電気の森 The Forest Of Electric + Electronic Technorogy by Otoshibumi Craft Lab [Official] [2000]
電気を学ぶための算術 MathA-006
SI接頭語とその考え方
Ver.1.0 2000/08/15版
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SI単位を用いるとき、単位だけを用いて表現するのが難しい場合があります。それは、表す量が非常に大きい場合や小さい場合です。桁数が大きくなってしまいその取り扱いが煩雑になってしまうのです。この解決策として、SI接頭語を単位と対にして用います。 |
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SI接頭語とは |
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SI接頭語とは、「SI単位の10進の倍量及び分量」である。 |
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SI文書第6版ではJIS Z 8203における用語にならって、「SI単位の10の整数乗倍」となっていました。 現在最新である第7版から変更されました。この変更で以下のことが強調されています。 1.接頭語は「10の整数乗」を示す乗数そのものではない。 2.接頭語は単独では用いず、母体となる単位にかかる、その大きさの10進の倍量/分量を形成するための形容詞、又は単位に作用する演算子と考えなければならない。 |
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SI接頭語とは、「SI単位の10の整数乗倍」である。 |
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SI文書第6版以前に用いられていた定義です。上述のように定義は変わりましたが、SI接頭語が示していることは変わっていません。SI接頭語を「SI単位の10進の倍量及び分量」というのは、接頭語の基本的な考え方から導かれる表現で、「SI単位の10の整数乗倍」というのは、実際に利用する時に便利な表現方法だと思っています。私の中では、前者を「正確な定義」、後者を「現実的な表現」と解釈しています。 |
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「10の整数乗」とは、「10n(nは整数)」で表される数値をいいます。 |
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SI接頭語と10の整数乗の関係を MathA-006-1に示す。 |
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SI接頭語は、表に示す**つが決められています。時代のニーズに応え、増える傾向にあります。103から10−3までは1つずつ接頭語が割り当てられています。また、10の指数が3の整数倍(3,6,9,12、・・・やー3,−6,−9,−12、・・・)ごとに接頭語が割り当てられています。 |
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電気の世界で用いられるSI接頭語は、「キロ」、「メガ」、「ギガ」、「テラ」、「ミリ」、「マイクロ」、「ナノ」、「ピコ」の8つの接頭語です。しっかり覚えてください。 |
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MathA-006-1 SI接頭語と10の整数乗
接頭語 | 接頭記号 | 10の整数乗 | 接頭語 | 接頭記号 | 10の整数乗 | ||
日本語 | 英語 | 日本語 | 英語 | ||||
ヨタ | yotta | Y | 1024 | デシ | deci | d | 10− 1 |
ゼタ | zetta | Z | 1021 | センチ | centi | c | 10− 2 |
エクサ | exa | E | 1018 | ミリ | milli | m | 10− 3 |
ペタ | peta | P | 1015 | マイクロ | micro | μ | 10− 6 |
テラ | tera | T | 1012 | ナノ | nano | n | 10− 9 |
ギガ | giga | G | 10 9 | ピコ | pico | p | 10−12 |
メガ | mega | M | 10 6 | フェムト | femto | f | 10−15 |
キロ | kilo | k | 10 3 | アト | atto | a | 10−18 |
ヘクト | hecto | h | 10 2 | ゼプト | zepto | z | 10−21 |
デカ | deka (Amer.) deca (Eng.) |
da | 10 1 | ヨクト | yocto | y | 10−24 |
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SI接頭語の考え方 |
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単位とは、「量」の基準となるものです。いろいろな量には、その基準が定められています。国際単位系でも量の基準が定義されています。 例えば、長さ1mは、次のように定義されています。 「メートルは、1秒の299 792 458分の時間に光が真空中を伝わる行程の長さである。」 また、電流は、次のように定義されています。 「アンペアは、真空中に1メートルの間隔で平行に配置された無限に小さい円形断面積を有する無限に長い二本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の長さ1メートルにつき2×10−7ニュートンの力を及ぼし合う一定の電流である。」 さて、これらの値を考えるとき、その大きさに注目してください。大きな値の例として、1000mと小さな値の例として0.001mについて考えます。 数メートルという長さは、私たちの視界に入る長さです。しかし、1000m先を見ることは難しいことです。山の上から下を眺めるというような条件が満たされなければ確認することはできないでしょう。0.001mはどうでしょうか。1mの1/1000が0.001mですから、目を細めて確認する微少な世界での長さになります。このように、同じ長さを扱うにたってもその大小により世界が違ってしまうのです。 さらに、もっと大きな値をもっと小さな値を扱うとしたら、その値の桁数が大きくなり、数値を扱うにあたって煩雑になってくるのです。 そこで、対象とする世界に見合う単位が必要になってきます。 1000mを基準に量をあらわす事を考えます。1000mは、1mの1000倍の長さです。この視点が重要です。「1000倍の」という表現を「キロ」という名称に置き換えます。ここで、「キロ・メートル」という単位を考えるのです。 「2.5キロメートルは、2.5mの1000倍の長さを意味する。」というように単位の前に「○○倍の」を意味する名称をつけて量を表すことにします。この単位の前につけた名称が「接頭語」です。 略記号も用意しましょう。「キロ」の略記号として「k」を用意します。この記号を「接頭記号」といいます。 1000 m = 1 km なのです。 小さな値についても確認しておきましょう。0.001mは、1mの1/1000倍の(または、1mを1000で割った)長さです。「1/1000倍の」という表現を「ミリ」という名称に置き換えます。「ミリ・メートル」という単位を考えるのです。さらに、「ミリ」の略記号として「m」を用意します。 0.001 m = 1 mm です。 再度確認しましょう。接頭語は、単位の前につける「○○倍の」を意味する名称です。 次に、どのような倍数がいいのかを考えましょう。 現在、私たちが数値を表す場合、「10進数」を用いています。さらに、接頭語に用いる倍数は、わかりやすいことがベストです。中途半端な値より、10、100、1000といった数値を用いてはいかがでしょうか。国際単位系ではこれらのシンプルな数値を用いています。「10倍の」という意味で「デカ(接頭記号は、da)」、「100倍の」という意味で「ヘクト(接頭記号は、h)」、「1000倍の」という意味で「キロ(接頭記号は、k)」というように。さらに、「1/10倍の」という意味で「デシ(接頭記号は、d)」、「1/100倍の」という意味で「センチ(接頭記号は、c)」、「1/1000倍の」という意味で「ミリ(接頭記号は、m)」と定義しています。みなさんの聞き慣れた名称ではないでしょうか。 以上、接頭語の考え方を紹介しました。この考え方がわかると、接頭語の定義の意味が理解できると思います。 SI接頭語とは、「SI単位の10進の倍量及び分量」である。 「10進の倍量」とは、「10倍の、100倍の、1000倍の、...」を意味する量であり、「10進の分量」とは、「10で割った、100で割った、1000で割った、...」を意味する量と考えていいでしょう。 |
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SI接頭語と10の整数乗倍 |
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SI接頭語は、「SI単位の10進の倍量及び分量」であることについて述べました。10進の倍量である、10、100、1000...という数値についてもう少し考えてみます。 10、100、1000...という数値を10の累乗(10の整数乗)を用いて表してみます。「1000」は、10×10×10であり、103と表すことができます。同様に10の整数乗を求めると以下のようになります。 10000 = 10×10×10×10 = 104 1000 = 10×10×10 = 103 100 = 10×10 = 102 10 = 10 = 101 1 = 1 = 100 1 0.1 = ―― = 10ー1 10 1 1 0.01 = ――×―― = 10ー2 10 10 1 1 1 0.001 = ――×――×―― = 10ー3 10 10 10 1 1 1 1 0.0001 = ――×――×――×―― = 10ー4 10 10 10 10 一般的に、数値は、a×10n(nは整数)という形で表すことができます。この式の「×10n(nは整数)」に相当するものが「10の整数乗倍」です。 さらに、「×10n(nは整数)」のいくつかが、SI接頭語に相当するのです。 2500[m]を例にしましょう。2500[m]という数値は以下のように表すことができます。 2500 [m] = 2.5×1000 [m] = 2.5×103 [m] この例の場合、「×103」がSI接頭語の「キロ」に相当するのです。よって、 2500 [m] = 2.5×1000 [m] = 2.5×103 [m] = 2.5 [km] SI接頭語が「SI単位の10の整数乗倍」といわれた理由はここにあります。 |
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Ver.1.0 2000/08/15版
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