シリアル番号 | 412 |
書名 |
グローバル経済を動かす愚かな人々 |
著者 |
ポール・クルーグマン |
出版社 |
早川書房 |
ジャンル |
経済学 |
発行日 |
1999/1/31初版発行 |
購入日 |
1999/01/26 |
評価 |
優 |
原題:The Accidental Theorist by Paul Krugman 1998
発行日より早く文教堂霞ヶ関店にて入手。
ポール・クルーグマン著としては3冊目の本
通産省隣の書店にクルーグマンのこの著作と経済学入門うす高く積みあげられていたので役人も少しは読んでくれているのかとかすかな希望ももったが、日銀の人々がよんでいるかは疑問。
サプライサイド・エコノミックスまたはマネタリストを徹底的に批判。
日本の現状に関しては日銀によるマネーサプライ増を提言。マネーサプライ増の手段として国債を日銀が購入することを提案している。
現在市中銀行に買わせているのでマネー不足が顕在化し、金利が上昇しデフレーションがすすんでいる。日銀が買えば、インフレ気味になるはず。
最終章の「2096年から過去を顧みる」は一読の価値あり。
人々は未来は無形材しか生産しない「情報経済」になり、過去の経済で重要だった石油や土地などの資源よりも、知識が力や富の主な源になるであろうとと予測したのは完全にあやまりであったと悟るであろう。
情報経済であろうと経済学の基本原理が適用される。すなわちあふれる情報はただになる。したがって情報を扱っても金持ちにはなれない。
地球は有限の惑星である。したがって有限の資源価格は急騰するだろう。不動産価格も有限であるため高騰し、移動にもコストがかかりすぎるようになるので都市はますます高密度化するだろう。中世にあったような都市国家化するのだ。
情報システムが代替できる高等教育を受けたホワイトカラーは不要となり、人工知能の創始者マーヴィン・ミンスキーの言葉「人々が漠然と常識と呼ぶものは、実際にわれわれが尊敬する専門的な知識や技術よりもいっそう複雑である」を引用して21世紀の終わりにもロボットの修理工は居ないだろうとする。故に熟練した機械工、修理工、ブルーカラー、看護、大工、家の維持管理者の需要は高まるだろうと予言している。
クリエーターが自らの創造力から利益をえることは情報のコピーと伝達コストの低下でむずかしくなった。かれらは印税で収入をえるのではなく情報システムで有名人すなわちアイドルになってから、かれらアイドルをライブで見たいまたは講演を聴きたいファンから収入を得ることになるだろう。
Rev. September 2, 2007