書 名:花の性 〜その進化を探る〜
著 者:矢原 徹一(九州大学教授)
発 行:東京大学出版会
価 格:3,914 円
ISBN4-13-060160-1 C3045 P3914E
フィールドワーク、理論、そして実験をダイナミックに駆使して、 魅力あふれる野生植物の世界を鮮やかに読み解く。 発見と興奮に満ちた科学の物語。
( 帯より )
僕の弱点のひとつに「本を読むのが遅い」というのがある。
(他に「食べるのが遅い」ってのもある。)
本を読むと、一語一句逃すまいと、アンダーラインを引きながら
噛むように読んでしまう。特に学術系の本の場合は一段と遅い。
そのため、買っても読まれるのを待っている本が溜まってしまう。
そんなわけで、この本は 1995/5 に購入し、本棚で3年寝かせた後、
1998/5 から読み始め、読み終わったのは 1999/4 となってしまった。
(矢原さんすいません。)
でも、この本がつまらないなんてことはない。全然ない。
これは、情熱を感じる本です。そして科学を信じる本です。
「花はどういう進化があって、こうなっているのか?」
「どうして花が咲いたり、咲かなかったりするのか?」
そんな、言ってみれば素朴な疑問を追い求め解き明かしてゆく、
矢原さんの研究の歩みを、わかり易い言葉で語りながら、
いつのまにか科学の発見の喜びや、進化の奥深い不思議さに
引き込まれてしまいます。
最新の遺伝子技術や理論モデルもするすると頭に入っちゃいます。
(数式ではなく、考え方がわかるから。)
植物は、花をつけ、虫を呼び、花粉を運んでもらって、タネを残す。
あるいは自分で受粉してタネを作る。
ウィルスの攻撃に耐え、種は広がり混じりあい、変わりつづける環境で
ナントカカントカ進化して続いてきた。その何億年もの歩みを思うと、
現在目にするどんな小さな花にも「がんばってるねー、大変だねー、
すごいねー」と声をかけたくなる。
道ばたの草にも不思議が沢山。植物は深い。
T.Minewaki / minew@post.email.ne.jp