読書録

シリアル番号 1289

書名

アタリ文明論講義 未来は予測できるか

著者

ジャック・アタリ

出版社

筑摩書房

ジャンル

経済学

発行日

2016/9/10第1刷

購入日

2016/09/16

評価



原題:Peu-on prevoir l'avenir?; Le sien, celui des autres  Jacques Attali
ちくま学芸文庫

市民相談課に出かけた折、鎌倉駅西口書店で購入

古来、権力者は未来を知ることに取り憑かれてきた。あらゆる個人、国家、文明の浮沈はつねに先を読む力に左右されてきた。だがますます混迷を深める現代文明でいかにして予測は可能なのか?と帯にある。

日本語版への序文に本書の最大のメッセージは自分自身で自己の未来を予測することの重要性だ。予言や予測を他人任せにしてはならない。自分自身で予測できなければ自由になれない。その前提になる五つの問とは
@変わらないものは何か
A自分の友人はどう行動するか
B自分の敵はどんあ態度をとるか
C確実なことは何か
D自分にはどんな計画があるのか

●はじめに
権力を握るのは、予測する人物、あるいは自分は予測できると周囲を信じこませられる人物(神官、軍人、政治家、資本家)だった。予測をめぐる歴史はある意味で権力の歴史だった。未来を語る者は、常に危険な立場にある。なぜなら悲観論者だから。

ゲーム、文学、音楽、ユーモアは未来予測の学習法となる。しかし最近になって未来予測は資本主義、社会主義、民主主義など歴史の方向性にかんする予測が完 全にはずれて調子外れとなった。相互作用の複雑性のゆえに予測はますますコンピュータにまかされるようになった。こうして未来に関する予測法は平等に分配 されていない。こうして一部の者を利する手段となっている。これは由々しき事態で、人々は自身の未来を予測して自由を勝ち取る必要がある。


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