Bon Voyage! HOME > PRIVATE DIARY > SPECIAL 【緊急特別版】
(結局【準優勝】だったけど、宿題が残った分、却ってよかったかも)
Counter started on Apr. 23, 1999.
ついに「世界の決勝」へ。
歴史に刻まれた教訓とは?
(1999/05/03)日本サッカーに新しい歴史が刻まれた。
いまごろになって日本のユース代表の強さに気づくなんて、
キミタチ、遅いじゃないか。というわけで、日記から抜き出して特別版を制作しました。
1998年のアジア選手権から、ワールドユースの決勝まで、
生々しいドキュメント!
(1999/04/23)【注意】
あくまでも日記なので、日付けは試合日ではありません。
また、アジア選手権については、各試合の結果は他のところで調べてね。
ここではあくまでも個人の感想を述べているだけです。
それから、かなり取り乱している文章がありますが、
まあ、人間そういうこともあります。
細かいことは気にしないように。【CONTENTS】 U-19アジアユース選手権
1998年10月 タイU-20ワールドユース選手権
1999年4月 ナイジェリア[予選リーグ]
日本対カメルーン
日本対アメリカ
日本対イングランド[決勝トーナメント1回戦]
日本対ポルトガル
[準々決勝]
日本対メキシコ
[準決勝]
日本対ウルグアイ
[決勝]
日本対スペイン
メールはこちらへ→kaneyama@t.email.ne.jp1998年10月25日 午前1時30分 に書いた日記から(以下、すべては日記からの引用)
いやあ、寝たなあ。それはさておき、もうすぐ3,000アクセスになります(もう到達してるかも)。ご愛読ありがとうございます。
チェンマイで行われているU-19アジアユース選手権、日本は2勝1分けで快進撃とはいうものの、すごーく心配。第1戦の中国戦では結局引き分け。ルーズボールへの寄りに気迫がない。環境にめぐまれている分、ハングリー精神に欠けているのかもしれない。小野と稲本だけが気を吐いていたが、稲本はイエロー2枚で退場、小野はPKを取られてしまった。新旧のキャプテンは、チームに活を必死で入れようとしていた。技術でも戦術でも、このチームはアジアでは図抜けているのだが、どうも獲物に襲いかかる野獣というよりは殿様の余技のように見える。中国戦の本山の素晴らしいゴール2発にしろ、イラク戦のダイレクトシュート連発にしろ、力はあるのに、前半は抑えられるというのが気にくわない。体力的にタフで、ガツガツ当たってくるラフなチーム(つまり韓国なのだが)とやるとなると、果たしてどうなのだろうか?
それにしても、稲本退場のあと、小野をボランチに下げた采配はおおいに疑問。あそこは酒井を入れて播戸を下げるべきだろう。金古を最初からセンターバックに使わないために加地も市川も持ち味を出せなかった。中国戦の引き分けはベンチワークの失敗で2点を失ったと言っていい。これからNHK-BSでカタール戦の放送だが、どうしても結果を知ってから見ることになるというのが、う〜ん残念。やってくれるだけましではあるが。
(中略)
あ、アーセナルは結局1-1で引き分けました。ウクライナ、強いです。オフサイドの誤審がなければ勝ってましたね、ディナモ・キエフ。去年もすごかったけど、GKのショフコフスキー、いいですよ。そういえばU-19の榎本達也(マリノス)もいいです。190cmという身長もだが、落ち着いてさばくところがよろしい。むずかしいキャッチをしても「簡単なシュートさ」って感じで。ただ、セービングに比べてキック力に問題あり、飛び出しとかも含めて川口から盗んでね。
10月26日(月)
不覚にも風邪で寝込む。やはりいまだに夏仕様で生きているのがまずかったか。毛布すら出していないもんな。U-19日本対韓国(予選リーグの最終戦)は、危惧したように1-2で敗北。中国が負けていたので世界大会への切符は確保していたものの、こういう器用なことはしないが前を向くと迫力あるチームへの対抗策を何とかしないと。とくにセンターバックのマンマークで、簡単に前への突破を許すのはいかん。日本チームは顔は幼いがプレーはまるで大人。Jリーグでレギュラー、準レギュラーがほとんどだからなあ。対するイラクやカタールは、顔と体は大人というか中年みたいで、プレーの荒っぽさもフル代表に似ているが、精神構造が幼いのかすぐ怒るかあきらめる。おかげで大量点をもらえたが。
10月29日(木)
まだ風邪気味だが出社。横浜フリューゲルスが横浜マリノスに吸収合併されるというニュースが流れる。市民の論理は企業の論理に勝てないのか?
U-19アジア選手権の準決勝(日本対サウジアラビア)。本山が先取点、しかしサウジが2点を連取して逆転。日本のディフェンスは最終ラインでは機能不全。GKの榎本がまだ経験不足で飛び出しが思いきりよくできないのはこれからの課題として、簡単なロングボールの競り合いに弱い、ゴール前で人数がいるのにノーマークの選手ができる、というは致命的だ。攻撃は前半とはうって変わって後半は高原がハットトリック。中盤を制圧してトップがいい動きをすればこのチームの攻撃力は爆発的なものがある。
10月31日(土)
テレビをつけると、U-19のアジア大会決勝、日本対韓国の後半で、ちょうど播戸が同点ゴールを入れるところだった。どういうわけかオフサイドでなくって独走のGKと1対1、落ち着いて足元に転がして得点。スロー再生でもパスの出所がわからず、謎だ(スポーツニュースで判明。なんと稲本がゴール前で大きくクリアしたボールに素早く反応して飛び出したのだった)。しかし、やっぱりゴール前でドタバタしてイ・ドングックに反転即シュートを決められて負けた。
こうしてみると、タレントでも組織力でも2枚ぐらいは他チームと較べて上手なのに、どうも「絶対勝てる」という雰囲気が伝わってこないのはなぜだろう? イーブンのボールに対しての最初の一歩の寄りに、気迫とかガムシャラさが感じられない。それは、フル代表でも言えることなのではあるが。さあ、来年はナイジェリアで世界大会である(私は行かない。たぶん、行かない)。
なんやかんや。実は、いろいろ書き貯めたテキストを収めたFDはいまだに見つからない。なぜだろう?
U-20日本対カメルーン。PB G3を膝に乗っけて鼻歌混じりに観戦記を書くつもりが・・・
稲本がスタメンをはずれたのが痛いが、左のサイドハーフに本山、右に酒井、中盤に遠藤、小笠原、小野というあたりは期待感十分。トップには高原と永井。早くもいいチャンスをいくつも作るのだが。しかし、高原が本山が永井が決定的なところをはずす。とにかく枠に飛ばないのがいかん。しかし、今日のカメルーンの守備はメタメタである。中盤がノーマーク過ぎてまるで練習試合みたいだ。でも、点が取れないのがもどかしい。
なんか、加藤久の解説を聞いていると、このチームに負けるのは恥だ、という感じなのだが。日韓以外では、年齢ではユース対象でもトップチームに定着した選手は年齢別代表には参加しないことが多いので、それもあるかもしれない。小野のように3世代のチームに出るなんてことはないのだ。つまり、ユース世代は、あくまで育成が大事なのであって、勝つことは二の次なのだ。
結局前半は0-0で終了。なんでかなあ?
あ、やっと入った。酒井の突破から高原のヘッド、まるで教科書。1-0。
時々、あぶなっかしい。早く追加点がほしい。
ああ、ロングボールをせられて同点ゴール。だからいわんこっちゃない。ああ、石川がフリーであげたクロスを播戸、はずしたああ〜。
小野と高原とのコンビネーションはなかなか見ごたえがある。得点にはなっていないが。本来なら大量点で相手を戦意喪失させないといけないゲームなのに。
おお、あれがオフサイドか? 小野からのトリッキーなパスに反応した本山がGKもかわしたのに。コスタリカの審判は信用できん。
なんてことだ! 右サイドからのセンタリングから飛び込まれて逆転されてしまった! 悪夢だ。勝ち点3どころか。ロスタイム。
石川のクロスからのチャンス、折り返して合わせるだけでいいのにまたはずしたああ。
ついにタイムアップ。これはむちゃくちゃ痛い。このカメルーンに勝ち点3をあげるのはあまりに痛い。ああ、バカバカバカ。
というわけで、前半は余裕の展開から次第にあせりはじめ、後半はしどろもどろの怒り心頭! ってのが手に取るようにわかったりする。
(1-2で敗北)
定期が切れた。そういう季節か。
結局、いったん寝て午前3時に起きた。U-20日本対アメリカ。今回は前回の反省のもとに、PowerBook G3は遠ざけて見ることにした。
スタメンは前回とまったく同じ。これはトルシエの「前回の試合内容はよかった」というメッセージなのだろう。代えるにしても、DF は中田浩二をコンバートしているくらいで人材不足だし、代えるならフォワードかウィングなのだろうが、あえてそのままでやろうってところが心意気というもんか。
アメリカはすでにイングランドに1点差で勝っている。カメルーンが2勝、イングランドが2敗。ということは、このアメリカにできれば2点差以上で勝てば2位に浮上する。さらに、各グループの3位からの選抜を考えれば、得点して差をつけることは重要だ。
とかなんとか思っていたら、アメリカがオウンゴールしてくれた。ラッキーではあるが、これもゴール前での速いパス回しで幻惑した結果ともいえる。ボールの軌跡だけ見るとファインゴールなんだがな。
今日もチャンスは作るが、ゴールに届かない。だいたい、シュートをジャストミートしていないがな。
アメリカのこの年代でバスケットボールでもアメリカンフットボールでも野球でもなく、サッカーをやっている人口って少ないんだろうなあ。でも、フォワードのオルブライトと、中盤のライアン・フタガキ(日系4世)の動きはなかなかいい。リベロの選手はブンデスリーガでプレーしているそうだ。でも、日本も石川以外は全員プロだからなあ。しかも、トップでレギュラークラスも多いわけだから、負けちゃあいけない。
結局、前半は1-0で終了。ハーフタイムも必死でPB G3にさわるのをがまんしていたのだが、こらえきれなくって、代わりにOvationを弾き始める。自慢じゃないが、目をつぶっていてもギターくらい弾けるんである。
どういうわけか、弾いているうちに高原が2点目のゴール。ナイジェリアのTV、決定的シーンを逃す。スロー再生によれば、スローインがDFの間の高原にピッタリ合ってのナイスシュートだった。高原が全然嬉しそうじゃなかったので、一瞬オフサイドかと思ってしまった。高原、ゴールできなかった決定機の責任を相当感じていたみたいだ。
そういうわけであれば、Ovationを弾き続けるしかない。でも、ライアン君が素晴らしいシュートを決めて2-1と追い上げられる。やっぱり、このDFラインのマークは甘いぞ、もっと接近してシュートコースを消さなきゃ。その前に、中盤でずるずる下がらずにプレスを組織的にかけていかなきゃ。中盤の底とDFの連携に問題があり(稲本の不在と中田のコンバートのせいもあろうが)、小野や酒井のフォローでやっと、という感じ。
そういえば、小野がなんか本来の調子じゃない。ワンタッチのヒールパスはかっこいいんだけど、ラストパスがいまひとつ。
加地、石川を投入。どちらかといえば、ディフェンスの立て直しを狙ったか。とにかく、こっちは幸運を呼び込む(はずの)Ovationを弾くしかない。
おお、そのかいあって酒井のスルーパスから小笠原がワンタッチ、ファーのサイドネットにゴール。や、やった。これで2点差は大きい。ロスタイムには播戸を交代投入し、タイムアップ。これで2位だ。よしよし。
ということで、最終戦で勝ちさえすれば、よもやグループ3位でも勝ち点6なら救済されるだろう(希望的観測)。負けたら、ほぼ一巻の終わり。カメルーンがアメリカを大差で破ってくれたら、何とかなるかもしれないが。あとは、トーナメントでナイジェリアに当たらないように祈るか。
(2-1で勝利)
午前3時にゴソゴソと起きて、U-20日本対イングランド。
勝っても引き分けでも予選リーグ通過。2-0で勝ったんだから、いいことにしよう。グループ1位じゃないか。言いたいことはやまほどあるが。あとはポルトガルに勝ち、アルゼンチン(後日注:メキシコになった)を蹴散らし、ブラジル(ウルグアイになった)を粉砕し、ナイジェリア(はマリに負けた。決勝はスペインが相手か?)を打倒すれば、優勝だ。わっはっはっはっはっはっはっはっは・・・(あ、壊れた)。
実は、いったん書いた原稿が行方不明で書き直したんだが、2割くらいしか復元できなかったので、ゴメン。たぶん、私の使い分けている4台のマシンのどれかに隠れているのか、それとも消去してしまったのか? 謎は謎を呼び、私は悲嘆に泣き暮れるのであった(幕)。
最初におわび。私、日曜日の夜のサッカー3連戦レポートを忘れてましたね。で、書いたメモがどっかいっちゃいました。とりあえず、こんなもんでお茶を濁してっと。
U-20日本対ポルトガル。
やっと近代サッカーらしい試合を見た気がする。どちらも短いパスをつないでチャンスメイクをするチームで、しかもDFラインを上げて中盤のプレスをかけるスタイルまで似ているので、なかなかシュートまで行かない。
日本は前半は明らかに守備的で、おそらくはそういう指示があったのではないか。ラインディフェンスは何度もオフサイドを取って機能していたが、この日は「疑わしきはオフサイド」って感じの副審だったし、相変わらず1対1に弱いので、不安は募る。
後半が始まって、遠藤のミドルがいいコースに決まり1-0。本山が中に切れ込んで、空いた左のスペースに入った永井にいいパス、そこから「あ、後ろに戻しやがって」と怒りかけたが、得点したので許す。本山はコンディションがいいので、よくチャンスを作るのだが、深いところからの左足のセンタリングはさすがに本職ではないので難がある。こうした永井や小野とのポジションチェンジはかなり有効だと思う。
このへんから、日本が中盤を制圧しはじめ、前半に省エネしたかいがあったなあ、と安心していたら。なんと高原が本山がゴール前に流し込んだボールをせって相手GKと衝突。GKはそのまま負傷退場になってしまった。ポルトガルはすでに3人の交代枠を使い切っているため、フィールドプレーヤーがGKのユニに着替えて代役に。1人足りなくてしかもGKは素人。
これで、なぜかポルトガルが俄然優勢になるところが、不思議というか、若いというか。ポルトガルとしては、1点劣勢で、選手は1人足りず、シュートはもちろん、クロスも許さない戦いを強いられるなかでガンガン攻めてくる。あっというまに同点弾が突き刺さる。1-1。さらに攻める、攻める。とくに左サイドの9番コスタは再三再四、決定機にシュートを放つのだが、魅入られたようにゴールの中に行かない。コスタのシュートに限らず、南の手とバーに日本は救われた。
それにしても、日本の遠慮というか紳士的行為というか、クロスもせず、シュートも積極的に打たない姿勢は解せない。何度罵倒したことか。「柔らかいボール」とか「山下の痛めた足」とかならともかく、真面目に攻めないのはかえって失礼だと思うが。急造とはいえ、ちゃんとGKはゴール前にいるのである。なんでシュートせずにいたずらにパスをこねくりまわすのか?
さらに、だ。終盤にはあからさまな時間稼ぎ。延長もPKもあるのに、なんで同点のままでいいわけ? 稲本が入っても、まだ本調子にはほど遠い。小野はやっぱり1対1のディフェンスは向いていない。しかも、バテバテ。
そのとき、私は気づいたのだ。「Ovationを弾くのを忘れている」。
かくして、延長の間中、私はOvationをかき鳴らし、いくたびも絶叫しては胸をなでおろし、南大明神とゴールポストとバーに感謝の祈りを捧げたのであった。
結局はPKで、5-4で勝ったんだが。南に止められたのはなんとシュートをはずしつづけたコスタ。ああ、泣いている。抱きかかえてなぐさめる10番のシモン。泣くな、君たちにはまだ長いサッカー人生が待っている。
で、最後には私は危険を感じてOvationを手の届かないところにしまったのだった。怒りにまかせて殴りそうだったもんで。いやはや、またこんな試合をしたら血管ぶちきれまんがな。
(1-1、PK5-4で辛くも勝利)
U-20日本対メキシコ。準々決勝。勝てばベスト4。
酒井のクロスにファーで本山がヘッドで合わせて先制。まだわずか4分。両ウィングで点を取ったところに価値。
緒方貞子国連高等難民弁務官(という役職だっけ?)も観戦。しかし、アナウンサーはコメントなし。
今度は小笠原のクロスに小野がヘッドで叩き込む。2-0。いやあ、人は違うがまるでさっきの得点を再生したかのよう。その前にも小笠原のいいシュート、さらにディフェンダーのロングシュートもあってなかなかよい。
敵もさるもの。ゴール前でのパス回しとシュートはさすが。南がナイスセーブ。
前半は2-0で終了。メキシコは前掛かりに。
後半、問題はスタミナ。本山に代えて石川、永井に代えて高田。主審がどうも日本に辛い判定をする傾向があり、しかも日本リードだから気をつけないといかん。
メキシコはドリブルでファウルを誘い、早めのクロスで日本のディフェンスラインを下げ、ゴール前では個人技で抜きにかかり、ときには意外なところから思いきりのいいシュートを打ってくる。こぼれた球にもよりがいい。
25分が過ぎた。日本もなんとか応対している。メキシコはあせり始めている。なりふりかまわずファウルで止める。高田に決定的チャンスがめぐるが、追加点ならず。あと5分。高原に代えて播戸。
フリーキックから酒井のいいシュート。つづくコーナーキックもできるだけ長く攻撃するかたち。コーナーフラッグ近くで時間を使うあたりに日本サッカーの辛い教訓がにじむ。ついにロスタイム、あと3分。キープしながらもシュートコースがあけば打つ。ここまでたくましくなったか。
笛! 勝った! それも快勝! 心配だった守備もだんだんよくなってるし、決定的なチャンスもほとんど与えなかった。ユースとはいえ、FIFAの世界大会、フル代表と同じユニフォームで戦う、ここでベスト4だぞ。もうひとつ勝てばFinalistだし、もうふたつ勝てば優勝だ。ああ、なんてバカなことを言ってるんだ。
(2-0で快勝)
U-20日本対ウルグアイ。
準決勝である。FIFAのテーマが聞こえると胸が高鳴る。これでもっと観客が入っていれば。
審判が28歳とは思えないふけ顔だったりする。
日本はまったく先発メンバーは同じ。不振の永井に得点が入ればいいんだけどなあ。
ウルグアイはさすがにうまい。厳しい中盤からのチェック、確実なボールキープ、そしてフォワードの巧みなポジショニング。日本は得意の速いパス回しを封じられて、パスコースを探す場面が多い。ディフェンスでは、オフサイドが取れずに突破されて冷や汗をかいたり。
しかし、先取点は日本だった。ダイレクトパスとドリブルで揺さぶって、本山がうまく抜け出してマイナスのセンタリングを高原がマークをはずして落ち着いて決めた。右から左にエリアを斜に横切ってDFを釣った(たぶん)永井もよかった。
ウルグアイはやはり疲れているのか、中盤での守備がゆるくなると日本のパス回しが生きる。
ところが、直後のフリーキック流れからGKとDFのあいだにセンタリングを流し込まれて同点にされた。あそこでエースストライカーをフリーにしてはいけない。日本はどうもセットプレーでもゾーンで守っているようで、そこにやや不安。
やっと永井にゴールが生まれた。ゴール前での1対1から、キープしてDFが揃ったときには「また、打つのが遅い!」と怒りかけたが、うまく中に切り返してシュートコースをこじあけてインにかけて反対側のサイドネットを揺らした。
本山と小野のポジションチェンジも有効。小野の方が左足のクロスはいいし、本山も中央から仕掛けるドリブルには威力がある。
いくどかのピンチはあるものの、なんとかしのいで2-1で前半終了。相手コーナーキックのカウンターから4対2になったシーンは惜しかった。右も左も完全フリー、しかし高原が自分で打ってわずかにはずれた。まあ、ここはゴールへの積極性を買おう。
後半、稲本と加地を投入。4バックに変更。加地が右サイドバック、中田が左サイドバック、中盤の底が酒井と稲本ということか。ウルグアイが繰り出すだろう攻勢に対して、サイドのスペースと中盤のチェックを厚くする意図なんだろうが。
が、日本は選手が守りの意識が強いのか、ラインが下がって相手にいいようにされている。肝心の中盤も疲れているのか混乱しているのか。10分過ぎにはピンチを南のセーブでどうにか防ぐ。
ここで、なぜか入ったばかりの稲本を下げて左サイドバックの石川。なぜ? 怪我? 中田浩二を本来の守備的中盤に戻すのかな。なんか、交代3人枠を使い切ったことが裏目に出ないといいが。
どうもまた3バックに戻したみたいだ。ウィングが左右とも本職になって安定すればいいのだが、攻めてには手詰まりが感じられる。トップに放り込んでポストプレーまでは行くのに、そこからの突破がない。攻撃が持続しないので、ディフェンスラインを思いきって上げられない。ここは小野、小笠原の踏ん張りどころだ。
石川のクロスに小笠原がフリーでヘディングだったがはずす。う〜ん、こういう守勢のときにはワンチャンスを生かすことが、ムードを一変させるためにも大事なんだが。
日本はゴール前をひたすら固める。それでいいのか?
小野がスローインをゆっくりやったら遅延行為を取られてイエローカード。これで2枚目で次の決勝(間違っても3位決定戦ではない)には出れない。ああ、もったいない。
南が倒れる。ああ、大丈夫であってくれ。もう、交代はできないんだ。
あと20分。
あと15分。贅沢は言わないから、せめてシュートまで行ってくれ。この戦い方は心臓に悪い。エリア内でせりあってギリギリでクリア、の連続じゃあないか。
また遅延行為で中田にイエロー。これはもう、この審判の癖なんだろうなあ。審判にとってもユース大会はアピールの(あるいは試験の)場である。
あと10分。ウルグアイにフリーキックのチャンス。集中! サイドに流れてもマークははずすな。ボールにはプレッシャーだ。両軍とも相当疲れている。監督が早めに交代枠を使ったのもむべなるかな。
あと7分。ウルグアイはとにかく高いクロスをハーフラインから入れて高さにかける。耐える日本。クリアから高原がシュート。バテバテにもかかわらず、果敢に上がる高原。上がってきたDFに、手島がいいタックルでカット。
あと2分。ロスタイムはけっこうあるだろうが。ああ、危なかった。フリーキックをせってから右サイドをえぐられて、ウルグアイが選手もろともゴールに入ろうとするところを南が阻止。
45分、日本のコーナーキック。ロスタイムは4分。相手GKがゴールから出た。が、決まらない。
オフサイドをとった。ヘディングがループシュートになってゴールを揺らしたが、セーフ。またもや遅延行為でイエローは南に。ウルグアイの選手をエリアで倒したが、ノーファウル。
日本のカウンター。ウルグアイのシュートにDFがさわって南が押さえる。しかし、ウルグアイのコーナーキックをとられる。ラインを出てないよー。
あと1 分。南がパンチングを失敗したが。加地が外に出す。ウルグアイはGKもあがってきた。これこそセミファイナル。日本が短いクリア。ウルグアイが拾う。石川が笛のあとに蹴ってイエロー。すでに49分だがフリーキックはゴールキックにかわる。まだ終わらない。ウルグアイがシュート。またコーナーキック。こぼれのシュートは南ががっちりキャッチ。もう51分だぞ、審判の時計は合っているのか?
ああ、終わった! 勝った! ヨオーッシ! 夢のファイナルだ。
なんか、選手よりも監督よりも、中継の栗田アナと解説の加藤キューちゃんの方が声がうわずっている。とにかく、守りに入って、しっかり得点させなかった結果が重要だ。相手はスペインか。ここまで来たら優勝したいよなあ。記憶に残るのは最後の勝者だけだ。
(2-1で勝利。内容はともかく、ここまで来れば勝てばいいのだ、勝てば)
感慨にひたるまもなく、WOWOWに。UEFAチャンピオンズリーグ準決勝のユヴェントス対マンチェスター・ユナイテッドが実は生中継なのだ。もちろん、すでに後半は始まっている。今年こそはと悲願の優勝をめざすファーガソンのMANU。もはやビッグイヤーしか目標のない、漂流するユーヴェ。
日本対スペイン。U-20決勝。フジもNHKも、おおはしゃぎ。でも、NHKは許す。アジアユースだって中継してくれたんだから(録画が多かったけどさ)。
師匠から久しぶりの電話。予感はしていたのだ。で、問題は部屋のなかのエントロピーが極大になっていることで、1時間後にしていただく。さあ、決勝だ。それも、「世界」の決勝だ。3位決定戦のウルグアイ対マリは、そうじと料理をしながら見る。それにしても、アフリカのチームの手足は長い。戦術はめちゃくちゃだが。ボールを取ったらみんなで攻め、取られたらみんなで守るってのは、実はサッカーの理想なのだが、マリのやっているサッカーは自由というより、勝手気ままなんだな。それで勝ってしまうところが恐ろしい。日本がもっとも苦手とするタイプでもある。
そういえば、儀式をしてないなあ。とりあえず、テレビには日本代表バンダナをかける。迷ったがやっぱりPowerBook G3をセットアップする。これでメモ態勢だ。
NHK-BSは事前特番。先発には、なんと氏家を起用。で、本山のポジションだった左ウィングに入れるのか。結局、遠藤も高原も出場。中盤は本山、小笠原がかき回す。
南がオーバーステップでエリア内の間接フリーキックをとられてバルケロにグラウンダーで決められて失点。う〜ん、どうしようもないのかなあ。あそこは壁は動いちゃダメだろう。
日本もよく攻める。本山がいいトラップをしてGKと1対1になりかけたところを引っ張って倒されたが、ノーファウルの判定。アルゼンチンでは、これがスタンダードなのか? 早くも審判への不審が募る。
南がナイスセーブ。つづくコーナーキックも無難にやりすごす。
オフサイドに見えたが、見事にパブロに抜け出されて2点目。う〜ん、うなるのみ。15分たっていないのに。とにかく、前半はこのまま、できれば1点返して折り返したい。
どうもリズムがつかめない。こぼれも拾えない。しかし、高原が2人抜いて、角度のないところからシュート。サイドネット。そして、永井が抜け出してシュートはネットを揺らしたがオフサイド。少しずつ、日本はゲームの主導権を取り戻しつつある。ただ、小野がいない分、ダイレクトパスがなくてドリブルが多い。
ラインを割っていないボールをヘディングでシュートされ、ピンチ。南のおかげで防いだが。
しかし、しかし、エリア内のせりあいでクリアしきれず、3点目を取られる。またパブロ。さすがに決定力はすごい。
ああ、高原のヘッド、わずかにそれる。
日本、疲れている。ボールに行けない。見ているだけ。遠藤も酒井も本山も辛そうだ。3点のビハインドも精神的に大きいのか。ここは、気合いを入れるプレー、できれば得点があれば、がらっと変わるはずなのだが。
ああ、ボールを取っても中盤が上がれない。これでは攻めにいけない。前半は0-3で終わった。これはスペインの思うツボだ。とにかく、1点取ろうぜ。
後半、氏家に代えて稲本。いい調子にも見えたのだが。パブロにエリアで切り返されて、ガブリに決められた。0-4。とにかく、スペインがチャンスにきちんとシュートを枠に飛ばすあたりは勉強になっただろう。ああ、またピンチ。いいようにされている。どこかでスピードダウンさせないと。高原に代えて播戸。キャプテンマークは稲本に。
コーナーキックを稲本が折り返して遠藤のシュートはDFに当たってしまった。惜しい!
ここで、永井に代えて高田。これで3人の交代枠を使い切った。頼みはこのトップに、足の速さに賭けたい。おお、ここで本山が裏に抜けたがDFの足が出てシュートを寸前ではじいた。小笠原のうまいパスだったが。さらに、本山が粘ってボール奪取してコーナーをとるが。
本山のドリブル、DFのハンドでフリーキック。止められた。しかし、カウンターをカットした中田が右に大きく振ってチャンスメイク。なんか、気持ちが前に向いてきたぞ。
もはや、スペインは勝ちを確信している。稲本がいい動きで前に送ってもパスがつづかない。逆に、シュートまでいかれて南に救われている。もう、1点でいいから。なんとか、とにかく、どうしても。
高田への浮き球のパスもオフサイド。稲本が、本山が執拗にチェイスする。そう、その姿勢だ。でも、シュートするのはスペインなんだよなあ。がまんして、やっとボールを取って、その繰り返し。しかし、それしかない。
南が治療。45分を過ぎた。アーリークロスもオフサイド。ああ、しかしまた攻められてシュートがネットを揺らす、ただしオフサイド。笛。
負けた。頭では、それもそうだよなあ、と思ってもこの盛り上がりをどこにぶつけていいのやら。でも、準優勝なんだよなあ。スペインを相手に、不運な失点から結局ペースをつかめなかったが、ここでの悔しさを宿題にしてこれからがんばろうぜ。
エリア内での間接フリーキックでは、安易に壁を動かさないとか、シュートはとにかく枠に飛ばすとか、いろいろ学んだでしょ。
戦ううちに強くなる経験とか、異国の地で不自由な暮らし、理不尽な対応にも負けずにやっていくこととか、ねえ。
そうか、メダルもらえるんだよ。すごいことじゃん。プラティニも、ベッケンバウアーも来ている。そうだ、これは世界の決勝なのだ。それもだ、市川とか、金古とか、池田学とかが出られなかったのに、だ。そのほかにも、悔しい思いをした選手、あるいは韓国やサウジなど、グループリーグで敗退したアジアの思いをも込めて、立派に戦ったというべきか。
「もらった花は小さな花ですが、立派に咲かせた花でした」
という山本アナのことばが心にしみる。(0-4で敗北。2位に入賞、銀メダルを授与される)
最新の「迷狂私酔の日々」へText by Takashi Kaneyama 1999