読書録

シリアル番号 1171

書名

ダ・ヴィンチの謎 ニュートンの奇跡ー「神の原理」はいかに解明されてきたか

著者

三田誠広

出版社

祥伝社

ジャンル

サイエンス

発行日

2007/3/5第1刷

購入日

2013/11/20

評価



原卓からのお下がり。

とても面白い。

ダビンチ・コードにインセンティブを得て書かれた本。キリスト教がサイエンスの発達の原動力になったという説。ニーアル・ファーガソンは「劣化国家」で橋 爪大三郎らのように西欧の成功を 「ユダヤ=キリスト 教的文化」に求める考えは」自分の都合のよい事例だけをつまみ食いする「チェリーピッキング」のおそれがある。としているが、三田もサイエンスはキリスト 教があったから発達したとする。しかしこの本はむしろ通俗科学史と通俗宗教史という内容だ。

通俗科学史として読むと少なくともローマンカトリックは人々に聖典をよませず、いたずらに罪の意識をうえつけて民衆から欲望を奪い、禁欲を強いた。そういう意味でローマンカトリックは農業中 心時代であり欲望を制御することには役だった。

この本を読むとむしろ科学の発展は十字軍が人々の意識を開放したことが大きいと読める。そうしてルネッサンスに入る。ダビンチ、ガリレオは秘密結社を つくってカトリックの目を避ける。この本ではダビンチ・コードと同じくダビンチはシオン修道会の総長であったとしているが、シオン修道会の最後の総長を自 称していたピエール・プランタールが、自ら捏造したものであると1993年に告白した為、シオン修道会は偽りと現在では考えられている。初期キリスト教に グノーシス派が出てくるが、この本ではグノーシスとは認識というギリシア語でユニテリアンのニュートンもダビンチもグノーシスには熱心であったとする。

コペルニクス、デカルト、ニュートン、ラグランジュ、ラプラス、アインシュタイン、ハイゼンベルグなどのそうそうたる系譜が簡潔に紹介される。

Rev. December 24, 2013


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