◆ ICC : NTT インターコミュニケーションセンター ◆
新宿 東京オペラシティタワー 4階
人工生命、仮想現実を利用した展示が多いということで、
以前から行ってみたいと思っていた場所だったが、やっと
その機会ができた。(1998/11/20)
新宿の東京オペラシティタワーの4・5・6階が ICC である。
平日の午後だったので、客は少なく空いていた。
4階で入場券(800yen)を買って進むと、オランダのアーティスト
による特別展「ザ・セカンド」が開催中だった。
面白かったが、それについては省略。
5階に昇ると、常設展のフロアである。これが目当てで来た。
ここには、以下のような楽しい展示があった。
◆ ガラパゴス / カール・シムズ [1997]
- 12 台のコンピュータディスプレイが並び、それぞれになにやら
ウゴウゴと規則的に変形する造形物が映し出されている。
ウミウシのような、植物が成長しているような、蝶のような。
それらはなんとなく似ているが、それぞれに違っている。
実はこれらは、あるルールによって作られた CG の人工生命なのだ。
それぞれのディスプレイの前に、足踏み式のマットがあり、
どれかひとつ選ぶと、選んだものを残して他の 11 台の
ディスプレイには、選ばれたものを親として新しい生命が
生成される。選択→生成を何回も何回も好きなだけ繰り返すことで、
自分の好みの色や形や動きを持った生命が形成されてゆく。
これはまさに人間の選択による進化、あるいは品種改良である。
コンピュータの力によって、それは数秒のうちに行われる。
さすがカール・シムズ、と思わせる画像の美しさと遺伝モデルの
作り方だ。何度も繰り返して遊んでしまう。
◆ CAVE の共同[形]成 / アグネス・ヘゲドゥシュ、他
[1997]
- 前、左右、下の4面マルチスクリーンと、液晶シャッタ 3D メガネで
観る、3D-CG の世界。部屋の真ん中には等身大の人の形をした
木の人形があり、この人形の手足などの関節を曲げることによって、
それに反応して映像がリアルタイムで変化する。(残念ながら
その操作はオペレータが行い、僕達は触ることができなかった。
扱いが悪いと壊れてしまうのだろう。)
広視野で見る 3D-CG は包まれ、浮遊するような臨場感があり、
圧倒される。また CG は7種類の世界があり、それぞれ幻想的に
できていて印象的だ。
◆ ランドスケープ・ワン / リュック・クールシェル
[1997]
- 4面パノラマスクリーンに、ある森の中の固定点からの周囲画像が
映し出される。それは普通の世界のように、動画を映しつづけるが、
ときどき人や、犬やらが通り掛かる。すると画面に数個のメッセージが
現れ(こんにちは、とか)、それらのうちどれかを喋る(音声認識される)
かクリックで選ぶと、それに応じた展開で映像が進む。映像の中の
人々と会話しているような感じになる。
テレビゲームの RPG を、大画面・実映像ビデオ・音声インターフェイス
を使って、よりリアルに実現したもの、と言えばいいだろうか。
分岐した多数のビデオはすでに用意されている。それを瞬時に
切り替えて表示することでストーリーが流れてゆく。
◆ ライフ・スペイシーズ /
クリスタ・ソムラー + ロラン・ミニョノー [1997]
- 大型スクリーンの中に自分が鏡のように映り、その中には、
現実には存在しない CG の植物が生え出し、蜂が飛び回る。
こちらの動きに応じて蜂はたかって来て、去ると静かになる。
また、スクリーンの中には、どこか別の部屋にいる参加者の
映像も同居して映し出され、2人はこの画面を共有して隣に立ったり
コミュニケートすることができる。
◆ AUDIBLE DISTANCE / 前林明次
[1997]
- ヘッドマウントディスプレイを装着し、機材を背負って3人で
暗い部屋に入る。ディスプレイ映像だけが見える。他人は光の玉に
なって表示され、 人同士が近づくと間に光の壁が生まれる。
次に、映像は消えてヘッドフォンの音だけで他人の位置を探る
モードになる。近いと大きく、遠いと小さく、左右前後がわかるように
音がするはずだが、うまく認識できなかった。
他人との位置関係を、一度コンピュータに入力して、変換されたものが
ディスプレイや音として与えられる、という体験。
他にもいくつかあったが、展示お休み中だったり、ひまひとつだったり。
◆ 電子図書館
6階に上がると、コンピュータによる映像データベースを利用できる。
ここ独自の資料も多く、CG 関係の作品群や、ビデオインタビューが
検索できる。
総合感想としては、建物は新しく展示は楽しくきれいで、
背後にものすごいコンピュータパワーを使っての体験型の展示で
あること(メンテナンスも大変だろう)を考えると、800yen で
これだけ見られるのは安い。
行ってみる価値のあるところです。
・外部リンク →
ICC : NTT インターコミュニケーションセンター
1998/11/22 T.Minewaki
1998/12/12 modified T.Minewaki
→ 生命のよもやま話
→ MINEW のホームページ
T.Minewaki / minew@post.email.ne.jp