自動走行車

Google

Googleは2009年、スタンフォード大学のSebastian Thrun教授と共同で、自動運転技術の開発を始めた。これがGoogle X研究所に発展。その最初のプロジェクトが自動走行車 (Self-Driving Car) である。屋根上にLidar (light detection and ranging) を搭載し、レーザーにより物体との距離を測定し、車両周辺の3Dマップを作成する。車両前部と後部にRadarを搭載し、前後の物体との距離・速度を測定 し、遠方の物体の位置を把握する。フロントグラスにはビデオ・カメラが設置され、信号機、道路標識、前方の車のテールライトなどを検知する。屋根のGPS アンテナで位置を把握し、四つの車輪にはPosition Estimatorが搭載され、短距離の移動を測定し、正確な位置を算定する。

各種センサーから収集した情報で、自動車の位置を正確に把握できるが、どのレーンを走っているかまでは分からない。そこでLidarのイメージを Googleの得意とするマップに重ね、どのレーンを走行し、どこに横断歩道や交差点があるかなどを把握する。このスタティックな情報に、他車、歩行者、 信号表示、道路標識などダイナミックな情報を重ね合わせ、マップ (上のグラフィックス) を完成させる。これら情報を解析し、安全な走行路を判定する技術として人工知能が使われている。

実際の路上では様々なことが発生し、人工知能では実際の走行を通じた学習が安全走行の鍵となる。このため自動走行車は、San Francisco地区を中心に70万キロを走行し、学習を繰り返した。自動走行車は、山道での大型トラックとのすれ違い、市街地でお母さんがベビーカー を押しての道路横断、有料道路料金所の通過、San FranciscoのLombard Streetの曲がりくねった道の走行などを学習してきた。





路上には判別できないオブジェクトがあり、自動走行車は、ホットドッグ形状の車を自動車と認識できなかったこともある。道路工事でセンターラインが書き換 えられたり、レーン減少への対応も必要となる。また、交通事故や緊急自動車など、動的な事象への対応も必要となる。雷雨、雪、竜巻など様々な気象条件での 走行など、自動走行車は学習を繰り返し、人が運転するより安全なレベルに達したとしている。

利用第一号は視覚障碍者のスティーブ・マハン氏である。近くのクリーニング店にでかける模様が撮影された。トヨタハイブリッド車の屋根の上で回転している のはLiderでその後ろの屋根にはGPSアンテナが張り付いている。左後ろ車輪には Position Estimatorに車輪の回転数を教えるWheel Encoderが見える。自動運転カーが処理するデータの量は毎秒にもなるという。

2040年までに車の75%は自動運転になると予想される。自動運転が、完全な自律走行車に進化するのであれば、既存の主要自動車メーカーにとって大きな 打撃だ。完全自律運転は、クルマというモノの利用効率を大きく高める。車を所有することなくオンデマンドで利用できるため、駐車場が不要となる。Robo Taxiとか、レンタカーの利用が広がる一方、自動車を購入する人が減り、自動車市場が大きく収縮する可能性がある。

Audi

Audiは開発を進めている画像認識システムのプラットフォームとして、NvidiaのDrive PX を使う。これは超並列システムと機械学習(Machine Learning)を応用したシステムで最上 級モデル「A8」の新型車に最新のレーダーやセンサーなどを搭載。時速60キロメートル以下の条件で自動的に走ったり止まったりできるようにする。 2017年に発売予定の新型A8は(運転)支援から自動運転に移行する最初のモデルになる。自動駐車機能(下の動画)も加えるという。高速道路での走行に 限り、自動運 転から運転手による操作に戻す際には10秒前に警告を出すようにする。(完全な)自動運転車にはもう少し時間がかかる。

Rev. February 4, 2016


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