わんだふる 台湾山脈 (1)

はじめに

 3月26日(火)から31日(日)の6日間、台湾の山々を歩いてきました。今回の旅行は、友人 I 夫妻(奥様が台湾出身)が台湾へ里帰りするというので、それではと迷惑を顧みず、お邪魔虫のようにくっついて行きました。ただ、今回の旅行は、「台湾観光」というよりは、できるだけ多く台湾の山々を歩き、台湾の自然をたっぷりと堪能することを目的としました。選んだ山は、「タロコ渓谷・合歓連峰」と「阿里山」です。したがって、これからのレポートも台湾の山歩きを中心としたレポートです。
 是非、最後までお付き合い願います。


                                                              2002年5月19日


  
1.台湾山脈のイメージ
  2.台北の初日 (3月26日(火))
  3.タロコ渓谷と合歓連峰 (3月27日(水)、28日(木))
   3.1 タロコ渓谷(Taroko Gorge) (3月27日(水))
   3.2 合歓連峰(Mt.Hefuan) (3月28日(木))
  4.阿里山(Mt.Alishan) (3月29日(金)、30日(土))
   
4.1 阿里山鉄道の旅 (3月29日(金))
   
4.2 阿里山森林区周遊 (3月30日(土))

  5.最後の台北 (3月31日(日)

<行程概要>
1)3月26日(火):
 ・09時30分:シンガポール航空987便で成田を出発。
 ・12時00分:台北に到着(日本と台湾との時差は1時間)。午後、台
  北郊外の淡水を散策。台北泊。
2)3月27日(水):
 ・09時00分:特急’自強1061号’で、台北駅を花蓮に向けて出発。
 ・11時29分:花蓮に到着。午後、観光タクシー(予約済み)でタロコ
  渓谷を観光、3時頃に天祥のホテルに到着した。天祥泊。
3)3月28日(木):
 ・昨日の観光タクシーで合歓連峰を観光し、その後花蓮空港へ戻る。
 ・16時25分:遠東EF100で花蓮を台北に向けて出発。
 ・17時00分:台北松山空港に到着。台北泊
4)3月29日(金):
 ・09時00分:特急’自強1011号’で、台北駅を阿里山に向けて出発。
 ・12時25分:嘉義到着。
 ・13時30分:登山電車’阿里山5号’に乗り換え、嘉義を出発。
 ・17時10分:阿里山(沼平)駅に到着。阿里山泊
5)3月30日(土):
 ・阿里山のご来光観光と阿里山森林遊楽地区の散策。
 ・13時38分:登山電車’阿里山6号’で、阿里山(沼平)駅を出発。
 ・16時50分:嘉義到着。
 ・17時40分:特急’自強1034号’で、嘉義を出発。
 ・21時10分:台北駅に到着。台北泊。
6)31日(日):
 ・16時25分:シンガポール航空988便で、台北空港を出発。
 ・20時30分:成田到着。
*花蓮・タロコ渓谷観光、阿里山観光は、台湾の旅行会社の国内ツアーを利用しました。ただし、国内ツアーといっても、汽車(または飛行機)の切符の手配とホテルの宿泊予約のみです(花蓮から天祥までは、タクシーの送迎(往復)も含まれています)。

1.台湾山脈のイメージ

 最初に友人 I 夫妻に同行て台湾へ行こうと考えたときは、台湾についての知識は高校時代に学んだ程度の知識で、ほとんど知らないも同然でした。その後、台湾のどこへ行こうかと考える中、せっかく台湾まで行くなら、台湾の山を歩いてみたいと考えるようになりました。しかし、台湾観光のパンフレットや観光旅行関連の本には、台湾の山を歩くような情報は皆無でした(海外のトレッキングツアー専門の旅行会社に、玉山や雪山を踏破するツアーがありましたが、日程が合いませんでした)。

 そこで台湾の地図を買って、台湾の地形を調べたところ、台湾の中央には大きな山脈があることを発見?しました。それまで、台湾に大きな山があるとはまったく知りませんでした。それも、富士山(3776m)より高い、台湾最高峰の玉山(3952m、日本占領時代に新高山(ニイタカヤマ)と呼んでいた)をはじめ、3000mを越える山がぞろぞろとあるではありませんか。日本では、3000mを越える山は20座もないはずです。もうたいへん驚いてしまいました。

 参考(日本の高山):富士山(3776m)、北岳(3192m)、奥穂高岳(3190m)、間ノ岳(3189m)、槍ヶ岳(3180m)
 台湾には、3本の大きな山脈があります。中央北部の雪山山脈(雪山:3884m)、中部東海岸寄りに中央山脈(奇莱主山北峰:3605m)、それに中央南部の玉山山脈(雪山:3952m)です。これらの山を間近に見てみたいと思い、I さんの奥さんに、3000m級の山を登るか、あるいはそれができなくても3000m級の山々を間近に見れるようなポピュラーなトレッキングコースはないのか聞いて見ました。しかし、台湾では登山コースや山小屋が日本のように整備されておらず、また山岳地域を国家で管理しており、国の許可を得ないと入山できないとのことでした。特に、外国人の場合は、事前に特別の入山許可が必要なようです。

 やむを得ず、台湾の山を登ることはあきらめました。しかし、観光旅行でも、できるだけ高い山の近くへ行きたいと思い、いろいろと検討した結果、行き先を「阿里山」と「タロコ渓谷」に絞りました。阿里山は、玉山山脈の西側にあり、標高2484mの祝山をはじめとした2000m級の山々の総称です。そして、阿里山鉄道に乗って、海抜2190mの阿里山(沼平)駅まで行くことができます。また、祝山はご来光の観光名勝になっており、沼平から祝山まで鉄道が通じています。

 一方、タロコ渓谷は、中央山脈から花蓮へ東流するタッキリ渓によって作られた険しい渓谷です。今では観光地となっていますが、かつては人を寄せつけない秘境であったところを、絶壁を削り、あるいはトンネルを掘って、難工事の末に道路を開通させました。現在は、東西横貫公路が中央山脈を越え(最高地点は武嶺(3275m))、台中まで通じています。

 阿里山や花蓮・タロコ渓谷観光は、日本からの台湾ツアーにもありますが、今回は I 夫妻に同行していくため、台湾の国内パッケージツアーがないかと探しました。幸い、インターネットで、台湾国内ツアー(日本人向け)を主宰している旅行会社を見つけ、その観光会社に台湾国内ツアーを申し込むことができました。当方は、台湾の事情に疎いため、何度も観光会社とメールのやり取りを行い、ようやく「行程概要」に記述したような阿里山および花蓮・タロコ渓谷ツアーを、「わんだふる」台湾旅行に組み込むことができました。


2.台北の初日 (3月26日(火)

 12時に台北空港に着きました。航空ターミナルを出ると、亜熱帯地域らしい暑さでした。いよいよわんだふる?台湾旅行の始まりかと、旨がわくわくしました。すぐに、台北の円山ホテルへ向かい、チェックインを済ませ、スーツケースを預けると、I 夫妻の案内で、淡水河の河口に広がるマングローブの林を見学するために、淡水へ出かけました。淡水は、台北から北西に向かって10kmくらいに位置しています。台北からMRT(電車)でおよそ40分くらいですが、行きはタクシーに乗りました。

 台北の街中の道路は、日本の道路に比べて広く、きれいですが、やバイクやスクーターがたいへん多く、2,30台くらいの信号待ちをしているバイクが、信号が変ると同時にいっせいにスタートして行く様子は、房総族の集団化と思われるくらいです。さらに、運転も無謀で、車の間を平気で縫って進んで行き、ちょっと日本人には真似ができないと思いました。ところが、タクシーもそれにも勝るとも劣らずといった運転で、ウインカーも出さずに車線変更を行ない、バイクを避けながら走ります。私には、とても台北の町を運転することはできそうにもありませんでした。進みます。

 淡水駅の2つ手前の紅樹林駅の前でタクシーを降りました。この付近から淡水駅まで、河岸がマングローブの林になっており、紅樹林自然保留区に指定されています。紅樹林の駅が「紅樹林展示館」を兼ねており、その展望台からはマングローブの林全体が見渡せました。この保留区には入ることができず、林に沿った観察道路を歩くことになります。

  河岸付近は泥地となっており、一面がマングローブで覆われています。マングローブは、以前マレーシアの方で見たような気がしますが、そのころは気にも留めていなかったので、観察するのは初めてでした。泥地の中にたくさんの根をおろした形で繁っていました。葉は楕円形で、長さ10cm位でしょうか。木から細いやりのようなものがたくさんぶら下がっており、それが泥地に落ちるとき、泥地に突き刺さり、それが葉を出し、木に成長して行くといった繁殖をするようです。

 観察道路の途中では、シオマネキなどのカニがたくさん観察されました。ムツゴローもいるようですが見つけることはできませんでした。シラサギがエサを探している姿も多く見られました。
マングローブ林と観音山

 淡水駅までは4、50分くらいで着きました。淡水の駅前は広場となっており、夕日観光のスポットになっているようです。夕方には、家族連れや若いカップルが大勢出ていました。また、駅前の道路にはに屋台の店がずらりと並び、多くの人で活気に満ちていました。帰りは、MRTに乗って、台北へ戻りました。


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