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Talking about WINE by T.Yone, the fake-chef

偽シェフヨネのワイン漫談


第21回「赤ワイン好きなあなたに」| 第22回「ローヌとその他の補足」| 第23回「おいしい料理」
第24回「南半球のワイン」| 第25回「試飲に行こう」


偽シェフヨネのワイン漫談 第21回「赤ワイン好きなあなたに」

ブルゴーニュは赤もうまい。ボルドーが年期の入った堅物の職人とすればブルゴーニュは旬のファッションモデル。冗談で言ってるのだが、それくらい違う。

ここで高価なものを並べ立てることはできるが飲めもしないモノは意地でも紹介しない。
Beaune、Gevrey-Chambertin、Macon、Chassagne-Montrachet、Vosne-Romanee、Cote de Nuits-Villagesなどなど(注22)名前を挙げているだけでヨダレが出る。このあたりはリーズナブル。比較的明るめ(色も味も)でしなやかでフルーティさもほどほどに残しながら熟成していく。

さてブルゴーニュの南端にあるのがBeaujolais(ボジョレー)地区(注23)である。もうすぐ紹介するヌーヴォーで有名である。ここも一応ブルゴーニュに含めるけどまったくワインの口当たりが違っている。キャピキャピした渋さとでも表現しておこう。クセがある。これが好悪を分ける。こってりとした食事には負けてしまうので記憶のこと。しゃぶしゃぶくらいならよい。

さらに南に下りるとRhone(ローヌ)地区(注24)。だんだんと太陽の香りがワインの中に充満してくる。それにしたがってワインの感触が暖かくなっていく。いいな、いいな(何が?) 。

ワインボトルのお尻はへこんでいる。「へこみが大きいほどうまいワインだ」と故池田満寿夫氏が言ったとか言わないとか、、。

(C)T.YONE 1998

(注22)例によっておおよその読み方。順にボーヌ、ジュヴレー・シャンベルタン、マコン、シャサーニュ・モンラッシェ、ヴォーヌ・ロマネ、コート・ドゥ・ニュイ・ヴィラージュ。

(注23)ボジョレー・ヴィラージュなどがおすすめ。

(注24)コート・デュ・ローヌは、フランスのビストロのハウスワイン(vin de la maison)に採用されていることが多いそうです。私は大好きです。なにしろ安いし、しっかりとしたタンニンも果実香もあり、毎日でもいけます。

annotation by Takashi Kaneyama 1998


偽シェフヨネのワイン漫談 第22回「ローヌとその他の補足」

「ワイン紀行もローヌにやってまいりました〜」などとやってるといつまでたっても終わりは来ないし、退屈でファンは逃げていく。しかし実はここもおいしいものがたくさんあってHermitage(エルミタージュ)やらChateau neuf-du-Pape(シャトーヌフ・デュ・パープ)やらCote Rotie(コート・ロティ)やら、フロヴァンスへ抜けるあいだに完全に酔っ払う。とまた名前を羅列してしまった、いかん。

さてプロヴァンスのワイン(注25)はおしなべて背が高い。ボトルがスリムなのである(収納にちょと困る)。重心の高さはそのまま味わいにも現れる。ちなみにボルドーのストレートなボトルは沈着冷静で、ブルゴーニュの曲線は優雅さの象徴だと思う。ドイツはまた形が違う。ついでにボトルのガラスの色にも特徴がある。だからラベルを読まなくても特徴的なものはすぐわかる。マテウスしか判別できない人は勉強してくださいね。

フランス国内でもうひとつの産地は本物の「シャトー」がたくさんあるロワール河沿い。Sancerre(サンセール)、Pouilly-Fume(プイイ・フュメ)、ロゼで有名なAnjou(アンジュ)など。価格はなかなかリーズナブルで一度お試しあれ。毎度の忠告=ワインは飲まなきゃわからないよ。

(C)T.YONE 1998

(YONEによる補足)シャブリ(96年/白)一番安いランクのそれも96年という若いワインなのに起きるのに栓を抜いて15分もかかった。驚きである。オールマイティな辛口。カジキマグロのキノコソースかけ、アスパラとマッシュポテトのチーズ焼き。1,500円。

(注25)プロヴァンスのワインは、やはりプロヴァンスの陽射しと料理に合う。もしも行くことがあったらお試しを。名物のブイヤベースにはこれ! とされているCassis(カシ、白も赤もある)を覚えていきましょう。綴りは同じですがカシス(ジュースや果実酒に使われる。白ワインとブレンドすると「キール」になるあれ)とは違いますので、お間違えのないように。カシ・ブランは辛口のすっきりとした白で、さわやかな酸味が魚介類によく合います。ただし、「マルセイユにはうまいブイヤベースはもうない」と言われるように、観光化で堕落したメニューの代表になってしまいましたが。

annotation by Takashi Kaneyama 1998


偽シェフヨネのワイン漫談 第23回「おいしい料理」

さて、よく雑誌なんかで「ワインのおいしい店100店特集」などといったタイトルを見かけました。いままで見てきたように、保存状態がいいなら、どこの店で飲んでもワイン自体の味は同じです。したがって、おいしいワインを大量に在庫しているというのでなければ、ワインのサービス自体で店の差は出ません(原注:ヨネ氏は店の雰囲気というものにカネを払わない非ロマンの人であります)。ただし、たいていの店のワインリストは貧弱です。

ということは、ワインの味を引き立てるうまい料理を食べさせてくれるはずだ。

ここで失敗談をひとつ。先日、チキンストロガノフが我が家のメニューに載りました。ビーフをチキンにかえたような代物だと思ってください。これにキャンティクラシコの90年物を合わせてみたところ、ワインに料理が負けてしまい失敗。レシピで問題だったのはチキンがムネ肉であることを確認しなかったこと。あっさりと仕上がってしまい、キャンティとはいえ熟成して濃厚感を持つワインの行き所がなくなってしまったわけです。レストランのソムリエならば「もう少し若いワインにされたほうが」というアドバイスをもらえるのでしょうが。

少しくやしかったので、ここでボヤく。

(C)T.YONE 1998


偽シェフヨネのワイン漫談 第24回「南半球のワイン」

南半球のワインの元気がいい。オーストラリア、南アフリカ、チリ、アルゼンチンといったところが店頭にたくさん並んでいます。これらの地域は、ヨーロッパ列強の帝国主義的植民地支配の時代に、移住した人々の努力によってワインの生産が始まったのです(注26)。ワインにかける執念はみなさんスゴイですね。

さて、実はアルゼンチンはワイン大国であり、世界ランキング5〜6位の生産量は日本の20倍以上です。チリでさえ5倍前後。どこもたくさん作っている。今になって日本に大量に入ってきた背景には、フランス・イタリアものの価格が高騰したため安いワインを探して他の「無名」の地域に手を伸ばしたことと、フランス・イタリア・ドイツ(なぜかここが人気)以外も買うというマーケ上の判断が結びついたためでしょうね。

これらの国のワインはまだ安い。あたりまえだけど各国とも日本よりはるかに葡萄の栽培に適しておりいいワインがたくさんできているはずである。にもかかわらずそういうクォリティの備わったものにお目にかかったことがない。雑誌の特集でも「リーズナブルな価格」以上の紹介はない。味については、国産顔したワインに混ぜて味わいの幅を出すのに使われるだけあって一定の水準にはある。でもおしなべてスッキリさわやかなのはどうして? 豊かさ・厚み・気品といったものは国内で消費されちゃうのかな?

(C)T.YONE 1998

(注26)南半球のワインの特長のひとつにはフィロキセラの洗礼を経ていないこともあります。19世紀にヨーロッパ全土でフィロキセラという菌によってワイン用の葡萄が壊滅的な打撃を受け、結局アメリカ大陸からフィロキセラに強い種を入れて接ぎ木することで克服しました。つまり、今のボルドーやブルゴーニュの葡萄の根っこの方はアメリカ種というわけです。ちなみに、フィロキセラ自体もアメリカからもたらされたものです。

また、ボルドーのシャトーの中には、南米で大規模なワイン事業を展開する動きもあります。ボルドーのノウハウと南米の気候とですぐれたワインをより安く売ろうという、ワインビジネスですね。さらに、ワイン留学や研修など、こうした一種の技術移転で、オーストラリアや南アフリカでは今後が期待される、という論調になっています。こうした「新世界」のワインは、ブランドが未成熟ですから、それこそ自分の舌でいいものを見つけるしかありません。

annotation by Takashi Kaneyama 1998


偽シェフヨネのワイン漫談 第25回「試飲に行こう」

デパートやスーパーでよくやってますね、試飲販売。あれって別に買わなくてもいいんです。相手もヒマつぶしにやってるみたいなとこがあって、にぎやかしに人がいればいいのです。

勤務時間中はちょっとだけど(酔っぱらわない体質の人は関係ないですね)オフの時は積極的に立ち寄ってひやかしてください。恥ずかしがらずにグビリと全部飲んできましょう。

試飲のいいところはタダでワインの勉強ができることです。普通はボトルを買って「ひとりじゃあムリだなあ」などと思いながら飲むはめになりますが、ここでは一口でよいのです。一口飲めばソムリエまがいのあなたなら個性はわかるはずです。

ましてやたいていは何種類もあって、飲み比べができるのです。運がよければちゃんとした店員から講義も聞けます。こんないいチャンスを逃す手はないでしょう。さあ今度の土日はデパートめぐりをしましょう。

でもくれぐれも酔っ払ってそのへんでくだまかないようにね。私は助けには行けませんからね。

(C)T.YONE 1998


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annotation by Takashi Kaneyama 1998