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第60回  工房の 夏休みの自由研究 完結編

でもさぁ、今回の事についてだけ云えば、
 オレは悪くないからなっ!

そうそう。
うーん、、、。
だって、そうじゃないかよォ。オレは嘘なんて書いてないんだからさ。」
そーだ、そーだ。
でも、普通は信じないよ、あんな観察日記。
何云ってんだいっ。輝豸雄だって見て知ってるだろうにぃ。
そうだけどさぁ、、、、、。
でもさぁ、傑作だったよな、あの時のセンセイの必死な顔!
うんうん。
絶対本当だって云ってるのに、『本当なら学校に持って来い』だもんなぁ。
 大人げなかったね、センセイも。

でもさぁ、本当に連れて来なくてもよかったんじゃないの?
何だよォ、それじゃぁ輝豸雄はオレが学校で嘘つき呼ばわりされても
 良いっていうのかよっ!

そうだよ輝豸雄くん、嘘つきは善くないよ。
でもさぁ、、、、。
何だよォ?
センセイたち、何処に行っちゃったんだろう?
さあな。一人二人は下敷きになってるかも?
クラスのみんなは?
輝豸雄が大きな声で『逃げろ!』って騒いでいたから、無事なんじゃないの?
うんうん。
みんなの自由研究も潰れちゃったね。
オレが潰したんじゃないからな。
うんうん。
まぁ、学校も潰れちゃったから、、、、。いいけど。
これから、どうする?
そうだなぁ、コイツも落ち着いたようだし、一度家に連れて帰るわ、オレ。
それが良いね。
うんうん。


    

それにしても、大きくなったねぇ。
毎日、ペディグリーチャム50缶やったからな。
ごっ、50缶!?
おいしそうだねぇ。とってもいい匂いがするよっ。



じゃ、オレ帰るわ。
バイバ〜イ。
さいなら〜。
そう言えば、輝豸雄!おまえの自由研究って何だったのさ?
いっ、いやぁたいした物じゃなかったからさ。
そうかぁ、潰しちゃってごめんな。
ううん、大丈夫、気にしてないから。
じゃ、明日な。
うん、明日ね。
あした〜、あした〜。



 輝豸雄が、夏休みの自由研究を提出していなかったのは、紛れもない事実である。

                                                   第61回に続く