◆ 空の遠くに つれづれノート (9) / 銀色 夏生

Tsurezure Note 9
作品名:空の遠くに つれづれノート (9)
作 者:銀色 夏生
発行所:角川書店 角川文庫
    2000年7月25日 初版発行
定 価:590 円(税別)
ISBN4-04-167340-2 C0195 \590

つれづれノートシリーズも9巻目となった。 第1巻目からもう9年も経っているのだな。 1999/5/12〜2000/3/31 の日記。
2人目の子供「さくぼう」が育って立ち上がって、 手がかからなくなってきたからだろうか、 次に何をしてやろうかと、楽しみな心持ちで何かを待っている感じ。

山あり谷あり、いろんな経験を重ねて、考えて、大人になったのだなぁと感じる。 今回は特に、人生のツボをつきまくった物思いが多く、 うんうんと感心させられるところが多い。 人生をやっていく上での銀色さんのスタンスが一段と明確になり、 視点がスッキリとして素直に明日を見ている心境が感じられる。 自分について、他人について、一貫したスジが通っている。 「人は誰でもひとりであり、自由であり、自立して、 自分の責任で好きなことをやればよいのだ。」 核心はそういうことなのだろう。昔からそうだったのだろう。 個人的にとても共感できる。 そしてそうなるために銀色さんは努力をしたのだ。
P204
 今、私は、自分の意志ですべてを決定できる環境にいるし、 だれにも強制されないでいられるが、こうなるために私は子供の頃から ずっと生きてきたといっても言いすぎではない。
 時々、自由に何でもできてうらやましいと言われるけれど、 そのために私が払った犠牲というか払ってきた注意を知ると、 うらやましいとは言わないだろう。今の状況は今までの結果だ。
 そして、持続するためには、変わらぬ強い意志と心がけが必要。 私はこれからも、同じように生きていくだろう。
引用の引用だけど、とても良い言葉が載っていた (「育てるものの日常」津守房江 から)。
p26
「そう、過去は変わる。過去は深さに向かって開かれている」
「そして未来は高みに向かって開かれているよ」
 この、過去は深さに向かって、未来は高みに向かって開かれている、 という言葉には私は、広い広い広がりと知的な希望を、真摯なやさしさを、 感じた。
マークしたところは多い。 p7, p18, p26, p60, p113, p116, p138, p140, p146, p166, p186, p200, p201, p204, p210, p220, p259, p274, p280, p282, p291, p295, p321, p323, p327, p329, p334, p337, p339, p347。

イカちんとのドライな関係は、どうなっていくのだろうか。 銀色さんは許しているというか、諦めているというか、そんな感じなのだけれど、 イカちんがそれにどこまで耐えられるか。

2001/09/06 T.Minewaki
2003/03/12 last modified T.Minewaki

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