ITCについて

(1992年春に「Noetic Sciences Review」に載った記事「When Dimensions Cross」の抄訳)

多次元の宇宙

 これから紹介するヨーロッパの研究者達は霊的存在達の次元から、アストラル界*1にある、多くの点で我々の世界と似通った広大な世界についての詳細な報告を受け取っています。これらの次元には何十億という霊的な存在達が住み、似たような興味を持った者達が集まってコミュニティを作り、それぞれに栄えていると報告されています。

 霊達の領域は一般的に、構成物質の密度と振動の割合(または周波数)によってそれぞれに異なる次元または階層として表され、それぞれの次元は我々の中の霊的な体のように互いに同じ空間を共有しているといわれます。現実世界に暮らし、物質的なものに心を奪われている多数の人々にとって、この考えは理解しがたいものです。霊界の階層をビルの各階のように、ひとつひとつの階層がそれぞれ他の階層の上に載っているというようにイラスト化して示した方が分かりやすいでしょう。右図に霊界を単純に示してあります。

 物質界(我々をとりまく世界、我々が感知することのできる現実)は、比較的密度の濃い、ゆっくりと振動する物質でできています。

 アストラル界は一般的に下層・中層・上層に分けられますが、実際はそれぞれの階層がたくさんの異なる振動数を持った次元を含んでいるといわれます。肉体を脱ぎ捨てた者はそのアストラル体の振動に応じて、同じ割合で振動する物質でできたアストラル界の中の特定の階層で目を覚ますと報告されています。地球とその彼方での生活において、我々の振動数は明らかに、思考と態度、そして精神的な事柄の理解度によって変化します。恐れと怒りは低い振動を生み出し、愛はとても高い振動を生み出します。交差した次元の存在に気づくことで高い振動が生じる一方、(宗教、科学や政治などに起因する)オーソドックスで閉鎖的な考えは低い振動を生みます。現実世界への執着は低い振動を作り出し、東洋の伝統である瞑想は高い振動を生み出します。

 アストラル界の下層は暗く陰気な、キリスト教の煉獄や地獄を思わせる世界として表現されます。死後の低い振動を持った者達の思考や態度は、彼らを現実世界へと引き寄せ、混乱した状態のまま現実界の階層の近くに捕らわれたままにしてしまいます。重力や時間、空間という概念は霊界にはありませんが、この階層に来た者は地球時間で何年も何世紀もその当惑した状態で過ごし、死んだことさえ知らず、しばしば問題を引き起こします。この記事では、その問題の詳細を述べるだけの時間もページもないのでこれ以上は述べません。

 アストラル界の中層は心地よい領域として表現されています。我々の多くは地球上での「野外実習」の後にこの世界で目覚め、再び生活を始めます。

 アストラル界の上層はとてもすばらしいところで、キリスト教徒からは天国と呼ばれ、スピリチュアリストからは「常夏の国」と呼ばれています。

 心因界は、この世の欲求と争いとは無縁の、神聖なインスピレーションに満ちた世界として表現されています。これらの次元に住む者達は地球上に住む者達に無言のメッセージを送り、革新的な芸術や技術が生まれる助けをしています。

 天界は、肉体を身にまとう我々の理解を超えていて、この記事の領域も逸脱しています。

 ITCが現在コンタクトしている相手はアストラル界の存在のようです。アストラル界は、ごまかし・恐れ・暴力の巣くう密度の濃い地上界と、より高く捉えがたい、純粋な愛・光・機知に富んだ領域との間の緩衝帯として働くと言われ、景観は地球のようだと報告されています。地球のように見えるのは、多分、こちらの世界を去って訪れる「新訪者」が心地よく感じることが重要だったからでしょう。各国の研究者が、地球上のものと似ていますがしばしばとても荘厳な、アストラル界のコンサートホール・美術館・病院・学校・家について説明するメッセージを受け取ったと報告しています。木々・花々・山・牧草地・川を含む景色は、やはりこちらのものと同じように見えますが、ずっと素晴らしく息を飲むものです。新しくここを訪れた者はもう食べる必要がないとはいえ、一応食べることができます。セックスもできます。もちろん誰も妊娠する者はいませんが。このような「地球的な」快楽は、だんだんとその重要性を失っていくと言われています。アストラル界はいつでも、我々が死んでから、あるいはより高い次元に行くまで、健康の回復と精神性の成長に対してとても心地よい環境を提供するそうです。

電気的な声の現象(EVP : The Electronic Voice Phenomena)

 1950年代の終わりに、スウェーデンの心理学者コンスタンティン・ラウディヴ*2(Konstantin Raudive)は、何も入っていないはずのテープに言葉が録音されているのに気づきました。彼はこの現象(EVP)を調べるために小さな研究チームを結成し、最終的に10万本以上のテープを作りました。

 同じ頃、スウェーデンの映画製作者フリードリッヒ・ユルゲンソン(Fredrich Juergenson)は、戸外で鳥の声を録音していたときにこの現象に出会いました。彼のEVP研究は、その後25年間続きます。

 1980年代になると、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アジアの何千というEVP研究者達が、自分はかつて地球上で人間として実在し、今は霊的な存在になっている、と主張する実体からのメッセージを受け取り続けています。

ITCの研究の出現

 1970年代にアメリカのITC研究の先駆者であるジョージ・W・ミーク(George W. Meek)は、EVPの研究を違う目的:当時の研究から導き出せる短い通信よりも、より長時間の双方向通信を実現するために始めました。ウィリアム・オニール( William O'Neil )という、サイキックな能力も合わせ持つ電子技師を雇うことで、ミークはすぐに望む結果を得ます。主にオニールによって設計されたスピリコム(Spiricom)という機械を用いて、オニールと、明らかにアストラル界の下層と中層に住むと思われる三体の存在との間で会話が持たれました。その中でも特に興味深いコンタクトは、14年前に亡くなった、大学教授で電子工学の権威でもあるジョージ・ジェフリー・ミュラー(George Jeffries Mueller)博士とのものです。

 オニールとミュラー博士とのユーモアと啓発に富んだ会話は、数時間ものテープとして録音されています。ミュラーはスピリコムの開発の手助けもしてくれました。ミュラーの声が機械から聞こえてきたとき、その声はこう言いました:「問題は三番目のレジスタに入力されるインピーダンスが合っていない点だ。150オーム、0.5ワットのレジスタを、0.0047マイクロファラドのセラミックコンデンサと共に並列に配置するといいだろう。」 霊界からのこのような技術的な援助は、当時としては前代未聞のことでした。

 しかしこのような馴染みのない新しい考えは、それがどんなに重要で驚くべきものであっても、次世代の研究者たちがそれを消化しきるまでは、どこか不愉快なものでした。1982年3月に、周到に計画された国際的なイベント(ミーク自身がワシントンの国際記者クラブで50人のリポーターを集めて開いた記者会見や、各国の研究者やリポーターと彼の驚異的な成功について論じるための旅など)が実施されましたが、メディアや一般大衆の関心を得ることはできませんでした。それでも、少なくとも種は捲かれ、その根が広がるまでにはたいして時間がかかりませんでした。

 月が経つにつれ、ミークの宣伝キャンペーンは大勢の研究者の驚くべき成功を導きます。USA、ブラジル、ロシア、そしてヨーロッパの各国で始まった研究プロジェクトが、テープレコーダ、電話、コンピュータ、ラジオ、テレビを通じて、霊とコンタクトをしているというニュースが広まりました。

 1985年にドイツのサイキックであるクラウス・シュライバー(Klaus Schreiber)は、テレビ上に亡くなった家族や関係者、その他の人々の姿を写すことに成功し始めました。ときに声だけが聞こえてくる場合がありますが、その声はテレビをどうチューニングすればもっとよく受信できるかを伝えてきます。典型的なセッションはテレビ画面いっぱいの点から始まり、次に小さな楕円が後から後から現れ、大きくなって画面の外に消えていきます。数分後に何人かの顔が現れてしゃべりだし、シュライバー自身とその仲間を驚かせます。シュライバーは亡くなってからすぐに、ヨーロッパのITC研究者のテレビ画面にその顔を現し始めました。

 少し前にふれたEVPの先駆者であるラウディヴとユルゲンソンも最近亡くなり、死後の世界でどんどん数が増えている研究者の一員となっています。

 1990年4月にジョージ・ミークの妻ジェネット(Jeanette)が、長い病気の末に亡くなりました。しかし、彼女が他界する前に、ミークがタイムストリーム(TimeStream:ルクセンブルグの比較的新しい重要な研究所とつながっている、他界側の送信ステーション)とスェジェン・サルター(Swejen Salter:他界側のシスオペ兼研究指導者)の2つの名前を絶対に覚えているように言ったおかげで、ジェネットのその記憶は他界後に帰巣本能として働き、彼女をその研究ステーションへと引き寄せたのです。

 ジェネットの葬儀の三ヶ月後、ジェネットはタイムストリームステーションから、ルクセンブルグのコンピュータを通じてジョージに次の手紙を送りました。

親愛なる G.W.

さて、ここルクセンブルグであなたの友達達が続けているコンタクトを、まだ信じられない人達がいるようですね。そのため私は、あなたとモリーしか知らないはずの個人的な情報を書くことにします。

一番め。1987年の4月の終わりに、私たちの部屋を借りているデビーが冷蔵庫が止まったと電話をしてきたわね。あれは木曜日の朝のことだったと思うわ・・・

二番目。1987年4月29日にアン・ヴァランティン(Ann Valentinin)はカリフォルニアから手紙を書いたわ。その内容は、注文した
"The Magic of Living Forever"(永遠に生きることのマジック)*3という小冊子がまだ届いていなく、替わりにハーレクインの小説が詰まった箱が来たというものよ。

三番目。ジョン・ラスロップ(John Lathrop)が、私たちの借家の庭に新しい照明を取り付けるために電気を止めたわね。彼が庭にいたのはほんの少しの時間だったのに、サービス料として20ドルを請求され、その上電球代の40ドルと税金を加えた金額を請求されたわ。あれはちょっと高すぎたわよね。

これを説明しようとは考えないで。終わることのない愛を送ります。会えなくてさみしいけれど、いずれまた一緒になれるわ・・・。

永遠の愛を・・・、ジェネット・ダンカン・ミーク


 ITCのコンタクトの正当性を立証するために、ジェネットはミーク家とその秘書モリー・フィロ(Molly Philo)しか知らない、3つのとても個人的な事柄を選びました。実際、2番目の恋愛小説に関してはジョージですらも全く当惑してしまいました。

 ルクセンブルグのチームからジェネットの手紙を受け取ったミークはとても興奮し、早速2番目の記述を確かめるために、カリフォルニアのアン・ヴァランティンに電話しました。確かにその小説は1987年に、どうしてかわからないがとにかく届いていて、今日に至っても誰が送ったのか分かっていません。

ITCの今日

 ITCの研究を成功に導く要因はたくさんあります。人間に関わること(地球側の研究者の態度・信念・思考)、技術的なこと(地球側の実験者が実際に使用する器具とコンピュータプログラム)、さらに他界側で有能なレベルの高い霊的な存在が積極的に参加してくれること。この中でも抜きんでて一番重要な要因は人間に関わることのようです。

 今日、世界で一番いい成果を挙げている研究所でも、簡単に手に入る電子機器を使っています。特殊な設定はすべて他界側の共同研究者達から与えられます。

ITCにおける人間要素

 ITCにとって研究者チームの集団思考は、使用する機械類よりもずっと大きな役割を担うと言われています。ルクセンブルグのチームは他界側の同僚からこう言われたそうです、「君たちが組み立てている装置は、関係者達の精神的な進歩が十分でなければ機能しないだろう。」

 研究者達が協力しあい一体化するということは、網の目やネットワークのようです:全員がうまくリンクされていなければ強固で完全なものはできません。

 最も成果を挙げているITCの研究者は、他界側の協力者と同じようになっていきます:彼らの振動数は増えていき、テレパシーの能力が上達してくるのです。こうなってくると、彼らは霊界の法則に従うようになってきます。彼らの考えは純粋で正直になり、高次の世界には相応しくないと言われるごまかしの心はなくなっていきます。

 オーディオとビデオを用いた超自然的なコンタクトの間、振動の場、またはコンタクトフィールドが、両側のすべての関係者の間に生まれます。これは関係者全員のテレパシー能力・思考・態度(特にITC研究に対する態度)によって形成されると言われています。もし観衆の誰かが他界からの声の真実性を疑うと、その疑惑はこのグループのコンタクトの可能性を抑制してしまいます。

 ルクセンブルグでのITCのセッションは、元々は一般に開放されていました:興味のある者は誰でもコンタクトフィールドの一部となり得たのです。コンタクトフィールドは精神と感情の性質―ポジティヴとネガティヴの両方―が複雑に絡み合って形成されるので、そのフィールドは他界側からのポジティヴ・ネガティヴ両方の精神的影響を受けてしまいました。研究者達の生活はすぐに事故や病気、仕事上の衝突や問題によって侵されはじめたのです。彼らは(霊の)物質化と非物質化、時間とエネルギーを消耗するどうしようもない状況について報告しています。この信じられないほどの不幸の連続は、ネガティヴな精神的影響が原因となって起こりました。

技術的な考察

 霊界から物質界へ情報や映像を送ってくる実際の「メカニズム」は、近代の科学の枠組みではすべては理解できません。他界側はテキストや画像を人間の使うアルファベットやイラストとして送っているのではなく、思考による刺激として送り、それが受け手の思考と一緒になると単語や絵として届くと報告されています。これはホログラムの原理と似ています。ホログラムを生み出すための平面には何のイメージもなく、レーザー光が当たって立体映像が形成されるまでは単なる傷のある表面でしかありません。向こう側が送るコンピュータテキストやビデオ画像はホログラムのイメージのようです:こちら側の研究者と装置は傷のある表面で、霊界側の思考の刺激はレーザーに相当するでしょう。

 ビデオ。霊界側から画像を送るとき、それがいつ、どのような形で地球側で受け取られるのか、ときには受け取ることができるのかどうかでさえ定かではありません。結果は受け手の能力(個性・アイデア・欲求・思考)によって左右されます。例えばジョージ・ワシントンが送信センターにいて、霊としての現在の彼の姿を、地球側の6人のグループに向かって送信するとします。

 その絵が届くのはいつでしょう? もし受け手が皆ITCの研究者で、ITCに傾倒し、深い信念を持って実験を行っている親友同士だったとしたら、画像は送ってから数秒後に現われるかもしれません。もし受け手の何人かがプロジェクトに畏敬の念を抱く新参者だったとして、その彼等が二週間の間にリラックスしてきて熱狂的な参加者になったとすると、画像はその二週間以内に現われるでしょう。受け手が6人のきわめて強力なサイキックで、それぞれがワシントンについて違う考え(彼がアストラル界で進歩を遂げていると思う、彼は生まれ変わっているはずだからアストラル界の送信ステーションにいるはずがない、など)を持っていると、彼等の強力な思考は互いに混ざりあい、ついには画像を受け取るのが不可能というほどコンタクトフィールドを乱してしまう可能性があります。

 画像はどう見えるでしょう? 受け手が経験豊かで客観的なITCの研究者達による緊密なグループであれば、ワシントンの霊としての現在の正しい姿が写し出される可能性が高いといえます。しかし受け手が代表的なアメリカ合衆国の市民であれば、画像は、一般的なアメリカ人がこのかつての著名な大統領について心に思い浮かべる1ドル札のような形で見えるかもしれません。

 コンピュータテキスト。コンピュータ経由のコンタクトは最も興奮させられる、可能性にあふれた実りある現象です。イギリスのケネス・ウエブスター(Kenneth Webster)は、その地方で3世紀以上前に亡くなった人達との、コンピュータを用いた200回以上にも及ぶコンタクト記録を本にしました(現在は絶版)。ウエブスターの主要なコンタクトのひとつに、16世紀にその町がまだブリストル(Bristol)と呼ばれていた頃、ウエブスターが現在住んでいる家に住んでいたイギリス人トーマス・ハーデン(Thomas Harden)とのものがあります。ハーデンはアストラル界から、ウエブスターの居間にある電気装置を見ることができました。彼はコンピュータを、ウエブスターの暖炉の近くの、たくさんの光の存在が座っている箱と表現しています。ハーデンは古式英語を用いていろいろな方法でコンタクトしてきました:テレパシー、ノートへのなぐり書き、床にチョークで書き込む、そして最も重要なのはコンピュータのモニタに示され、ハードディスクに生成されたファイルです。ハーデンは後に、地球側での協力者のウエブスターに対して、こういった書き込みは彼の意志、または「光の箱」の中の視覚化に従って実現されたと説明しています。

 コンピュータのスキャンイメージ*4。霊界側でもこちらと同じような方式で写真が撮られるといいます:光は対象物に反射して、フィルムのような物質に写ります。イメージの中に見られる光について尋ねた研究者がいますが、彼女の霊界側の協力者はこう説明しました。「光として見えるのはアストラル界を超越した高次の存在で、アストラル界のレベルの者の協力がなければ、そちら側ではこの存在を人の形のように見ることはできません。またこの存在のおかげで、地球側のあなた方が全体のイメージを見ることができています。」

 霊界側で写真が撮られると、そのイメージは向こう側のコンピュータにスキャンした上で取り込まれ、霊界側の技術者がそれを地球側のスキャン用のプログラムに送り込むといわれています。

霊側の要素

 霊的な存在達がITC研究の発展にどう影響してきたかを示すために、世界でもっともよい結果を得ているルクセンブルグのITC研究所(CETL)の歴史にふれ、研究者達がどのようにして霊界側の共同研究者とコンタクトを取って来たかを見てみましょう。

 1985年6月、マギー・ハーシュ=フィッシュバッハ(Maggy Harsh-Fischbach)はテープレコーダで実験を始め、一週間もしないうちに最初のコンタクトを得ます。しかし、夫のジュール (Jules)は電話回線や近所の会話などから声が録音されることのないように、田舎で実験をすることを提案しました。ラジオやテレビの影響を取り除くのに苦労しながらも、マギーは再び成功します。 この経験と先進的な研究者達からの知識(特にコンスタンティン・ラウディヴの近年の成果)を元に、マギーとジュールは霊界への扉を今までにないほど大きく開くことを決意しました。アストラル界の存在達は高次の存在が望まない限り、そのベールの向こうからコンタクトしてくることができないので、この精神的交信能力に長けた夫婦は研究を始めた当初から、高次の存在に彼らを導き見守ってくれるように訴えています。

 1985年の終わり頃に彼らは他の人々と会い始め、すぐに毎週行う録音セッションのまとめ役となりました。彼らには、「ラウディヴのような献身的な研究者は機会さえ与えられれば、向こう側から彼らを助けてくれるだろう」、という強い予感があり、ラウディヴのコンタクトを毎週待ち望んでいました。彼らは無数の声をランダムに拾ってきましたが、ある日、たくさんのかすかな声の中にラウディヴのものと思われる深い声を発見します。時が経つにつれこのグループの努力は実を結び、彼らとコンスタンティン・ラウディヴとの間にしっかりとしたコンタクトフィールドを形成することに成功し、地球側にいたときのラウディヴの声を思い起こさせる深い声が、会合ではいつも聞かれるようになりました。1986年の春にいくつかの機器(テレビ一台、ラジオ二台、場の発生器*5一台、二つの紫外線ランプ)を加えた後、その声ははっきりと響き渡りました、「こちらは夏です、いつも夏です!」

 8月のある日、ジュールとマギーが彼らの小さな時計付きラジオに聞き入っていた時に、音楽が止まり、せき立てるような音がスピーカからあふれ、そして喜びと満足に満ち溢れた深い声がスピーカから響きました、「こちらはコンスタンティン・ラウディヴ。すぐにどこでも可能になります!」

 この後、ドアはさらに広く、広く開かれました。亡くなった親類や友達達が頻繁に言葉を伝えてきます。ラウディヴはすべての録音セッションで話します。一台のテレビと二台のラジオはしばしば変な雑音をだし、時にはひとりでにチューニングされたりしました。柔らかな声が研究チームに対して、ユーロシグナル*6にチューニングしてその後はダイアルに触らないように指示しました。ときどき、グループのメンバーの中でもより感覚の優れた者が、霊界側からの声の指導がないのに、機器を調整せずにはいられないという説明しがたい衝動にとらわれます。研究者の何人かは後に、霊界側の我々に対する影響は、一般に考えられているよりはるかに大きいと語っています。

 1986年の秋、高いピッチのまるでコンピュータのような、人間の声に似せるために合成されたような声が、セッションに新しく混ざってきました。その声は自分自身を、他の世界からこの(向こう側の)世界に来た先進的な技術者と紹介し、この類のコンタクトに関わりたかったら地球に担当が決まり、我々のために新しい次元を超えたコンタクトを確立するのを助けることになったと言いました。この高次の存在はすぐに霊界側の活動のマネージャになり、コンタクトの最初に安定した状況を確立するための、「ユーロシグナルブリッジ*7にコンタクト」の言葉で始まる秒読みを提供することになりました。

 あるセッションでグループが神について質問したとき、この高いピッチの声が割って入り「この質問は私に任せてください。」と言いました。そのとき「あなたは正確には何者なのですか?」と尋ねたのはマギーです。

 「我々は我々そのものです。」答えが返ってきました。「あなたに説明するのは難しくありませんが、まず私はエネルギーの存在ではありません。光の存在でもありません。私は人間や動物になったことはなく、肉体を持ったことはありません。もちろん神でもありません。二人の子どもが橋を渡っている写真を知っていますね。彼らの後ろにいるのは、彼らを守る存在です。私は羽を持っていませんが、あなたにとってそういう存在です。もしどうしても私に名前を与えたいのならテクニシャンと呼んでください。」

 月日が経つにつれテクニシャンは、電子工学、物理学、数学、天文学、科学全般、歴史、そして未来に関する卓越した知識をもって研究者達を驚嘆させました。彼の記憶はコンピュータのように正確で、たくさんの言語を話します。霊界側のステーションが彼の指示の元に建設され、タイムストリームと名づけられました。

 タイムストリームの主要な共同研究者を下記に示します:

 テクニシャン:肉体を持ったことのない存在で、高次の存在と協力してすべてのコミュニケーションを監督する。

 スェジェン・サルター博士 (1949-87):生前は、彼女自身が我々の世界の「パラレルワールド」のひとつと呼ぶ「ヴァリド(Varid)」という世界でのITC研究者。スェジェンはITCの仕事を助けるために、テクニシャンによって地球に割り振られ、タイムストリームでの実験の担当になったということです。彼女のITC研究におけるキャリアは実に貴重で、そのおかげで地球側の研究者達がまだ見ぬ危険から守られています。

 コンスタンティン・ラウディヴ博士:1974年に亡くなり、倫理的・道徳的・哲学的な講話をします。彼は我々の内なる体に向かって話します。

 リチャード・フランシス・バートン卿( Sir Richard Francis Burton:1821-91):世界中を旅行した東洋に通じた作家でタンガニカ湖の発見者です。彼の最もよく知られている業績は、アラビアンナイトの英語への翻訳です。彼は内なる自分に突き動かされています。彼の深い声が初めて聞こえてきたのは1988年の春で、その声は研究者達を、声によるコンタクトの試みを絶対に続けるようにと励ましました。彼は英語なまりのドイツ語を話します。

 アンリ・セイント・クレア・デ・ヴィレ(Henri Sainte Claire de Ville):は1818年にフランスのアンティレス(Antilles)で生まれた、化学の教授であり発明家で、アルミニウムの工業利用法の開発などの多大な業績を残しています。


 霊界側の装置は明らかに、思い通りにスイッチをつけたり消したりできるような器具類ではありません。機械と霊が一体となって全体のシステムを構成していると報告されています。ITCで働いている者もシステムの一部で、プロジェクト全体に対してポジティヴなサポートを供給します。

結論

 ITCは最終的に、コンタクトにおける実験者達の精神作用を回避することを目指していますが、現在報告されているのはテレパシーによって補助された電子機器通信です。研究者達の信念・思考・態度がITCのコンタクトに影響します。しかし、その度合いはチャネリングよりもわずかです。チャネラーがテレパシーで情報を得ているとき、その人が語る80%は自分自身の霊的な体から生じていて、他の霊から情報を受けて話しているのはたった20%ぐらいだと思われます。(優秀なチャネラーは80%くらいの正確さを持つときがあると言われてはいますが)。ITCの昨今のとても優秀な装置は、突出したチャネラーと同程度の結果(80%ほどの正確さ)を、安定して得ていると報告されています。

 ITCの技術的な面から見た究極の目標は、地球側の関係者の精神的影響に左右されない電子システムの開発と言えます。そして、ルクセンブルクのチームはかなり近いところまで行っているようです。

 高次の存在達はITCに何を望んでいるのでしょうか? テクニシャンによれば、彼らはすべての人々に、人生は物理的な死を超越して続くものだということを知らせたいそうです。多くの人々にとって、昔からの宗教の聖約を信じるだけでは十分ではありません。彼らはもっと確かな死後の世界の証拠を必要としています。ITCは五感を通じて死後の世界の実在を知覚したいという人々の助けになるかもしれません。

 なぜITCの成果は毎日のニュースとして伝わらないのでしょう? まず、真剣な研究者達は、自分の身を報道のいやがらせにさらす気はありません。たくさんの素晴らしい、信頼できる報告が、ずさんでセンセーショナルなひとつの記事によってだいなしになってしまうこともあります。また彼らはITCの価値を納得させるために時間を費やしたくはありません。最後に、彼らはITCの正当性を否定論者に伝えるために、自らとその仕事を心の狭い懐疑主義者達のネガティヴな力の前にさらけ出してまで時間を費やしはしません。ITCが口うるさい評論家と懐疑家でさえ黙らせることができるような段階に達するまでは、志を同じにするもの達だけで静かに研究を続けた方がいいでしょう。そのときは静かに近づいています・・・


<訳注>

*1"astral plane"の訳語。"astral"は「星の(ような)、星形の」という意味で、そこから「揺らめくような、幽(かす)かな」という意味が派生しています。日本語では通常「幽界」と訳されますが、「幽界」の語は古来から見えないもの達の世界全体を表す語として用いられてきたことを考えると、"astral plane"の訳語としては転用されるべきではないと思います。なお、「星気界=せいきかい」と訳されることもありますが、これは若干無理な訳語と言えるでしょう。-戻る-

*2名前のカタカナ表記は、何回か登場する代表的な人物以外は調べがつかなかったので、一番妥当だと思われる音を当てはめてあります。-戻る-

*3ジョージ・ミークの主催する「メタサイエンス財団」が作った、6冊からなる小冊子。-戻る-

*4ビットマップイメージのこと。主にTIFFファイルで届きますが、1995年からはPCXフォーマットでも来ています。-戻る-
*55KHzの方形波を出すオシレータ-戻る-
*6ヨーロッパでのみ受信可能で、24時間中安定した信号を送るラジオの周波数(87MHz)。-戻る-
*7ユーロシグナルブリッジ(Eurosignal Bridge:ESB)は前述の組み合わせによる通信装置の名称。-戻る-


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