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Wed, 12 May 2004
15:34:40 |
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必読!劇画界の巨匠、池上遼一入魂のオリジナル作品 |
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by ERIO |
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「流月抄」は、40年以上のキャリアを誇る劇画界の巨匠池上遼一が、98年以来「ヤングマガジン・アッパーズ」で不定期連載をしてきた入魂のオリジナル作品である。ほぼ同時期から「ビッグコミック・スペリオール」で連載され大ヒットした「HEATー灼熱」と比べると知名度は低いが、池上氏によるオリジナルストーリーの秀逸さと、時間をかけて丁寧に描かれた鉛筆画やCGを駆使した作画の素晴らしさで必読の作品となっている。
舞台は幕末。いにしえの時代に獣とも人間ともつかない生き物と交わった女達の子孫で、人間と性交をするとその猛毒によって相手を殺してしまう「豺使」 である浪人・弦月之介が主人公。そのため月之介が相手にするのは、死にかけているかいつ死んでもかまわないという曰く付きの女達ばかり。獣の血がそうさせるのか、人間業とも思えないほど剣の腕が立ち、美しい容姿と鍛え抜いた肉体を会わせ持つ月之介。池上氏は、月之介が生き別れになっている妹を探すうちに関わり合いになる女達や、幕末の歴史の波に揉まれようとしている男達と紡ぎ出すドラマを、圧倒的な絵のうまさと巧みな構成力で描写している。特に頻繁に登場する男女のからみのシーンは、リアルでありながら他には類を見ない妖しい美しさで読者を魅了せずにはおかない。また、月之介の獣であるがゆえの運命の残酷さを、彼に惚れずにはいられない女達の性(さが)を通して時には幻想的に、時にはシビアなストーリー展開で際立たせることに成功している。池上氏は、もうこの作品で劇画家としての枠を超えて芸術家の域に到達したと言っても過言ではない。できるだけ多くの漫画/劇画ファンにぜひ読んでほしい作品だ。 |
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