読書録
シリアル番号 |
1307 |
書名
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単独飛行
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著者
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ロアルド・ダール
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出版社
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早川書房
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ジャンル
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自伝
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発行日
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1989/11/30初版
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購入日
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2017/08/02
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評価
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優
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娘の蔵書
短編作家であるロアルド・ダールの青年期の自伝。少年期も、とても面白かった。
シェル社のアフリカ駐在員として任地に赴任する船の中でいまでは絶滅した植民地経営に携わった奇妙な英国人たちを辛辣に描写している。
ケニヤにいるときに第二次世界大戦がはじまった。そのまま軍事訓練もなしに軍の将校に任命され、ドイツ系住民の国外脱出を阻止し、捕虜とす
ることを命令された。パブリックスクール出というだけでその能力ありと判断されたのか?結局、一人のドイツ人を殺しただけで、全員を捕虜にすることができた。結局、航空兵を志願して、半年間
の訓練をへたのち、航空隊に入団するために単騎エジプトで複葉機で飛行中、教えられたところに友軍はおらず砂漠に不時着。大怪我を負ってしまう。
怪我を克服してギリシアに着任するときは単翼機に変わっている。まともな訓練も射撃訓練もうけずアテネに着任するが、圧倒的なドイツ空軍の圧力下で命令系
統の乱れもあり、有効な戦いも出来ず、エジプトに撤退するまでの詳細な記憶がつづられている。持って生まれた運動神経と目の良さでいつも危機から逃れて生
還した。
組織の人間模様の記述がすばらしい。しかし怪我の後遺症で激しい加速度下で失神する可能性がでて退役して帰国するまでのいきさつが克明に記録される。14名の訓練生のうち生き残ったのは3名だけだ。