読書録

シリアル番号 1275

書名

振子気動車に懸けた男たち JR四国2000系開発秘話

著者

福原俊一

出版社

交通新聞社

ジャンル

技術

発行日

2016/2/24第1刷

購入日

2016/05/11

評価



交通新聞社新書

システム設計を担当した安井氏から借りて読む。

国鉄が分割されてJR四国が独立したとき競合する高速道路に負けないスピードを出す必要に迫られた。ところが既設線路の曲率はきつく、高速を出すと遠心力 で乗り心地が悪くなる。この解決法として台車の上で車体を傾ければよい。しかし遠心力を感じてから傾ける自然振子車は遅れのために乗客の不快感はかえって 増えてしまう。従ってレールの曲率を事前に予測して車体を空気アクチュエータをつかって傾ける必要がある。レールのどこにいるかさえわかれば、曲率はわ かっているので制御できる。レールのどこにいるかは認識用地上子の先XXmに何があるかモトローラのM6809をつかったマイコンに記憶させておくことに した。メモリはマイコン採用以前のデジタル回路では、「ダイオード・マトリクス」から始まり、「ヒューズROM」へ、マイコン以降は「紫外線照射で消去で きる「EPROM」、続いて電流を流してRead//Writeする「E2PROM」と進化。現在は、御多分に洩れず、フラッシュメモリ。25〜35年使 用する車体・台車に対し、電気・電子機器は環境条件(温度・湿度、振動)が定置の装置と比べて厳しいので大体15年で更新する。その時には回路(ソフトウェアも含め)の設計更新を行なう。

壊れる所は、半導体の端子とのボンディング部、ハンダ接合部、コンデンサの容量抜け、など。化学プラントでは20年程度で更新する。ところが原発は40年 を60年に延ばすとき、電気・電子機器の寿命が問題となると思うのだが、電力の元研究所副所長OBに聞いても、へー!そんなことが問題になるのかとポカン とする。そのくせDC/ACコンバーターの出す高調波の弊害ばかり気にする。


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