読書録

シリアル番号 1187

書名

地図で読む戦争の時代 描かれた日本 描かれなかった日本

著者

今尾恵介

出版社

白水社

ジャンル

歴史

発行日

2011/4/9第1刷
2011/6/10第4刷

購入日

2014/04/06

評価



鎌倉図書館蔵

私も地図をみるのは好きだがこの著者は度をこして古い地図と現在の地図を比較して戦前と戦後の比較をしている。

名古屋城址は第三師団、歩兵第六聯隊などが駐留していたので爆撃で完全に消失した。

広島の原爆被災範囲が昭和24年地図に描かれている。

蒲田周辺の住宅密集地は建物疎開をさせて防火帯を作った。名古屋の100メートル道路は戦後、この防火帯を利用したものである。京都の二条城の南東角で交差する堀川通りと御池通りが防火帯である。

戦争中の軍事施設のカモフラージとして新宿淀橋の浄水場が公園にされた。

戦中の電力不足のため都電に特急ができた。目的は停車・発車で電力消費がおおかったためだが、そのうちにすべて特急電車だけになり停まらない駅は廃止された。

台湾では砂糖黍栽培が盛んにおこなわれ製糖会社にキビを運ぶ鉄道があったがほとんど撤去された。

台湾の蕃地のそれぞれの社には警官駐在所がおかれた。警官は警察以上の行政と教育の拠点としての特別な役割を持っていた。この制度は霧社事件をのぞきうまくいった。蕃地に深く関わった鹿野忠雄の「山と雲と蕃人と」は良書だ。

第一次大戦後のアルザス・ロレーヌの併合など地図で図解。

尖閣列島の等高線はついたり消えたり。北方領土の詳細図の扱いなども測量してないので苦しい。横須賀の等高線も描かれなかった。広島近くの毒ガス製造所周辺、呉の造船所は白抜き。

江戸時代の大名屋敷は明治期宮様の屋敷になり戦後はことごとくホテル用地となった。戦争中はダムと発電所が消えた。赤羽の界隈は兵器工場だったが、住宅地に書き換えれられた。新潟の油田もすべて水田に変わる。後楽園は砲兵工廠だったが、戦後は東京ドームとなった。

西武鉄道上水線はかっての日立航空機工場の引き込み線。

藤沢市の北の丘の上にある荏原製作所は戦時中は飛行場だった。


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