読書録

シリアル番号 973

書名

摩擦の世界

著者

角田和雄

出版社

岩波書店

ジャンル

サイエンス

発行日

1994/11/21第1刷

購入日

1994/12/28

評価

岩波新書

昔読んだはずだが読書録に未登録の本を3冊みつけた。これはそのひとつ。

摩擦に関するあらゆることを話題にしている。著者は新幹線を可能にした車軸用玉軸受けの保持器の基本理論を確立した人である。

潤滑油が高い圧力を受けると粘性が著しく増え、場合によっては結晶化することもある、この特性を考慮した弾性流体潤滑理論(elasto-hydrodynamic lubrication EHL)理論が誕生した。この理論によると転動体と軌道の間には1マイクロメートルの厚さの油膜ができる。したがって両者の表面粗さを1マイクロメートル以下にすれば非接触の状態を保てる。

アポロ宇宙船の慣性誘導航法ジャイロの玉軸受けはこれで可能になった。

自動車エンジンのシリンダー内面や転がり軸受けの軌道面はクライスラー社のD・ウォーレスが発明した砥石を低速で揺動させながら回転させて鏡面仕上げをすることで1マイクロメートル以下にする。

鞭毛モーターは細胞膜の外側と内側の水素イオン濃度差で駆動されるという話は新鮮。



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