読書録

シリアル番号 949

書名

波乱の時代ーわが半生とFRB 上下

著者

アラン・グリーンスパン

出版社

日本経済新聞

ジャンル

自伝

発行日

2007/11/12第1刷
2008/1/17第5刷

購入日

2008/05/03

評価

原題:The Age of Turbulence:Adventure in aNew World by Alan Greenspan

友人T.H.推薦の本。

ウィリアム・A・フレッケンシュタインのグリーンスパンの批判の書「グ リーンスパンの正体」から読んだ。実体経済の4倍もあるだぶついた金がバブルを発生させる。FRBとしては景気は犠牲にしても金利を上げなければ いけないのにグリーンスパンもバーナキンも低金利政策をとったのでバブルが発生したいうことを言っているだけで面白くない。

そこで本書を時間をみつけてぼちぼち読み始める。これを読むと米国政府の要人は狭いニューヨークで互いにその能力を認めながら育っているということを実感 する。

グリーンスパンが最初にパートナーとなった投資アドバイザーのタウンゼントの前パートナーだったリチャード・デーナ・スキナーはニューイングランド旧家の 出身で「帆船航海記」の著者リチャード・ヘンリー・デー ナ・ジュニアの孫の孫に当たる人だという。

グリーンスパンが成功した考え方や仕事のやり方は私のしてきた方法と同じで意を強くした。

1ケ月かかって2冊を完読した。ちょうど会社に居た時代と重なり、反芻するのにちょうど良い内容だった。これを読み進めると記憶にある様々な出来事が走馬 灯のように眼前を走るようになる。著者がFRB委員長になっての18年間だけでなくニクソン、フォード、カーター、レーガン、ブッシュ、クリントン、ブッ シュと歴史の裏側を知ることになる。

フォードの米国で規制緩和がどんどん進むのをみて危機感をもった記憶もよみがえる。サッチャー革命、そしてクリントン時代の日本の無残な状況。

総じてグリーンスパンの前任者のポール・ボルカーの時代は高金利だった。鎌倉の今の土地を買ったときは金利12%で首が回らなかったが次第に低くなりグ リーンスパン時代の後半はほとんどゼロ金利となった。これが現在の資源バブルの始まりだ。これからインフレが始まり高金利時代がくるのだろう。 バーナキンは今は低金利を維持しているがどうするのだろう?

バブルを防止しきれなかたグリーンスパンはどう考えていたかを読むと、株が高騰してもインフレが無いので、金利上げには動く必要がないと考えていたよう だ。住宅バブルの時も住宅の価格が上昇していないのだからと何もしていない。FRBはそのくらいのことしかできないのかなとも思うがよくわからない。

第二部はアダムスミス直伝の自由市場信奉者であるグリーンスパンの考えがよく整理されている。経常赤字と国境の関係もなるほどとと思って読んだ。

エネルギー問題についての意見も興味深く読ませてもらった。ピークオイルという油田の特性はご存知ないようだ。キャップ・アンド・トレードという政府の規 制を前提とするヨーロッパ方式に疑問を呈しているのは新鮮に読んだ。

2008/10/23の米下院政府改革委員会の公聴会で厳しい規制がなくても金融機関がリスク管理を徹底するとの認識は間違っていたと証言。特に証券化と いう金融技術は良くなかったと。

2016/1/4処分

Rev. January 4, 2016


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