読書録

シリアル番号 779

書名

日本国家の起源

著者

井上光貞

出版社

岩波書店

ジャンル

歴史

発行日

1960/4/18第1刷
1984/4/10第27刷

購入日

2006/5/20

評価

岩波新書

鎌倉図書館蔵

古田武彦の「九州王朝説」 を検証するために読む。最もバランス良く日本の古代史を紹介していると感じた。さすが国立歴史民族博物館を構想した人だけのことはある。

氏は何事も断定しないが、邪馬台国は九州にあったと考えるのが自然であるとし、邪馬台国は九州の連合王国であったとしている。しかし神武の東征に関しては 九州南部の日向とすると無理だとする。むしろ応神と継体のように女系的正当性で天皇家を継ぐことをよしとした時代から男系相続の思想が北からもたらされて 後の正当化のために日向伝説ができたとほのめかしている。

古田武彦の日向は筑紫(ちくし)の日向(ひなた)と理解すれば問題解決なのだが、井上光貞 氏は1983年に亡くなっているので生きていたらどう言われるであろうか。

出雲で多量の銅鐸が発見されるまえであるため、出雲神話に言及はない。

氏は明治の元勲井上馨の曾孫。桂太郎の外孫にあたる。1942年東京帝国大学文学部国史学科卒業。

Rev. December 24, 2015


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