わんだふる 早池峰・栗駒山の花 (1)

はじめに

 7月3日(木)の夜から6日(日)の4日間、東北岩手の早池峰山と栗駒山へ行ってきました。早池峰山は岩手の北上高地にある標高1,917mの山で、ハヤチネウスユキソウ(日本のエーデルワイス)を初めとする早池峰山固有の高山植物群落で有名である。天気にはやや恵まれませんでしたが、初夏の花をたくさん観察することができました。栗駒山は、岩手と宮城の県境にあり、那須火山帯に属する二重式成層火山です。ここでは天候に恵まれ、鳥海山、早池峰山をはじめ、360殿展望を楽しめました。また登山口の須川では温泉も楽しめました。一昨年、昨年に続いての東北の山(一昨年は白神山地、昨年は鳥海山)へ行きましたが、今まで遠いと思っていた山が身近に感じられるようになってきました。その素晴らしさを簡単にご報告します。
 花の名前については、花の専門家ではありませんので、すべてが正確ではありません。一部は「xx」といった表現もしています。ご容赦ください。
 なお、途中で写真を挿入したり、文章の一部を書き換えたりすることがあるかと思いますが、ご了承ください。


                                                              2003年07月13日(日)

      
1. 花巻、遠野から岳民宿 (7月4日(金))
      
2. 早池峰山 (7月5日(土))
      3. 栗駒山 (7月6日(日))

1.花巻、遠野から岳民宿 (7月4日(金)) 

 いつものように、前日東北道のSA(国見)で車内泊し、4時45分頃に出発しました。天気は最悪で、曇または雨、ところにより大雨と行ったところでした。東北道を花巻ICで下り、この雨では今日は登山は不可能と考え、のんびりと観光巡りをすることにしました。
 花巻では、宮沢賢治記念館を訪れました。金曜日とあって、一部団体客がいるいがいは完さんとしておりました。「雨ニモマケズ、風ニモマケズ・・・」の賢治の詩を見つけ、少年の頃にこの詩に感動したことを思い出すとともに、そのときの感動と現在の自分の生き様とを写し比べさせられました。がっかりですね。情けないですね
 それから、柳田国男の「遠野物語」の世界に入るべく、遠野へ行きました。あちこち歩き回る趣味はないので、伝承園という佐々木喜善記念館だけ行きました。道の駅で食べたそばがとてもおいしかったです。その道の駅のインフォメーションで、遠野から直接早池峰山へ行く林道を教わり、北へ向かって出発しました。
 この頃には雨はほとんどやんでおり、道路も舗装され、順調なスタートだったのですが、案内標識がなく、当初予定のスーパー林道への入口を通り過ぎてしまい、早池峰神社経由の林道を走ることになりました。この林道は途中から舗装でなくなりましたが、狭いながらも整備されており、なんとか目的の早池峰山登山口を通る林道(シャトルバスが通る)に出ることができました。およそ1時間くらいのドライブだったと思います。
 この林道を左に折れ、少し上ると、明日登る予定の小田越峠(登山口)に出ました。峠には、バス停の標識と小田越山荘(無人小屋)があるだけでした。登山口を確認し、峠を下り、河原の坊(早池峰自然保護センターがある)を通り、2時頃に民宿のある岳部落に到着しました。7月からは土曜、日曜はマイカー規制がされており、シャトルバスがここから出発します。宿泊は予約していないので、満員で断られるのではないかと思っていたのですが、1軒は断られましたが、2軒目で宿泊がとれました(この前にもう1軒聞いたのですが、現在は民宿をやっていないと断られました。現在も、7、8軒ほど民宿の看板が出ているのですが、廃業しているところが多いらしく、営業しているのは2、3軒のようでした)。


 3時間ほどしか寝ていないのと、仕事の疲れもあって、宿に入ると、すぐに風呂に入り、その後は昼寝?となりました。夕方雨はすっかり止んでいたので、付近を少し散歩しました。ここの早池峰神社では、8月初めに神楽の奉納があり、各地から多くの人が見学に来るとのことでした。夕食は山菜中心の料理でしたが、とても素朴な味でおいしかったです。宿泊客は、我々も含めて9人でした。まだ睡眠不足でもあり、また明日は5時半のバスに乗る予定なので、食後、明日の天気の回復を願いながら、早々と寝てしまいました。(右写真は,林道で見かけたキジ)



2.早池峰山 (7月5日(土))

  朝4時ころ起きましたが、あいにくの雨模様でした。5時には1番のシャトルバスが出るのですが、雨なので少し様子を見ることにしました。5時前までは、マイカーを入れることが出きるので、何台かの車が勢いよく道路を登って行く音が聞えました。せっかく早池峰の麓まで来て、ハヤチネウスユキソウも見ないで帰るのは一生悔やむことになると思い、雨の中でも頂上まで行く決意を固めました。初めからレインスーツを着て、シュパッツを付け、カサをさして、5時20分ころに民宿を出ました。雨は小雨または霧雨に近いので、大雨にならないことを願うばかりでした。ちょうど5時半のシャトルバスに乗りましたが、団体客が大勢で、座席に座ることができないほどでした。およそ30分で、昨日確認しておいた小田越(標高約1,250m)に到着しました。
 6時に、オオシラビソの森林帯の中を登り始めました。雨は霧雨程度でしたので、比較的快適に歩くことができましたが、写真を撮るのに苦労し、またメモをとることもできませんでした。林縁では、ミヤマカラマツ、ツマトリソウ、マイヅルソウ、ミヤマヤマブキショウマ、ミヤマハンショウヅルなどが咲いていました。

ミヤマカラマツ ギンリョウソウ ミヤマヤマブキショウマ(固有種) ミヤマハンショウヅル

 しばらく森林帯を歩き、少し急な登りにとりかかると、潅木があらわれ始め、標高1,500mくらい(メモをとっていないので正確ではありません)からは岩山の登りになりました。本によると、早池峰山の基岩は超塩基性岩の蛇紋岩であり、そのために超塩基性岩特有の花が早池峰山にあるとのことです。霧もでており、遠くまで見通せないのが残念でしたが、斜面にはお花畑が広がりはじめ、念願のハヤチネウスユキソウがあたり一面に咲いておりました。灰白色の綿毛で包まれた星状の白い花はたいへんよく目立ちます。ブルーのミヤマオダマキがとてもきれいでした。ナンブトラノオ(写真は白っぽくなっていますが、本当はピンク色です)やキバナノコマノツメ(黄色ノスミレ)、ナンブイヌナズナなどを見つけたときは感激しました。以下に、頂上までの登山道やお花畑で撮った写真を掲載します。

お花畑(蛇紋岩上) ハヤチネウスユキソウA ハヤチネウスユキソウB ミヤマオダマキ
キバナノコマノツメ(スミレ) ナンブトラノオ(固有種) ミヤマアズマギク(ピンク) ハクサンフウロウ?
チシマゼキショウ? ヨツバシオガマ ミヤマシオガマ ナンブイヌナズナ

 8時20分には、早池峰山の尾根の剣が峰分岐点に出ました。ここから尾根沿いに、コバイケイソウなどが咲く湿原を通り(ゆっくり観察したかったのですが、霧のため足早に通り過ぎたのが残念でした)、およそ20分で山頂(標高1,917m)に到着しました。山頂付近にはチングルマ、コイワカガミなどが咲いていました。団体客が登っているので、頂上には30人くらいおり、賑わっていました。我々はここで一休みとし、おにぎり、カップラーメン、コーヒーの豪華な朝食をとりました。

チングルマ コイワカガミ ハクサンチドリ ウラジロヨウラク

 9時半、河原の坊に向かって下り始めました。当初、河原の坊の下山道は沢筋を歩くので、増水が心配され、登ってきた道を戻ることを考えたのですが、河原の坊から登ってくる人がいたので、河原の坊への道をとることにしました。ガレ場のような岩場の下りは、ややタフな下りでしたが、途中にもハクサンチドリ、ミヤマシオガマ、ウラジロヨウラク、ウラジロナナカマドなど多くの花が咲いており、目を楽しませてくれました。
 12時15分には、河原の坊に到着しました。シャトルバスがちょうどやって来たので、すぐに乗り、12時45分には岳民宿前に到着でした。ここには、食事をとるようなところもないので、すぐに車に乗り、次の目的地、栗駒山麓の須川温泉へ向かいました。


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