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シリアル番号 表題 日付

1395

原発のガス漏れ、ケーブル火災
2013/06/22

●ブランズウィック原発の格納容器上蓋の漏れ
ノース・キャロライナ州にあるブランズウィック原子力発電所Brunswick Nuclear Plantは福島第一と同じMark-I。1976年リークテスト中格納容器上蓋から100psigでガス漏れを経験。
福島では1号機は2日目の朝、爆発前からベントスタックから湯気がでていた。そして内部圧は125psigまで上がったのち下がっている。この他機器搬入口も漏れる。

●ブランズフェリー原発のケーブル火災
GE Mark-I で1973年12月運転開始。1065万kw.、TVA(テネシー川流域開発会社)経営。火災は、原子炉建屋と電気ケーブル処理室を連絡する貫通部でおき た。1975年3月22日、追加の電気ケーブルを敷設し貫通部にシール材を再封入した。後は点検し、難燃性塗料を2度塗り。シールの検査で、火のついたロ ウソクを近づけた。原子炉建屋からの放射能漏れを予防するために原子炉建屋側が気圧が低くされているので、シールが不完全なら炎が風で揺らぐか見るためで あった。その1本のロウソクの炎が、電気ケーブル処理室側でシール材に燃え移った。シール材が可燃性の高い発泡ポリウレタンだったのだ。原子力以外に分野 では難燃性シリコンに変っていたのに、原子力の施設では可燃性の高い発泡ポリウレタンのままだった。作業員が電気ケーブル処理室の火を消し止め、処理室側 は1mほど焼け焦げただけ。ところが、電気ケーブルの絶縁や被覆に燃焼しやすい素材が使われていたため、貫通部の原子炉建屋側ではケーブルが燃え続けた。 電気ケーブルは多重化され系統化している。これらは、A系がダメになってもB系は大丈夫となっていなければ役に立たない。ところが貫通部付近では、同じト レイに乗って分離されていなかった。貫通部の原子炉建屋側ではA系のケーブルが燃えると、隣にあるB系に延焼する。こうして安全系の複数の機器が誤作動、 誤表示を起こし、プラントの安全性が確認できない状態に陥ってから、原子炉建屋側での電気ケーブル火事に気付いた。発火から消火まで8時間かかり、安全系 に属する628本を含む合計1,600本を超える数のケーブルが損傷した。設備的な内部要因による原発事故は、ブラウンズフェリー原発火災のような火災が 事故を引き起こす可能性が最も高い、他の要因の約10倍と後から分析されている。このブラウンズフェリー1号機は修理され運転再開したが、NRC・米国原 子力規制委員会がこの火災を教訓に81年にだした火災防護規則への適合など管理運転の問題から1985年3月に運転休止する。2002年5月、TVA社は 将来の電力需要増をにらみ運転再開を決定。そのため20%の出力増強や難燃性ケーブルの採用、ケーブル貫通部への防火シールの施工、系統分離、延焼防止塗 料の塗布など規制適合改修に約18億ドル投資。原子炉1基当たりにケーブルは1000〜2000km。このうち安全上重要なものだけで数百キロあるので、 莫大な金と時間が必要だった。そして2007年に運転再開。

●日本の防火に関する技術基準
1975年12月まで出来上がっていた、着工した原子炉は、23機には1年後まで適用しないことにし、そして作ったのが「見做し・みなし」規定だ。例え ば、ビニールやポリエチレンなどの素材でできた可燃性ケーブルでも、ケーブル表面に延焼防止剤と呼ばれる特殊な樹脂などを含む塗料を塗れば「難燃性ケーブ ルと同等と見做す。原発運転差し止め訴訟・伊東良徳弁護士によれば浜岡原発のケーブル処理室をみるとケーブルには延焼防止剤が吹き付けてはあるのだが、そ の吹き付けにはかなりムラがあり、延焼防止剤がついていないケーブルもいくつも見られた。また1976年頃に塗布していますから延焼防止剤は経年劣化して いる。

75年には23機だが、運転終了・廃止が8機あり、こうした見做し規定適用は15機。
日本原子力発電・敦賀1、東海第2、
東京電力・福島第一5,6、福島第二1、
関西電力・美浜1,2,3、大飯1,2、高浜1,2、
四国電力・伊方1、
中国電力・島根1、
九州電力・玄海1。
毎日新聞の調べでは可燃性ケーブル使用は13機。原発検査を行う「原子力安全基盤機構」が対策強化を非公式会合で複数回提案したが、会社側が難色を示し実 現しなかった。新基準を規制委が策定を進めている。火災防護は2012年11月21日の第4回発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム会合で取 り上げられた。そして、この見做し規定は除かれる見込み。米国のブラウンズフェリー原発を見れば、改修には数年の年月と1000億以上の投資が必要。これ らの原発は運転開始から30〜42年。原発40年定年規制がきちんと運用されれば、改修後に運転がどれくらいの期間可能だろうか。多くは防火投資が回収で きる見通しが立たず、廃炉が経済的に合理的と考えられる。経産省は「電力会社に古い原発の廃炉をのませ、代わりに新増設を進める作戦」と毎日新聞は報じて いる。 

●米国ブラウンズフェリー発電所3号機のスクラム失敗
1980年6月28日計画保守のため原子炉出力は約35%まで下げられていた。運転員は原子炉を停止させるため手動スクラム・ボタンを押して全制御棒を挿 入させようとした。炉心西側の制御棒は全て(92本)完全に挿入されたが、東側の制御棒は93本中75本が完全挿入に失敗した。2度目及び3度目のスクラ ム操作でもそれぞれ59本、47本が挿入できなかった。4度目の自動スクラムで、全ての制御棒が挿入されたが、最初のスクラム失敗から14分以上経過して いた。スクラム失敗の原因は東側のスクラム排出ヘッダ(SDV)に水が溜っていたことによる。


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