シリアル番号 | 1037 |
書名 |
司法官僚 裁判所の権力者たち |
著者 |
新藤宗幸 |
出版社 |
岩波書店 |
ジャンル |
政治学・地政学・行政学 |
発行日 |
2009/8/20第1刷 2009/9/15第2刷 |
購入日 |
2009/10 |
評価 |
優 |
岩波新書
S.K.に教えてもらって購入したが、読む時間がなく積んでおいた。年末となって再び手にとる。
まず気が付いたのが新藤宗幸氏の本はこれが2冊目であることだ。「技術官僚 その権力と病理」は7年前に大きな感銘を持って読んだ。
農水省や国土交通省の止まることなき公共事業、厚生省の医薬系の無知な医療行政、通産省の硬直したエネルギー政策と時代遅れでピントのはずれた技術開発など、これら技術官僚が事務官僚、自民党政治家と共生して行った悪行である。
司法行政でも福田博氏の指摘のように一票の重みの差に合憲判断を際限なく出し続ける最高裁判所などもどうしてそうなるか疑問に思っていたがこの本に回答が書いてあった。
一言で要約すれば下級裁判所の判事や最高裁判所の裁判官の人事権が最高裁判所事務総局に握られているということにつきるようだ。高校の同期で弁護士から最高裁判事に任命された才口の言によれば、職業裁判官出身者でない判事は形の上では首相任命だが、本当の任命のメカニズムは不明という。それが最高裁判所事務総局という司法官僚機構のようである。
一般企業でも会社の成功も失敗も人事につきることを身をもって体験した。官僚も企業の人間も人事権を持った人間の意向を忖度して行動する。
したがって解決法は簡単で最高裁判所事務総局から人事権を取り上げて分権的システムにすればよいということになる。
自民党から民主党に代わって行政官僚機構も比較的上手くうごくようになった。おなじことを制度を変えておこなえばよいのではないか。