NHK お得意の、よく構成された科学特集番組。
5月に3回の放映があり(1999/5/2,3,4)、間を開けて
8月に3回の放映(8/9,10,11)。
8月の放映のなかで、寿命に関する回があった。
それを観ていて、今までと違うなと思ったのは
「不老不死は、結局はかなわない望みなのだ」
というトーンで説明がされていた点。
今まで放映された遺伝子関係の科学番組では、
DNA 末端のテロメアがだんだん短くなることで 細胞の寿命が決まっている。という(希望ある)説明が多かったのが、今回は、
テロメア末端を補充してやる(補充する酵素を与える) ことで細胞寿命を伸ばせる(かもしれない)。
細胞核内の DNA は、活性酸素によって 常に新しい傷がつけられている。 傷を修復する酵素もあるが、機能は完全ではなく、 次第に DNA に傷が蓄積されて行く。という風に説明がされていた。
傷の蓄積がある程度を超えると、 (その細胞を使い続けることは危険なので) 細胞を自ら破壊する(アポトーシス)。
ふぅん、なるほど。
これなら細胞自死(アポトーシス)も必然の機能なのだな、と思える。
テロメアも、それをサポートする仕組みのひとつなのだ。
そして、寿命も必然なのだ なと。
それでも人間は、不老不死をあきらめることはしないだろう。
上記のような説明がされれば、「もっと完全に DNA の傷を修復する
酵素や、活性酸素を減らす酵素の遺伝子を見つけて、組み込めばいいじゃん」
って発想で研究が進むのだろう。
T.Minewaki / minew@post.email.ne.jp