右手と左手が話しています。「おい右手、絵を描くそうだ。描いて描いて。」
「はい、こんな風でいいかな。」 「ほら右手、ジャッターを切って。」
「はい、わかりました。いい写真が写りました。」
「はいっ右手、今度は彫刻だ。」 「はい、すぐ始めます。」
こうして70年が過ぎました。今では器用になった右手が左手に命令をしています。「はい、左手君画用紙を押さえていて。」
「あいよ。」 「左手君、しっかりカメラを押さえていて。」
「はいよ。」右手君、ノミはもっと下向きにもって。」
「こうかな。」 どんなことでも嫌がらずやっていた右手は指導権をとり、左手は右手の助手になってしまいました。嫌がらず働いた功績をたたえて、右手の像を作ってやりました。
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