七里ヶ浜擁壁と国道134号線の拡幅工事

七里ヶ浜の浜沿いの国道134号線の鎌倉高校前交差点は1車線のため、鎌倉から来て右折して日坂に入る車のために国道134号線は常時渋滞している。逆に日坂から国 道にでるの も難しい。そこで町内会が県に陳情したところ交差点近傍だけ拡幅されることになった。渋滞解消は予算配分の理由付けには弱いようで、自然災害による擁壁崩壊防止のための予算が流用された。

神奈川県は七里ヶ浜全域を2車線にすることを究極の目標としているそうだが、住民は風景が破壊されるとして必ずしも賛成ではない。たまたま数年前に七里ヶ 浜駐車場の東側の土手が台風で洗われて崩れた修復という名目で日坂右折部分だけ片側2車線にすることになったもよう。



工事前  →は問題の交差点

日坂交差点のある中央工区は地盤をドリルでほぐしながら鋼管を圧入するドリリングプレス工法を採用した。

中央部完成時のイ メージ


2013年6月
、東側の七里ヶ浜駅前から工事が始まった。

東端の行合橋工区と西端の小動側工区はジャイロプレス工法という掘削用の歯を下端に着けた巨大な鋼管杭をドリルで回すようにしてネジ込む工法を採用している。東端には 建機持込みのための養生として海側にサンドバッグを高く積み上げ、その上に鉄板を敷いた。西端はH形鋼を砂浜に打ち込んで建機を浜に降ろすスロープを造った。

サンドバッグを高く積み上げたスロープ 2013/7/2

冬 期間は予算がないのか休んでいたが、暖かくなると工事再開。直径1メートル以上の鋼管パイルを回転させながら岩盤にねじ込んでいる。いわゆる回転圧入鋼管 杭工法というやつで管の中の排土は行っていない。鋼管下部は母材を加工して切り込み歯としている。1日に2本打設している。

2014/5/30の鋼管パイル 打設

2014年4月に入り、いよいよ、中央の日坂交差点付近でも西松を中心とする企業連合がドリリングプレス工法の工事を小動岬側から工事を始めた。

浜がやせ細っているためサンドバッグは使わず、鋼鉄の架台を砂浜の打設したコンクリート基 礎上に構築して砂浜に建機を下ろすランプと作業用ヤードを構築した。ダムの建設や、港湾の建設で砂の供給が細り、浜は狭くなり、仮の施設とはいえ、波に洗われて危うい。

この仮設ヤードの手前のスロープは唯一の浜に重機が下りれるスロープだ。

波に洗われる小動岬側の仮設ヤード 2014/5/13


2014年6月にはこのランプからIHI社製の巨大なクレーンが浜に降りて日坂交差点前で浜にスクリュー型アース・オーガーで竪穴を掘り、そこに矢板を 挿入した。その矢板の上に伸栄鰍フ杭圧入機を設置した。鋼管矢板中堀圧入工法というもののようだ。ラセン型のアース・オーガー併用中掘で杭先端地盤をほぐ し、鋼管矢板圧入機(鋼管パイラー)で、鋼管矢板を硬質地盤(N値 200以上/換算)に圧入する工法。アース・オーガーの回転反力はアース・オーガーを包む円筒で受ける仕組みだ。アース・オーガーが掘った岩クズは鋼管 トップから外に 排出される。その土はプッラスチックシューター(黄色)経由既に岩盤に挿入されて空洞になった鋼管内に捨てられる。


杭圧入機にセットされた鋼管 にアース・オーガーを挿入せんとす

このIHIクレーンは巨大で、そのトップは35mの地盤にたつ我が家よりも更に15mは高いから50mはある。かってスマトラ島でLNGプラント建設に 使ったマニトヴォックと同じくらいだ。

鎌倉高校で学んだという若い男がそれを撮影していた。卒業後このような土木工事に関係しているらしく、工法にも詳しかった。10年ぶりにここに来たが砂浜 が狭くなっていて驚いたという。

中央の日坂交差点付近の工事は冬期間は休んでいたが、2015年5月に入り日坂交差点東側の工事を再開した。工法はジャイロプレス工法という巨大な鋼管 矢板をドリルで回すネジ込み工法に変えた。パイプ内には常時水を注ぎながら19mのパイプを回転させながら切り込んでいる。...



日坂交差点東側の工事


鋼管矢板の下端には超硬鋼を埋め込んだ刃先が溶接してある。

超硬鋼を埋め込んだ鋼管矢板の刃先


2015/8/16 運動不足解消に、江の島港の突堤まで散歩した。2020年のオリンピックのヨットレースはここで開催されることがきまり、クラブハウスも新しくなった。

一方、隣の36億円余が投じられた豪華な施設である神奈川女性センターは封鎖されていた。県の財政難から売りに出され、神奈川大学が名乗りをあげたそうだ。そもそもここにふさわしくない建物だ。典型的な箱もの行政の失敗例だ。

釣りの名所になっている湘南港の突堤の先端まで歩き、そこから七里ヶ浜をスマホで撮影した。工事中の護岸の鋼管の赤錆が見える。左端に建機を砂浜に降ろす スロープが見え、右端には鋼管杭打ちが完了し、コンクリートで表面を仕上げたことが見て取れる。下の写真は後日海上から撮影したもの。


Sドリーム号から七里ヶ浜を撮影 2015/9/6

帰路、葉山の御用邸前には海上保安庁の巡視船が停泊しているのを発見。恒例の終戦行事を終えた天皇が夏休みをとりにきたのだなと推察される。だた1泊だけで巡視船は消えていた。

2015/9/26 雨の中、浜を散策。日坂交差点東側のジャイロプレス工法という巨大な鋼管矢板をドリルで回すネジ込み工法は東の階段部分や下水放流管部分も含め、すべて完了して いた。残るは中央の階段部分の打ち残した部分となった。すでにねじ込んだ鋼管3本を切り取りそこを臨時の階段入口とした。あとで切り取った鋼管は溶接する のだろう。

2015/10/17 中央の階段部分の打ち残した部分の杭打ちも終わり、残りは西端のみとなった。2016/2には工事完了の予定。

2016/2/26 海岸からのエスケープ階段も完成し、海岸に敷き詰めた鉄板も撤去した。鋼管杭と旧擁壁の間に土を充填して当初の道路拡幅工事、鋼管杭の表面に化粧コンクリートを張る工事は3月以降行うようだ。



海岸からのエスケープ階段 2016/2/26

2016/11/1 夏頃から鋼管杭と既存の擁壁の間に土砂を充填する作業が行われ、秋にはほぼ完成した。

2017/3/20 年が改まって、予算がついたのか、再び小動岬よりの残りの杭打ちが始まったが完成させず中断中。

2017/7/20 鋼管杭の表面に化粧コンクリートを打設とガード材の取り付け、鋼管杭と旧擁壁の間の舗装は日坂交差点周辺は完成したが、まだ一部、化粧コンクリート打設中の部分が残る。あと数か月かかりそう。
いまだ道路は狭いままである。いずれ切り替えが行われ、山側の狭すぎる歩道の拡張工事をするのだろうか?

2017/8/ 日坂交差点周辺のレーンが海側に平行移動した。山側の歩道の拡幅工事が始まるらしい。

2017/9/1 お盆休暇後初めて浜にでるとかねてより工事中の鎌倉高校前駅から七里ヶ浜駅までの区間の化粧コンクリート打設が完成していた。工事開始から4年が経過して いる。残る工事、鎌倉高校前駅から小動岬までの区間は何時着工されるのだろうか?まだ一部鋼管杭さえ打設されていない。

2018年に入り、七里ヶ浜沿いに海底をソナーで調査していたので浜の砂を補充するとか検討しているのかとも思う。

2018/2/7 日坂交差点より浜を西に歩いて今年に入り、鎌倉高校前駅から西に向かって化粧コンクリート打設を始め、かつ残りの鋼管杭をねじり込んでいるのを確認した が、一部ねじこんだだけで機材は撤収し西端にある浜を車が下れるスロープ周辺の擁壁には2018/8になっても鋼管をねじ込む気配はない。年 内にもこの新設鋼管杭にも化粧コンクリートを打設するのだろうか?

2018/9/23 予定された鋼管杭打設はようやく終わったらしい。恵風園胃腸病院前の浜に下るスロープの両側50mは浜が狭くなっているため、鋼管杭は打たないつもりらしい。

2018/12/6 9月には鋼管打設機を解体撤去したのでもう杭は打設しないのかと思っていたら、再び打設機を組立ててねじ込みはじめた。年内に打設完了となるか?

浜を歩いて気が付いたが擁壁の水抜き穴から水が滴っているのはごく一部だということ。我が家の前は首洗い沢の西のはずれで水脈の西端である。

2019/1/14 数日前から再び鋼管打設を再開した。



海岸からのエスケープ階段 2019/1/14

2019/1/19 までの作業を見ていると残りのスロープ回りの100mは現状とするよう に見える。スロープ自体が擁壁をサポートしているから良しとしたのかもしれない。いずれにしてもこのスロープを更に海側に移動させる浜の幅が不足している。杭打ちのための仮の架台は撤去して、コンクリートによる表面仕上げ、舗装 工事で完成にするのかもしれない。

2019/2/1  散歩の際、杭打機は解体し、スロープ西側の作業用仮設架台(ヤード)の天板をはずし始めた。いよいよこれで杭打ちは打ち止めにして、コンクリート化粧工事に入るように見える。3月末までに工事は完了するのだろうか?実に6年がかりであった。

2019/2/13 スロープ西側の作業用仮設架台(ヤード)の天板を戻しスロープとの間の砂浜にまた土嚢をつみはじめたので工事関係者にきくと最後に残ったスロープ回りの杭 打ちの準備だそうである。工事は夏ころまで継続だそうだ。2018/9/4の徳島県南部に上陸時の中心気圧は950hPa、最大風速は45m/sの台風 21号のときは波がこのヤード下の砂をごっそり持って行ってしまったという。海水は国道の路面まで達し、江ノ電も止ったと言う。私は屋根を持って行かれるのではと家のなかで腹を据えていたのを思い出す。


スロープ回り 2019/2/13


2019/6/9 梅雨に入った。鎌倉高校前駅の歩道は完成した。また海岸の鋼管杭の打設は完成したが、コンクリー巻工事はこれから。まず作業用仮設架台(ヤード)を解体するのだろう。恵風園胃腸病院入り口にあるスロープは残されているがスロープには鋼管杭を打ち込んである。

この七里ヶ浜擁壁の工事にかんするページもすべてKompoZerで書き、かつNextFTPでアップすることと思い出した。


2019/9/8 2013年に着手した東側の七里ヶ浜駅前でのサッドバッグ積み上げ方式のスロープはついにサンドバッグを空にした。

西側恵風園胃腸病院周辺の化粧コンクリート打設は目下、打設用枠を組みたてている。リアカーを降ろすスロープは撤去するため、信号も移設した。


2019/10/20 再び回転圧入鋼管杭工法の工機を再び導入し最後の鋼管パイルを打設するようだ。


2019/10/24 稲村が崎駅から浜伝いに散策をした。七里が浜の西側は7年かけて鋼管杭で改修され、年内には最後の鋼管杭を打ち込まれる。しかし、駐車場より東は砂が相模 湾に流れ込む砂が断たれて、浜の砂の供給は断たれた。ここに住んで40年になるが、今年は台風19号により、浜の砂は消え、ついに下りレーンは路盤が陥没 してしまった。一方通行にして、鋼矢板(シートパイル)を打ち込む工事をしている。このこのように七里が浜の危機の砂が消えたのは温暖化が原因ではなく、横須賀の海軍水道や横浜市用の飲料水、灌漑用水のためにダムを建設したのが真の原因だ。静岡県がリニア新幹線工事を許可しないのと同じ理由だと気がつく人はいない。

2019/12/6 七里が浜東から稲村が崎まであるき、8月に散歩している人が発見した歩道の崩れは鋼矢板の仮設打ち込みは終了したが、歩道には鋼矢板が応急的に打ちこん だだけで擁壁をどうするか検討しているように見える。一方、西の端では鋼管パイルの最後を打ち込み、鋼管圧入機は解体搬出中であった。作業リアカーを浜に 降ろす古いスロープは完全に撤去し、鉄筋を組み立て中である。年内にはコンクリ−ト打設まで行くかどうか。

2019/12/22  作業リアカーを浜に 降ろす古いスロープは捨てコンを打設し、鉄筋を組み立て、型枠を組み立てた。年内にコンクリ−ト打設かもしれない。隣に仮設した階段を1月内には解体し、 2月には本スロープが使えるようになるという。そして鋼管擁壁の化粧コンクリートはコンクリート版貼り付け工法にしたので後期は短いだろう。そうすると仮 設ヤードは2月ころから解体されるのか。

2020/3/19 3月にスロープが完成した。のこりは鋼管擁壁の化粧コンクリートのトップを完成したら、舗装を完成させれば作業用仮設架台(ヤード)を解体して、工事は完成となる。

2020/7/28 仮設ヤードは7月ころから解体され、最後の架台は国道の半分を占拠して道路にクレーンを設置して夜間の撤去をしている。 この数か月していた恵風園胃腸病院は解体撤去された。

2020/11/16 舗装は年内に完成する。七里ガ浜の汚水処理場に汚水を送る汚水配管の音無川部分の更新が行っていた。

July 2, 2013

Rev. November 16, 2020


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