読書録

シリアル番号 1216

書名

新農薬 ネコチノイド が日本を脅かす
もう一つの安全神話

著者

水野玲子

出版社

七つ森書館

ジャンル

環境

発行日

2012/9/1第1刷
2013/1/1第2刷

購入日

2014/12/13

評価



鎌倉図書館蔵

ネオニコチノイド系新農薬については我がHPのMemo1097にまとめてあるが、何か間違いがないかチェックするために借りた。

2010年、北海道でも養蜂家が周辺の水田のカメムシ防除のためにダントツ(クロアチアニジン)散布があるたびにミツバチ群がほぼ全滅していると告発。養蜂家ではないから何も感じないが鎌倉でも最近、スズメが少なくなったことが顕著な変化だ。

2009年、岩手では毒性の強いダントツからスタークル(ジノテフラン)に変えたにも関わらずミツバチに慢性的影響があると報告。

長崎でも2010年、ダントツがミツバチをアルツハイマー病のようにする被害があると報告。これもネオニコチノイド系新農薬が原因だという。スズメや昆虫も消えて静かになった。「沈黙の春」の到来。

三浦大根の産地、秋谷でも2009年、養蜂場で大量死があり、三浦半島全体でミツバチ260群が全滅。ミカン栽培のための農薬散布が原因だった。

この他2003年以降、熊本、岩手、山形、長野、群馬、兵庫、岐阜でミツバチの被害が報告されている。

長野の上田市では2008年、松枯れ対策のためにヘリコプターによるアセタミプリドを含むマツグリーン液剤2散布後、保育児が頭痛、腹痛を訴えた。

竜ヶ崎市では2008年、スタークル剤の空中散布後、30代の女性が激しい手足のしびれと頭痛で救急車で病院に送られ徐脈、頻脈で何日も危篤状態が続いた。

2004年夏、前橋市で大型扇風機によるマツグリーン液剤2散布後、従来の有機リン系空中散布後の頭痛、吐き気に加え、胸の痛み、胸の苦しさ、動悸、心電図異常が多くなった

2011/2/27新潟で赤とんぼが消えたという報道あり。

レイチェル・カールソンの「沈黙の春」やコルボーンの「奪われし未来」 で弾劾された有機塩素系のDDT禁止後、有機リン系は神経伝達物質アセチルコリン分解酵素阻害剤として作用するため農薬の主流であった。しかし耐性をもつ 害虫がふえたためアセチルコリン受容体に結合し、神経伝達を阻害するネオニコチノイド系新農薬が2000年以降急速に普及。

人のアセチルコリン受容体は昆虫のそれよりかなり感受性が小さいので、人には安全だとされたが、疑いをもたれている。影響があるとしても自律神経系にあるだけとされているが本当にそうか?代謝産物が毒性を持つことがありうる。

1978年シェル化学がニコチンをモデルにニチアジンを開発。これを利部伸三が改良したものがイミダクロピリド。その後、日本曹達がアセタミプリド、武田薬品がクロチアニジンを開発。

我が家にある殺虫剤オルトランにはアセフェートが成分で有機リン系だが、この代謝産物はメタミドホスと言う有毒物質である。アセフェートは浸透性農薬で洗っても除去されない。ネオニコチノイド系も浸透性農薬である。

トウモロコシの種子をネオニコチノイド系で処理すると、葉の先端からしみ出す水にネオニコチノイド系が濃縮し、それを飲んだミツバチが大量死したことをイタリアの研究者がつきとめた。クロチアニジンはドイツでミツバチの大量死をもたらした。

農薬を混ぜて使用すると毒性が増強される。

ネオニコチノイドは環境残留性が高い。

日本の「農薬村」は農薬主犯説を認めない。農薬主犯説を口にしたとたん失職する。

CCD(蜂群崩壊症候群)の原因としてストレス説、ウィルス説が流布され複合原因説で薄められている。
耕地面積当たりの農薬使用量は韓国が世界一で1.25ton/km2

日本 1.24ton/km2

オランダ 1.05ton/km2

イタリア 0.79ton/km2

イギリス 0.42ton/km2

統計に中国はでていないが多分世界一。

いまだ日本は有機リン天国である。

アセタミプリドの残留規準値はイチゴで日本3ppm、米国0.6ppm、EU0.5ppm

農薬による病気:アルツハイマー、喘息、発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)パーキンソン病

2014/12/25厚生労働省の部会は化学メーカーからの適用拡大の申請を受けて内閣府の食品安全委員会の評価も踏まえ、クロアチアニジンの食品中の残量規準を緩和する案を了承したと報道さる。これによりホウレンソウにもクロアチアニジンを使えるようになる。

Rev. December 25, 2014


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