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1378

母なる地球の熱源
2013/01/16

元動燃事業団実験炉の山本寿氏の話

火星には現在大気は無いに等しいが、地球には大気がある。この差は地球には地磁気があってヘリウムの原子核により構成される太陽風を地磁気が防いでくれているから。大気分子が地球の重力によって捕まえていることができたためである。

そして地磁気は地球内部の鉄やニッケルを多く含んだ核(コア)の流動物質が自転と熱対流によって回転することで電流を生じ、この電流が電磁石あるいは発電機(ダイナモ)のように磁場を生成・維持するから。

ケルビン卿は地球生成時、重力が熱に変換された以後地球は冷える一方であったとしたがそれなら地球の芯まで冷えてしまうだろう。球体の熱伝導微分方程式を 解くと、現在地球にあるウラン、トリウム、カリウムの量とウラン、トリウム、カリウムの崩壊熱から地球中心の温度を計算すると初期の温度を3,000°C とすれば現在5,000°C位である。従ってコアは熔融している。

半減期45億年のウラン238の崩壊熱は結構大きくて核分裂熱の25%にもなる。ウラン238は8回のα崩壊をして最終的に鉛Pb206になる。したがって崩壊熱はウラン238の質量―Pb206の質量ーアルファ線質量x8=52.2MeVとなる。

放射性核種 半減期    (億年) 核種存在率(%) 崩壊最終元素 崩壊熱       (Jx10-12 現在の地球の核種密度(kg/m3 地球誕生時の核種密度(kg/m3
U-238 44.7 99.27 Pb-206 8.35 1.71E-04 3.43E-04
U-235 7.07 0.72 Pb-207 7.49 1.22E-06 1.02E-04
Th-232 140 100 Pb-208 6.89 6.88E-04 8.59E-04
K-40 12.8 0.012 ca-40 0.212 2.05E-04 2.35E-03

地球誕生時は半減期の短いウラン235は全ウラン量の20%もあって、これがせっせと崩壊して熱を供給していた。現在はたったの0.7%になった。

氏は三段論法で、故にウラン、トリウム、カリウムがなければ大気は太陽風に吹き飛ばされて失われ、地球上に生命は存在しなかったに違いない。まこにその通 り。大陸を移動させ、造山運動を生じ、山と谷を作り、火山活動を引き起こし、地震を起し、津波を作る。この地球のすべてのうごめきの原動力となっている。

しかしここから突然、論理の飛躍があって、ウラン、トリウムは生命の源なのだから原子力は安全であるとなった。この論理の飛躍はとてもおかしい。そして子 を持つ女性達を説得できないと山本氏は嘆く。説得できないのは彼女らに理解能力がないからと一方的に言う。女性はそんなにバカじゃありませんよと私は思 う。山本壽氏は地球内の熱伝達式をエクセルでたちまち解いてしまうほど技術者としては一級の力を持っているのになんでここでジャンプするのか不思議。

ウラン、トリウム、カリウムの崩壊熱がまさに母なる地球の命の源であるが、そこから出る放射線はすべて隣の岩石に吸収されて熱になるので地球表面には放射線はでてこない。せいぜいウランが崩壊してできるラジウムやラドンが温泉から出てくる程度。

結論としてこの母なる地球のウラン、トリウム、カリウムの崩壊熱の有効利用は地熱ということになる。日本の温泉は地熱があるが水が不足しているのだから シェールガス生産のフラッキングを適用して生産井と還元井を掘り、両者をフラッキングでむすべば地熱はほとんど無限に取れる。安定発電が可能で再生可能エ ネルギーのバックアップに使える。

山手線の乗って空間放射線強度を測定すると高架部分より駅の方が高い。駅はコンクリートマスが多いわけでその中にあるウランなどが放射線をだしているためか?

関連メモ:地球の内部構造

2013/01/20

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