読書録

シリアル番号 918

書名

聖徳太子

著者

吉村武彦

出版社

岩波書店

ジャンル

歴史

発行日

2002/1/18第1刷
2005/11/4第6刷

購入日

2007/11/23

評価

岩波新書

難波・飛鳥・初瀬・山の辺の道を歩く旅で難波の四天王寺、蘇我馬子の古墳、太子の誕生の地橘寺、おして推古朝のあった明日香の里を訪問して斑鳩の里にのみむすびつけられていた聖徳太子のイメージが大きく変わった。そこでこの本を買う。

まず聖徳太子は神格化された後の名であり、厩戸王子が生きている頃の正しい名前だろうという。蘇我の血の濃い用命王の子として生まれたので蘇我馬子とは強い絆で結ばれていてうたという。

厩戸王子が執政としてつかえた第33代推古天皇は豊浦宮とのことだがどこかは知らなかった。この本では明日香村向願寺の下層にあったとされている。しばらくして飛鳥寺の北側に移転する。厩戸王子はその頃、現在の桜井市の池之内または上之宮に住んでいたらしい。斑鳩の宮に移るのは大分歳をとってからだ。このころまでは宮殿は山を背に北面していた。君子は南面するという中国の思想は藤原京から適用される。

聖徳太子は仏教との関連で聖人化されたが、徳川時代に儒教の影響が強くなると人気は落ちた。特に水戸史観ではそうで、江戸時代から神仏分離政策が特に水戸藩で行われた。明治政府はこれを採用したのだが、浄土真宗以外の宗派では廃仏毀釈運動は激しかった。


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