読書録

シリアル番号 668

書名

消された王権 物部氏の謎 オニの系譜から解く古代史

著者

関裕二

出版社

PHP研究所

ジャンル

歴史

発行日

1998/1/26第1刷

購入日

2004/12/5

評価

牛島康充氏が「検証 白村江の戦い」で「曖昧に事を済まそうという政策は、曖昧模糊のなかで危機に直面することになる」と中大兄皇子を批判してい る。(Library Serial No.662)関氏はこの本で「あいまいな国、日本の姿を古代にさかのぼって探ろうとする試みが本著の目的としている。日本が縄文時代からもっていた多神 教的な融通無碍さが律令制から近代の西洋文明の吸収速度の速さに貢献したことは確か。太平洋戦争はこのあいまいさを恥じて西洋的、一神教的正義をアジアに 押し付けたことにあったのではと、牛島と反対の意見を述べている。

物部氏は天皇家登場前の大和の大王家であった。この二つの王家は曖昧な形で共存したが、物部の衰退後、鬼のレッテルを貼られ歴史の敗者になったが、 鬼となった物部氏は裏社会から天皇家を牛耳り天皇家は唯一絶対の正義をもった支配システムではなくなり、あいまいな形で鬼を支配し、逆に支配されるという 循環する王権となった。

ここで物部=縄文文化を背景とした大衆側、天皇家=藤原家=北方騎馬民族出身の百済王家=高句麗の弥生系文化を背景にもった文化としている。

この見方もいまとなっては見当違い。

Rev. December 10, 2013


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