読書録
シリアル番号 |
1356 |
書名
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げんきくん物語 海をわたったコウノトリの大冒険
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著者
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山岸哲
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出版社
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講談社
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ジャンル
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サイエンス
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発行日
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2018/9/15第1刷
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購入日
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2018/10/22
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評価
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優
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青い鳥文庫
榎本蔵書
著者は山科鳥類研究所所長のあと、新潟大学の朱鷺・自然再生学研究センター長になったことは知っていたがその後、兵庫県立コウノトリの郷公園園長になって活躍中とは知らなかった。
この本は兵庫県立コウノトリの郷公園園長になってから卵から孵し、成長までそだて、放鳥した「げんきくん」というコウノトリの物語。
「げんきくん」が放鳥された後、東は宮城県の美里町、西は五島列島、北は北朝鮮までとび、再び日本に舞い戻って雲南市大東町を永住の地と定め、そこにいた
メスのコウノトリ「はなちゃん」とスイートホームを構え5匹のひなをそだてた。しかし不幸にも「はなちゃん」はサギと間違えられて射殺されてしまう。「げ
んきくん」だけでは5匹のひなをそだてられないと判断して雛を保護し、人間がそだてて再び放鳥したところ、ゴムを胃袋一杯にして死んだ雛以外は自然に帰化
でき父親の「げんきくん」と合流。「げんきくん」は韓国で会ったことのある日本生れの「ポンスニ」と再婚したというハッピーなお話でした。
これはフィクションではなく、全て実話です。それを可能にしたのは米国生まれの太陽電池で稼働するGPSの位置情報を人工衛星に送信する箱を「げんきく
ん」が背負っていてくれたからなんです。これに目撃情報を加味して園長みずから書き下ろしたというわけ。むろん「げんきくん」の心は作者が長年の鳥類観察
の経験から推察したものではありますが、なかなか絶妙な心の動きとなっています。