読書録

シリアル番号 1121

書名

原発と権力

著者

山岡淳一郎

出版社

筑摩書房

ジャンル

ノンフィクション

発行日

2011/9/10第1刷

購入日

2012/11/16

評価



ちくま新書

ノンフィクション作家、山岡氏から森永先生主催の「自由人のエネルギー勉強会」でいただく。

原発導入の歴史はおおよそ知っていたつもりだが、この本は非常に詳細に描かれていて大変勉強になった。

森永先生の恩師嵯峨根遼吉、エネルギー勉強会にも出席され た故伏見康治、そして歴史上の人物岸信介、中曽根、正力、石川一郎、郷古潔、橋本清之助、田中角栄、与謝野馨、安倍などキーパーソンの名前がびっしり。東電はGE、関電はウェスチングハウス そし て正力はコルダーホール型黒鉛ガス炉と混戦になる様が活写されている。

米国がウラン濃縮で暴利をむさぼる構造に日本を押し込んだいきさつも詳細に語られる。

石油時代になって原子力が色あせたときも核兵器への色気が権力者を魅了していたことが描かれる。そこでプルトニウムサイクルが国策になったのだ。

米国は日本が中国を抑えるために核武装することは水面下で認めたのだが、日本の技術がおそまつで、そこまで行かない。そもそも狭い国土に原発50基もつ日本は戦争などできない。

パッケージ型インフラ輸出は官僚の天下り先確保に過ぎずうまくゆかない。

著者はトリウム熔融塩炉が 外国で研究されていることに言及しているが、トリウム熔融塩炉といえども軽水炉と同じく核分裂物質が生成するわけで、トイレなきマンションには違いない。 トリウム熔融塩炉といえども通常兵器で攻撃されるだけで原爆以上の損害となり、通常兵器攻撃にも脆弱な国家になるわけだ。


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