教育実習での失敗談

失敗を起こしたところ「塩酸の電気分解」(3年生)

私は実験補佐をやりました。使った塩酸の濃度は濃塩酸:水=1:3でした。直流7Vくらいで電気分解すると陽極に塩素、陰極に塩素がたまりますが塩素は水に溶けやすいためなかなか集まりません。塩素は7分くらいで発生が確認できるくらいたまります。その後は塩素濃度が飽和に達するので、たまるのにかかる時間は短くなります。そのかわり陰極にも塩素が入り、陰極なのに塩素臭いということになります。

失敗

実験後、生徒にはH型管の塩酸はそのままにして戻させました。で、私が白金電極を取り外して 塩酸の抜き取り作業をしていましたが、6本目くらいの時指先の皮膚がめくれたような感じがしました。「あれ?。」と思い、水道水で手を洗いました。手がぬるぬるしてきました。よく見たら右の人差し指の皮膚が一部溶けていました。少しひりひりしましたが大して気にとめていませんでした。いい機会だと思い、班を回って「塩酸は気を付けないとこんな事になっちゃうんだよ。」と言って回りました。生徒は「先生、痛くないの?。」とか、「指紋なくなっちゃうの?。」とか心配してくれましたが、中には「先生馬鹿じゃない?。気を付けなくちゃダメだよ。」なんて言ってくれた生徒もいました。おっしゃる通りです・・・。でも滅多に見られるものではないので生徒にはいい経験になったようです。

失敗を起こしたところ「イオンの移動を見る実験の予備実験」

ろ紙に硫酸ナトリウム1%溶液をしみこませて、真ん中に塩化銅飽和水溶液を色が付くくらい少量付けてスライドガラスで挟みました。ろ紙の両端を蛇の目クリップで挟み、直流電源につなぎました。20Vくらいの電圧をかけて銅イオンの青色の移動を見ていました。20分くらいしても色の移動が見えませんでしたが、アンモニア水に近づけると陰極側に濃青色の部分が見え、銅イオンの移動が確認できました(これは銅イオンがアンモニアでテトラアンミン銅イオン[Cu(NH3)4]2+になることを利用しています)。ちなみにこの実験は私は演示でやろうと思いましたが時間がなかったのでカットしました。もう一人の教生は生徒実験でやらせました。

失敗

電圧をかけておいて実験台の上で書き物をしていたらどうも左手がしびれる。何だろうなーと思ってよく見てみたら電圧をかけていたろ紙の端が私の指に触っていました。その後1時間くらいしびれがとれませんでした。

失敗を起こしたところ「学活での演示実験」

理科の教生10人は理科に興味を持ってもらおうと、学活の時間におもしろい実験を見せていました。メチレンブルーの振動反応などを見せていました。私は銀鏡反応を見せました。硝酸銀水溶液を試験管に3cmほど入れ、アンモニア水を褐色沈殿がなくなるまで入れ、ホルマリンを2〜3cm入てそーっと振ると、まず一気に灰色になり、しばらくすると試験管の内側に銀の鏡ができてきます。ホルマリンの量が少ないと銀の鏡ができません。この反応はグルコースなどでもできますが、還元性の強い物質を使ったほうがきれいに鏡ができます。

失敗

硝酸銀を入れたときに手に付いてしまいました。時間がそんなになかったのですぐに手を洗わずに実験を続けました。2〜3日して、どうも右の人差し指が黒いので変だなあと思いましたが、硝酸銀がついたことを思い出し、失敗したーっと思いました。ビーカー洗いで皮膚がふやけたところでこすって復活しました。さらに、1週間位すると今度は爪が黒くなりました。これは洗ってもダメだったので爪用のヤスリで表面を削りました。

失敗を起こしたところ「化学電池の実験の後片づけ」

化学電池の実験で銅板、亜鉛板、アルミニウム板を使いました。実験後、紙の上に全部まとめておいておきましたが、実習が終わって片づけようとしたら銅板がさびたり緑青が出たりしてかなり汚くなっていました。で、硝酸を使って洗うことにしました。銅はイオン化傾向が小さいので塩酸では溶けません。濃硝酸や熱濃硫酸で溶かします。銅を硝酸の中に入れてしばらくすると銅の表面から気体が発生します。その気体は二酸化窒素で、茶褐色なので色の付いた気体の例として使えますが、有毒なため換気をよくする必要があります。銅イオンが溶けるため硝酸はだんだん青色になってきます。廃液は銅イオンを含むため、水酸化ナトリウム溶液で中和して水酸化銅(すぐ酸化して酸化銅になるが)の沈殿としたり、乾燥させるなどして銅を回収する必要があります。硝酸はキサントプロテイン反応と言ってタンパク質を侵します。皮膚につくと黄色くなってしまうのでこまめに手を洗う必要があります。

失敗

硝酸の瓶が空になったので新しい硝酸を開けました。が、古くて中のプラスチック栓がぼろぼろ。取ろうとして爪を立てても栓がぼろぼろになってしまいます。あーあーあー、と思って手を洗おうとしましたが、どうもいやな予感が・・・。指先が黄色くなってる!。あわてて手を洗いましたが落ちない!。近くにいた生徒が「先生、なにあわててるの?。」と聞いてきたので「手が黄色くなっちゃった。」と答えると「えっ!。」と言ってのぞいてきました。「それであわててたんだ。」なんて生徒はのんきなものです。私にしてみればそんな手をしていたら知らない人はびっくりするだろうし、結構ショックでした。

失敗?を起こしたところ「新横浜駅」

学校に行くのに私は新横浜の駅から市営地下鉄に乗ります。で、ホームで本を読んでいたら急に活字が見えなくなりました。なにごとか!と思ったらメガネのレンズが落ちていました。幸いレンズを止めているネジはフレームにくっついていたので精密ドライバーがあれば直せました。が、仕方がないのでとにかくメガネを外して学校に行きました。先生に尋ねると精密ドライバーは理科室にあるはずなのに見つかりません。私が行う授業はなかったので大丈夫かなと思いましたが1時間目の授業が始まるので理科室の後ろに立つと何も見えない・・・。凧糸で結ぼうとも思いましたがゆるくなってしまいます。そこで見つけたのは蛇の目クリップ。こいつでフレームをはさんでやればレンズは落ちません。が、小さいものがない。でっかい蛇の目クリップ(おまけにさびてる)で止めました。めちゃくちゃまぬけです。遠くから見ても何か頭が出っ張っているように見えるらしい。あまり前の方に行くと生徒の気が散って授業者の迷惑になると思い、ずっと後ろの方にいました。が、案の定生徒は私のメガネが気になっています。くすくす笑っています。でもそのことによって私が授業をしなかった学年の生徒も「先生どうしたの?。」とか「なにそれ?」などと声をかけてくれました。ある生徒が「先生、これ使いますか?」などと小さいクリップを持ってきてくれました。が、放課後でもう今日は生徒と接することもないし、家に帰るのにはメガネを外すつもりでいたので(自分でも気に入っていたところもある・・・)「いいや、ありがとうね。」と断りました。家で精密ドライバーを探し、無事に直りました。次の日学校に行くと教生も生徒も開口一番「メガネ大丈夫だった?。」。教生から「同じネタで2日ももたすってすごいなあ。」と言われてしまいました。指導教官の先生には実習記録に「よく考えたね」の印を押されてしまいました・・・。


HIDEKAZUホームページに戻る