読書録

シリアル番号 1041

書名

山本七平の武田信玄論ー乱世の帝王学

著者

山本七平

出版社

角川書店

ジャンル

伝記

発行日

2006/12/10初版

購入日

2010/03/03

評価

角川oneテーマ21シリーズ

原卓氏にいただく

なぜ山国の甲州に起こって信州を平定して上杉を覇を競うことができたかを信玄の人物が偉大だたということは無論だがそれだけでないという。

関東平野は当時湿地帯で大規模な排水路工事なくして水田開発はできなかったのに比べ、当時の山国は適度な広さの傾斜地と感慨のしやすさから最も豊かなところだった。また甲府盆地は昼は気温が高く、稲作適地だったとの指摘は新鮮。

山がちで感慨の困難なところは牧として軍馬を飼育し、機動部隊を編成できたので、軍事的のも強かった。兵農分離前でもあり農民を連れて行き、征服地で稲を収穫して持ち帰ったため、兵は必死で戦うインセンティブがあった。これは上杉もしたことである。

こうして海野氏などの地方豪族は統合されていったことが分かる。同じ海野しながら上手く武田に仕えた真田氏は徳川時代を生き抜いた。

山本七平氏の手にかかると従来なぞだったことが明快にせつめいされている。武田を知りたかったらこの本を読むべし。


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