに<戮皇>は展開していた装甲を閉じ、その隙間から大量の白い水蒸気を噴出した。  疲れは無い。 「……そもそも、疲れるべき筋肉が無いからな」  言った視線の先で、権天使の少女がエンフィールドに別れを告げようとしていた。 「終わりよければ全て良し、とはよく言ったものだな。今回の騒ぎ……結果としては、 全て我々にとって有益な成果を生んだ」 (貴方は……貴方たちは、自分のしていることに何も疑問を持たないのですか?)  遥か高空から、問いが降る。 「持たない」  即答。 「“疑問を持て”と命令されていないからな。自分たちは、ただ役目を果たすだけだ」 (………なら、何故貴方たちには自我や感情が備わっているのですか? ただ役目を果たすだけの歯車に……)  かなりの戸惑いを含んだ声が返ってくる。 「そんな大層なものじゃない。普通の人間にはある幾つかの感情は欠落している」  見えていないと解ってはいるが、左手で自分の頭を指す。 「それも、ひどく歪な欠落の仕方でね。どう考えても必要の無い感情が残っていたりする。 下手に感情があるよりは、よほど非人間的だと思うが?」 (……何故?) 「解らないな。敢えて言うなら、“あの方だから”という説明しか思いつかない」  千年以上仕えているが、その理由を聞いたことは無い。どのような答えが返ってくるかは、予想できるが。  何となく面白そうだったから、とか、とりあえず残してみたかったから、というものに違いない。  彼の<主>はそういう性格の存在だった。 「もう疑問は無いか? なら、早く帰ることだな。おまえのお陰で、この地の興味深いデータが手に入った。 自分が感謝しているうちに地上から消えろ」 (………)  それには応えず、天使の少女は地上のローラを最後に一瞥し、目を伏せると一条の光の矢と化して地上から消えていった。 『行ったわね』 「ああ」 『ロイが、あの計画に加わったわよ』 「そうか。丁度良いな。今、この周辺でロイが最大限に能力を発揮できるには、あそこをおいてあるまい」 「……ティセのやつ、どこをほっつき歩いてるんだ?」  相当に苛ついた口調でルシードが唸る。口調とは裏腹に、彼の表情には強い焦燥が見える。  なにしろ、あの混乱だ。気がついたら姿が消えていたのだ。 「くそっ……!」  とにかく、もう一度さくら亭の前から探そう。そう思い、力を込めて足を踏み出したルシードの 頭上の空間が、ゆらり、揺らいだ。 「はややや〜〜〜〜〜!!」  聞き覚えのある気合いの抜けた悲鳴とともに、何かが落下し、ルシードを下敷きにした。 「……いつから、空が飛べるようになったんだ? おまえは」  猛烈な脱力感を覚えつつ、尋ねる。 「あ! ご主人さま!」  ルシードに気づくなり、ティセは嬉しそうに笑い。 「新しいお友達ができましたあ〜〜!」 『お友達……』  何も無い空間に、声だけが降る。 『なんだか調子が狂うわね……』 ●第245話 投稿者:紅の狸  投稿日: 3月16日(金)23時37分59秒 「・・・・どうもやることが、後手になるな」 今、ロ−ズレイクの近くに来ていた。天使の気配をたどってここまできたがたった今、天使の気配が消えたどうやら帰ったようだ。 『・・・・ジェノア・・どうするの・・・・』 「まァいいこれ以上面倒にならねえならな・・・」 天使をどうするか考えていたが素直に帰ったのならそれはそれで良いとジェノアは思っていた。 『・・・・これから・・どうするの・・・・』 これからの方針についてイリスが尋ねた。 「そうだな・・・取りあえず顔を見ときてェヤツもいるからな、しばらくこの街に居るか・・・」 どうやらこの街に滞在することに決めたようだ。 「さて・・どうするかな・・・」 この「どうするか」はどこに寝泊りするかを指していた。別に金が無いわけではないが、どこでも寝れるので宿じゃなくても野宿でも良かった。 『・・・・あそこが・・いい・・・・』 イリスはローズレイクのほうを指して言った。 「あそこか・・・」 少し考えたが、どうするか迷っていたので反対する理由は無い。 「そうするか・・・」 疲れたのでさっさと休もうと考えていたので足早にローズレイクに向かって行った。 ●第246話 投稿者:YS  投稿日: 3月17日(土)03時11分48秒           『悪魔の兵器』 「・・思っていたよりも早く完成しましたね・・」  ロイは一人、暗い闇の中にいた。 「ロイ君、なんとかランディを借りることができたよ」  自称”技師”の男の声が聞こえる。 「・・では、ランディさんには撹乱をお願いしておいてください・・」 「わかった。だが、本当にうまく・・」 「・・大丈夫ですよ、データ採取だけが今回の目的です・・」  言葉を遮り、ロイが言う。 「・・殺す必要がなければ、多少の数は問題ないでしょう。それに、完成といえる物は一体ですが、失敗作ならあまってるんでしょう?」 「確かに、足止めという点では問題ないだろうね」 「・・では、試運転といきますか・・」  ロイの目の前には、文字通り悪魔の兵器が眠っていた。 「くそ、ロイの奴・・勝手に人の物を使いやがって・・」  今、ジョートショップで愚痴っているのはケインだ。聞いているのはディムルだけだ。彼は愚痴などとは、よほどの縁があるらしい。  悪魔大量発生の後から、ロイがいないのでポチは動かないため、結果として、ケインが教会の維持費を稼がなくてはいけなくなっていた。  宝石類は揃って炭化していたし、魔法関係の道具は魔力が残っていないのでゴミになっていた。まともに売れるわけがない。  そのため、ジョートショップに仕事を探しにきたのだ。因みにロイの心配は誰もしていないらしい。  アーシィはクロウという男と一緒に仕事で雷鳴山に出かけていた。自警団員数人と協力しての依頼らしい。その中にはアルベルトやシュウもいた。  クロウはジョートショップの側の木の上で寝ていたところをアリサさんに助けられた(?)らしく、仕事を貰いに時々やってきていた。何処に住んでいるのかはわからないが・・。 「とにかくだ、短期ですぐに稼げる仕事はないのか?」 「そんな都合のいい仕事はないッス」  ケインはテディに突っ込まれた。今見ている資料の中には長期の依頼ばかりだ。短期の仕事の開始は最低でも三日は後にしかない。  愚痴をいいながらも、できるだけ早くからできる仕事を探していると、いきなり爆発音が聞こえた。  急いで表に出た二人が見たものは、雷鳴山とローズレイクの周辺から上がる煙だった。場所的には正反対といえる。  雷鳴山にはアーシィやシュウがいるはずだ。何かあっても何とかするだろう。そう判断して、ディムルとケインはローズレイクに向かって走りだした。 ●第247話 投稿者:タムタム  投稿日: 3月17日(土)08時37分19秒 ―雷鳴山―  自警団+ジョートショップで捜索を行っていた。目撃者の証言によると、『奇妙な生物が山の中をうろついている』らしい。今の所被害は無く、目撃証言のあやふやなので、何もいない可能性もあるが真実の可能性もある。  だが、今の所それらしい影も、形跡も発見できていない。このまま何も無ければ平和でいいのだが、そうも行かないのが世の中である。  突然、激しい爆発音が轟き、強烈な爆風が吹きぬける。音のした方を見ると、煙が立ち込めていた。距離にして、それ程離れていないようだ。 「一体何なんだ!?」 「それを確めるのが私達の仕事だろ?さて、行こ…」 「その必要は無いみたいだぞ」  アルベルトに突っ込んだアーシィの言葉を遮り、クロウが更に突っ込んだ。正面から、奇妙な姿をした生物が近付いて来る。妙に膨れ上がった筋肉。身体バランスの崩れた肉体。用途を成さない骨の様な翼。まず間違いなく、自然に発生する生物足り得ない。 「何だか、悪魔みたいな姿ですね」  戦闘態勢に入りながら、シュウがそんな呟きをもらす。アルベルト、クロウも武器を構え対峙する。アーシィはその後ろ。両脇と最後尾に自警団の隊員。丁度アーシィを囲むようにして円陣を組む。  これなら360度見回せる為、不意打ちされる危険性は格段に減る。上空ががら空きなのは仕方ない。広範囲魔法で狙われやすいが、逆に防御するのも楽といえば楽である。 「だが、悪魔とは違う。…この魔法力…どこかで…」  アーシィが呟く。最後の呟きはほとんど聞き取れない、と言うよりは自分でも気付いているかどうか…。  目の前の生物は焦点の合っていない様な目でこちらを見詰めながら、近付いて来る。戦闘は避けられない様だ。 『シルフィード・フェザー』  アーシィが紫色のカードを構えながら呪文を唱え、アルベルト、シュウ、クロウに魔法をかける。数枚の羽のようなものが三人に掛かり、風の精霊の加護を与えた。 「うりゃ!」  最初に飛び出したクロウが何処からとも無く取り出したハンマーを振りかぶり、目の前の敵に叩き付ける。 「げっ」  だが、敵は左手でそれを防ぐと、右腕を振るいクロウを襲う。 「危ない!」  シュウが刀を振るい、その腕を受け止めるが、 「あれっ?」  手応えが変だ。大して硬い訳でもないのに切り裂く事はおろか、傷一つ付いていない。そして、シュウはクロウを巻き込んで弾き飛ばされる。 「なにやってんだ!てめえら!」 「待つんだ!アル!」  アーシィの静止の声を振り切り、アルベルトが突撃していった。敵の攻撃を掻い潜り、心臓(があると思われる場所)へ槍を突き立てようとするが、 「マジか!?」  貫く事が出来ない。表面で衝撃が拡散され、全ての攻撃が受け流される。 「いったん戻るんだ!」  アーシィが声を張り上げながら、魔法弾を放つ。その弾丸は振り上げられた腕に命中するが、効果は今ひとつ。  飛び出していった三人はすぐに戻り、体制を立て直す。戦闘能力が異常に高い訳ではない、が、今までに無い強敵。力任せで倒せるほど、甘い相手ではない様だ。 ●第248話 投稿者:ashukus  投稿日: 3月17日(土)15時27分05秒 「で?どうする?」 謎の生物を前にしてクロウが問う 「ん〜魔法弾の効果も今一つみたいだね」 「どうしましょうか・・・しかも俺は魔法なんて使えませんよ?」 「オレも魔力は自信がねえな」 アルベルトは物理攻撃を得意としているし、シュウに至っては魔力など持っていない。 「しょうがない、これを使うか」 アーシィがカードを取り出す。が、カードを発動させる前に謎の生物の手と思われる部分に魔力が収束していく 「これは・・・」 「危ねえぞ!!」 「散れ!!」 その声に四人は一斉に別方向へ飛ぶ。刹那、魔力が弾け、凄まじい爆音そして爆風が辺りに吹き荒れる。 しかし、その爆破で謎の生物も傷を受け、更におぞましい姿になっていた。が、痛覚が無いのだろうか?何事も無かったようにその場を後にした。 「・・・・・・逃げたのか?」 「いや、そうとは考えられないよ。しかし無理矢理だね」 「まったくだ。魔力を集めるだけ集めて破裂させるとは」 「自分にまでダメージが行ってたみたいですけど」 「とにかく追うぞ」 アルベルトは謎の生物の去っていった方へと走り出す。後の三人もそれに続いていく 十数分後、雷鳴山を捜索中。ちなみにシュウは自警団事務所への報告に出ている。 「おい、どうするんだ?」 アーシィに詰め寄るアルベルト。かなり気が立っているようだ。 「この山全体を私達だけで探すのは無理があるね」 「探し出したとしても倒せる保証があるのか?」 アーシィの言葉に続く木に寄りかかりながらのクロウ 「ん〜そうだね。今のところ分かっているのは物理攻撃が全く効果が無いという事と・・・」 「恐らく知能は備わっていないという事だな」 「そう、恐らくだけどね」 「何でそんなことがわかるんだ?」 「あの正体不明の生物は私達の姿が見えなくなったところであの生物は何も無かったようにその場を後にしただろう?」 「ってことは何だ」 「ん〜推測の域を出ないが、あの生物は本能のみで行動している。そして私達に近づいてきた所から、見た物は敵である。こんな所だろうね」 とそこまで言ってアーシィがなにかを考え込むような表情を浮かべる。 「(しかし・・・・・気になるのはあの姿と、あの魔法力・・・・)」 「どうした?アーシィ」 「いや、とにかくあの生物が街に下りる前に探し出そう」 建設的なアーシィ。と、クロウが再び問う 「それで?倒せる保証はあるのか?」 「魔法弾が命中した時に僅かだけど傷が付いた。魔力を破裂させた時もね。だから魔法的な攻撃なら極めて僅かだけど効果があると思う」 と、その時、三人の所へシュウが駆け込んできた。 「アルベルトさん!!大変ですよ!!」 「どうした?」 「さっきと同じのがローズレイクにも出てたとかで」 「なんだと?」 ●第249話 投稿者:紅の狸  投稿日: 3月20日(火)02時55分45秒 雷鳴山の攻防とほぼ同時刻、ローズレイクに爆発と共に出現した怪物とジェノアは対峙していた。 「(・・・こいつ)」 怪物の姿は異様なものだった。顔は雷鳴山に出たものと同じだが全体的に筋肉が以上で特に腕が長く膨れ上がり背中から太い角のような物が出ていた。雷鳴山の奴と違うタイプだがそんな事をジェノアは、知る好も無かった。 「・・・どう見るイリス」 『・・・・魔属の気配・・でも・・なにか違う・・・・』 「たしかに・・な・・・」 レイブンは魔属の知識はかなり持っている、しかし目の前の相手はその知識のどれにも当てはまら無い。 「・・・だが魔属の気配がするのなら倒すまでだ」 ジェノアが王太刀を抜き構えた。そして一気に懐に入り横薙ぎの一撃を入れた、だが 「なに!」 かなりの力を込めたはずだが傷一つ付いていない。そして一撃で決めるはずだったため懐に入りすぎていた。 「チィィ!」 怪物の右腕がジェノアを襲ったが何とか紙一重でよけ間合いを取った。外れた右腕が当たった地面はえぐれている。 「・・・(あれに当たったらただじゃすまねェな・・・それにあの体・・・)」 何とかかわしたが攻撃力、防御力共にかなりの強敵のようだ。 『・・・・ジェノア・・大丈夫・・・・』 「・・・ああ、だが随分と厄介だな」 そう言うとジェノアは王太刀の柄を開けたそして刀身が赤熱化していく。 「おォォォ!」 もう一度、怪物に斬りこむ怪物も右腕で攻撃してきたが、体を回転させ避けそのまま怪物に斬りつけた。そしてわずかだが傷がついた。 「どうやら魔力での攻撃なら効くみてェだな・・・」 魔力での攻撃が効くと判りもう一度王太刀構え対峙する。 そして一方、少し離れた場所に 「なんだ、あいつ等は?」 「どうやら、あいつ等が騒ぎの原因みたいだな」 ローズレイクに向かっていたケインとディムルが到着したようだ。 ●第250話 投稿者:タムタム  投稿日: 3月20日(火)09時23分50秒 「ったく!どうなってやがる!」  何か嫌な事でもあったのか、今日のアルベルトは少々イライラし過ぎである。 「ちょと落ち着いてくださいよ」  シュウが何とかなだめ様としているが、余り効果が無い様だ。そんな二人を見ながら、クロウとアーシィが話し合っていた。 「どうするんだ?」 「ん〜。私達はこのまま捜索を続けよう。こちらを放って戻っても仕方ないし」  朝方、ケインとディムルがジョートショップに来ていたので街の方は何とかしてくれるだろう。…本当はディムルも連れて来るはずだったが、ケインに捕まっていたのでそれは断念するしかなかった。…結果的には正解なのか? 「で、どうやって後を追う?」 「そうだね。僅かに感じる魔力を辿っていけばそのうちたどり着くと思うよ」 「そのうちか…。気の長い話だ」 「そう。だけど、他に手段は無いからね。行動するしかないんだよ」 「だったらすぐに出発だ」  取りあえず、ある程度落ち着きを取り戻したアルベルトが声をかけてきた。シュウは何だか疲れてしまっているようだ。それがアルベルトをなだめたせいか、雷鳴山から街までを走って往復したせいかは定かではないが。 ―十数分が経過― 「だいぶ近づいて来た様だね」  アーシィがそんな呟きをもらした。地面を見ると、足跡のような物が残っている。おそらく、あの魔物の物だろう。  今度はその足跡を頼りに進んで行く。段々、魔物の気配が強くなり、 「とうとう見つけたぞ」  アルベルトの目線の先には先ほどの魔物がいた。だが、その姿は…。 「酷い姿ですね」  シュウが呟いた。確かに、余り直視したくないほどその姿は歪んでいた。 「ん〜。戦う必要が無いかもしれないね」 「なんでだ?」  クロウの率直な質問だった。 「まあ、見てなさい」  言うが速いか、アーシィがいきなり魔法弾を放った。その弾丸は魔物の左腕に命中し、―ボトッ―と、嫌な音を立ててその腕が地面に落ちる。  魔物は落ちた左腕を気にもせずにこちらを振り向いた。そして、こちらを“敵”と判断し突撃してくる。だが、その動きは鈍く、途中で木の枝などに引っ掛かり傷を負って行く。 「どう…なっているんだ…」 「…組織が崩壊しかかっているんだよ。もう、永くは持たない…」  呆気に取られた様に呟いたアルベルトへ、アーシィが忌々しそうに呟いた。おそらく、創った側もそれは重々承知の上での事だろう。これは無茶な性質を付けた代償だ。 「…これで終わらせて上げよう…」  放たれた魔法弾は魔物の頭を打ち砕く。そして、そのまま仰向けに倒れ、その体がボロボロと崩れ落ちていった。 「終わったのか?」  余りに呆気無い最後に、クロウが気の抜けた呟きをもらした。 「まだだよ。まだ終わっていない」  そう、この原因を突き止めない事には本当に終わったとは言えない。彼らは雷鳴山の探索を再会した。